音楽評論本であると同時に「オリジナリティとは何か」を考えさせる批評書ともなっている本書。最終的にはタイトルにある「すべてのJ-POPはパクリである」という結論にたどり着く。サイン会を前に記者取材に応じたマキタは「長らく歌謡曲やJ-POPの研究をしてきた1つの成果。『作詞作曲モノマネ』の作り方も詳らかにしている。今は自己表現に欲目が出る時代。この本を読めば、ゴーストに頼らず自分の力で表現できる」と本書について時事ネタを絡めて紹介した。
特徴的なタイトルについて「一番“遠くに届く”本にしたかった。作詞作曲モノマネ講座、みたいなことを言ってもね」とその狙いを語るマキタ。“パクリ”に関しては「パクリ自体を否定してはいない。パクリから入ればオリジナリティが出せる。パクリだから悪いのではなく、この曲とこの曲はなぜ似ているのか、どちらのほうが芸があるのか、ということに興味がある」と自身のスタンスを入念に説明する。
お笑いにおけるパクリについて尋ねられると「三段オチやどう外すか、といったセオリーがお笑いには大事。それを踏まえた上で、自分らしさを出せるかどうか」と持論を展開。「もしも自分がパクられる立場になれば、僕の作った法則が普遍的だということだから、名誉になる」と話す一方、同じ音楽ネタを得意とするほかの芸人については「邪魔でしょうがない!」とライバル意識をあらわにして取材陣の笑いを誘った。
本名の槙田雄司名義ではすでに著作を発表しているが、マキタスポーツ名義では初となる1冊。「マキタスポーツのマキタスポーツたる所以、マキタスポーツの基礎となるものを包み隠さず書いた。マジックの種明かしのようだが、音楽のマジックはその先にアメージングな驚きがあると思ってる」と、その思いを訥々と述べた。「すべてのJ-POPはパクリである~現代ポップス論考」は先月1月発売。
すべてのJ-POPはパクリである~現代ポップス論考
第1章 ヒット曲の法則
ヒット曲を生み出す時代背景 / カノン進行は一発屋を生む? ほか
第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
ファッション化する音楽 / AKB48の曲がヒットする2つの理由 / ももクロのジャンクさは確信犯 / ジャニーズという「ジャンルのすごさ」 / ビジュアル系をビジュアル系たらしめる3要素 ほか
第3章 モノマネから発するオリジナリティー
作詞作曲モノマネはオリジナルなものを生み出す / オリジネイタータイプとフォロワータイプ ほか
第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
アーティストの非常に「柔らかい部分」 / 「ノベルティー・ソング」とは何か / 「人格/規格」という見立てでアーティストの秘密がわかる / パクリ論争などバカバカしい ほか
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- すべてのJ-POPはパクリである|書籍詳細|扶桑社
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マキタスポーツ/小説『雌伏三十年』文藝春秋社より発売中 @makitasports
結構丁寧にまとめてくれてる RT @owarai_natalie: マキタスポーツ“パクリ”問題の論考入念、サイン会は変装 http://t.co/oa7SXAeHBN