“埋まってる風呂”への憧れ

──「コントの人」は毎回最後のコントが甘酸っぱくて泣けますよね。ラブコメみたいな胸キュンもので。

やつい　なんですかね、やっぱ最後のコントは毎回評判いいですよね。「感動した」っていう人もいます。やっぱり学生時代にそういう恋愛がなかったから憧れちゃってるんですかね。

今立　マンガとかドラマの世界ですもん。

片桐　あるんですかね。

やつい　長澤まさみと山Pの「プロポーズ大作戦」！ 俺、あれ見てもう本当毎回泣いてたんですよ。「なんでこんな恋がなかったんだろう」と思って。

片桐　わかる！ 「なんでないんだろう？」って思いますよね。

やつい　ぐんぐん来ちゃって。で、もともとあだち充先生の「タッチ」が好きってのもありますし。「なんで近所に住んでないんだろう？」と思って。「なんでうち平屋じゃないんだろう？」ってね。

今立　平屋かどうかは関係なくね？

やつい　市営住宅だよ？ すっげー狭いんだよ、家が。

今立　トイレはあるでしょ？

やつい　トイレ、お前、ここだよ壁！（と言いながら、顔の前で壁の位置を示す）

一同　あはははは（笑）。

やつい　だって俺、壁におでこつかないとウンチできなかったから！

片桐　あっはっはっはっ（笑）！

今立　スイッチだ、スイッチ（笑）。

やつい　東京来て、「ないなぁ、ドアが！」（顔の前で壁を探す）

今立　おでこ当てないとね。当てないと肛門が開かない（笑）。

やつい　自分の部屋もないわけですからね。あとから夜に忍び込むっていうのもできないんですよ。だって、来られたって全員寝てるわけですから。

片桐　あはははは（笑）。

やつい　お母さん、お父さん、弟もいて、そこに呼ぶわけにもいかないじゃないですか。風呂も買ってましたからね、浴槽をね。

片桐　風呂を買う!?

やつい　風呂って買うんですよ!? みなさん風呂って最初からついてるものだと思ってるじゃないですか。違うんですよ。フロアがあるだけなんですよ、水場みたいなのが。そこに浴槽を買って置いてたんですよ。そしたらおばあちゃんが泊まりに来まして、「おばあちゃん足弱いからこの高さじゃ入れないです」って言って（笑）。

片桐　またがなきゃいけない！ 置いたもんだから！

やつい　「いつか風呂が埋まるような家に住みたいね」つって（笑）。だからいまだに俺の夢ですよ、「埋まってる風呂に入る」。やっぱ風呂にちょっとトラウマが。「風呂に入るってのは大変なことだ」と。

今立　それで銭湯好きになっちゃったんだ。

片桐　広い風呂ってやっぱすごいもんね、確かにね。

やつい　シャワーもなかったですからね、うち。

エレ片のコントは全部ドキュメンタリー!?

──毎回コントのテーマはどうやって決めていくんですか？

やつい　今回は、あったことを全部コントにしたんですよ。

片桐　まあ毎回あったことが結構入ってるんですけど。

やつい　全部ドキュメンタリーですね。作り物がほぼなくて、体験したことをそのままコントにしてます。「激怒店長」とかも本当の話だし、「混浴大作戦」も本当に僕が言ったことそのままコントにしてるっていう。卓球のコントも、片桐さんの子供のエピソードを取ったりとか。ストリートミュージシャンの「シトラスラベンダー」も、愛知の小牧市にロケで行ったんですけど、そのときにいたブサイクな2人組をコントにしてて。「居酒屋頂上」も、僕が入った居酒屋で実際に起きたことに肉付けしてるだけですから。

片桐　最後のコントだけだよね、「あったらいいな」って作ったのは。ああいう青春がなかった人間って、やっぱりやりたいんですよね。

やつい　だから、あの最後のコントだけ妙にエグくないのかもしんないです。

片桐　他はリアルだから、どうしてもエグくなってっちゃう（笑）。

今立　渋みがね。

──今、エレ片としての悩みや課題はありますか？

やつい　……常に安心できないっていうことかな。

片桐　まあ、崖っぷちではありますからね、毎回ね。

今立　「何をやったらこんなの気に入ってくれんのかな？」みたいな。

片桐　あはははは（笑）。

今立　ライブとかはね、お客さんが来てくださるようになりましたけど。

やつい　「全然社会が気づいてくれない」っていう悩みですかね。

片桐　重い、重いわ（笑）。

やつい　……面白いですよね？

一同　あはははは（笑）。

やつい　もうちょっとみんな、なんか言ってくれてもいいですよね。まあ自己プロデュース能力がないのかな。プランニングを失敗したのかな？

──プランニングを失敗（笑）。

片桐　まあライブはライブなので、このDVDを出し続けるにはラジオの人気がついていけばいいってことだよね。

今立　今回、「3」が出るのは、「1」と「2」がある程度売れたからってことですから。

やつい　ぜひDVDを観て、ラジオを聴いて、またライブに来てもらえればと思います。