ナタリー PowerPush - NEXUS

SION×TAKUMA(10-FEET)リスペクト対談

11月13日、東京・新木場STUDIO COASTにて「NEXUS ロックの階段を昇ろう」と題したライブイベントが開催される。このイベントには、SION & The Cat Scratch Combo、10-FEET、Pay money To my Painらが出演。今回はライブを目前に、SIONと、以前からSIONをリスペクトしていたという10-FEETのTAKUMA(Vo,G)との対談が実現した。以下に、世代を超えて意気投合したトークの模様をお届けする。

なお「NEXUS」では、この日以外にも「CROSSOVER 2010」「ANNEXUS」「ACOCORO」「RESPECTABLE 80's ~渋公リターンズ~」と題したユニークなイベントを次々と実施。あらゆる世代の音楽ファンを満足させる充実のラインナップをぜひチェックしてほしい。

取材・文/鹿野淳

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10-FEETのことが単純にうらやましかったよ(SION)

──TAKUMAとしては、ついに憧れのSIONさんに会える機会が生まれました。

TAKUMA 本当に今日はありがとうございます。

SION こちらこそ(笑)。俺ね、人の音楽をガタガタ言えるような音楽をやってないんだよね。好き嫌いがあるだけでね(笑)。

インタビュー風景

TAKUMA いや、無茶苦茶緊張しています。僕、実はSIONさんの音楽と出会ったのは後追いでして。それまでは北海道の友達のところに遊びに行くと、酔っ払うといつも「SIONのあれ聴こうぜ!」ってなって(笑)。べろべろになったらSIONさんの音楽が登場してたんですよ。他にも、地元の先輩かつトランペッターをやってくれる、ドクター長谷川っていう男がいるんですけど、このドクター長谷川がやってる店が「コンクリートバー」という名前で。それはSIONさんの「コンクリート・リバー」にちなんでるんです。そういうふうにいろんなところからSIONさんに出会うきっかけはあったんですが、G-FREAK FACTORYというバンドの茂木(洋晃)という同志がいまして、彼からSIONさんを教えてもらったのをきっかけに、ちゃんと聴き始めたんです。……今はライブ前にいつも「夕焼け」とか「Darling」を聴いて、自分を奮い立たせてからライブに臨んでいます。

SION 俺も10-FEETをMySpaceで聴かせてもらいました。単純にうらやましかったよ、ははは。ああいう雰囲気と音の使い方に憧れているんだよね。……俺は自分で日本最初のラッパーだって言ってたんだけど(笑)、周りにいなかったんだよね、そういう音楽をやってる奴らが。だから単純にこれを仲間と一緒に作るのって楽しいだろうなあって思った。

──それはバンドというスタイルでロックンロールとヒップホップといろいろなものが混ざった感じが……。

SION そうそう。それが単純に楽しいだろうなって思ってうらやましかった。今、スタジオからここまでアルバムを聴いてきたんだけど……すごく心の中が繊細な人がいるでしょ、って思ってた。言葉の使い方とか、普通にビートに乗っかっているメロディや何かの響きがすごいロマンチックなんだよね。あれは………あれはもう、いかんぜよ!

TAKUMA ははははははははは(もう泣きそうです)。でも俺も兄さんの歌詞を聴いて「これ、こういう気持ちにさせてもらえるんだ。俺もスピーカーの向こうで聴いてくれてる人をこういう気持ちにさせたいんだよ!」って本当に思いました。

言葉じゃなくて、持ってるものが鳴るんだよ(SION)

SION ほら、俺たちって洋楽に憧れて、意味がわからないのに泣いたりしてきたわけで。……だから、それは(心に何かを)持ってるんだよ。言葉じゃなくて、持ってるものが鳴るんだよ。だから俺はこの音楽がうらやましいし悔しいなって聴いてて思ったの(笑)。素晴らしいっすよ。

TAKUMA ……すいません、こんなにうるさいのをずっと聴いてもらって。

SION ははははは、楽しかったよ。俺も小っちゃい頃から音楽詳しくなかったけど、好きな人がいたりするでしょ、俺の場合はジョニー・サンダースとかがそうで。で、その好きなロックを俺だったらこうするのにって思ったりするじゃない。そこから少しずつ自分の音楽ができあがっていくんだよね。……これはデビューの頃から言ってるんだけど、俺に新しいものなんて何もないっすよ。どっかで聴いたり感じてることをポロッとやってるだけだから。だから俺の場合、斬新なものなんて何もないんだよ。で、何十年もやってると、周りが「SIONってこんなだよね」って勝手にイメージつけるわけじゃない。それが迷惑だったりする場合もあるんだけどさ(笑)、俺は自分ができることをやってるだけなんですよ。だって、やりたいと思ってもできないことがあるじゃない。だったら俺は俺でできることをやるしかないからね。……だから、ぶっ飛ばしちゃいなさいよ(笑)。

TAKUMA はい! ぶっ飛ばします。いや、ぶっ飛ばせます、今日からさらに!!

SION ははは。俺もさ、まるで税金を払うように未だにCDを買い続ける先輩がいるんだけどさ、(ボブ・)ディランやトム(・ウェイツ)ちゃんとか。そろそろそいつらからお返しをもらってもいいんじゃないか?って思うんだけどさ、ニール・ヤングにしてもそう、未だに終わってない先輩方々が好きなんだよね。たとえ「えー!」って理解できないアルバムを出しても、がんばってくれている先輩がいてくれるのがうれしいし、俺もそういう存在でありたい。デビュー25周年、30周年とかなっても、何があっても1年か2年に1回、新しい歌を──聴く人には「同じ歌じゃないか!」って言われても──作っていきたい。

NEXUS公演情報

NEXUS CROSSOVER 2010

2010年11月12日(金)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 17:30 / START 18:30
<出演者>
AZU / 九州男 / KG / C&K / SoulJa / DJ KAORI / 童子-T / BENI / MAY'S

NEXUS ANNEXUS

2010年11月12日(金)
東京都 ageHa@STUDIO COAST
OPEN 23:00 / START 23:00
<出演者>
DJ:ウエノコウジ(the HIATUS/DAD MOM GOD/RADIO CAROLINE) / 片平実(Getting Better) / カトウタロウ / 草刈愛美(サカナクション) / KEN ISHII / 鹿野淳 / SUGIURUMN / ダイノジ / DJ LOVE(世界の終わり) / ハヤシ(POLYSICS) / 矢口雅哲(ムック) / 山口一郎(サカナクション) / and more
WORLD WIDE MOUSHIWAKE NIGHT:ミッツィー申し訳(申し訳ナイタズ) / ギュウゾウ申し訳Jr.(電撃ネットワーク) / GEE申し訳Jr.(GTS) / ACID TOMMY申し訳Jr.(福富幸宏) / 西寺郷太申し訳Jr.(NONA REEVES) / LEGENDオブ伝説 a.k.a.サイプレス上野申し訳Jr.(サイプレス上野とロベルト吉野) / and more
Guest DJ:DJ JIN(RHYMESTER) / 小宮山雄飛(ホフディラン) / and more
LIVE:group_inou / Fear, and Loathing in Las Vegas

NEXUS ロックの階段を昇ろう

2010年11月13日(土)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 16:00 / START 17:00
<出演者>
SION & The Cat Scratch Combo / 10-FEET / Pay money To my Pain / and more

NEXUS ACOCORO

2010年11月14日(日)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 16:00 / START 17:00
<出演者>
WEAVER / Salyu / NICO Touches the Walls / 大知正紘 / 長澤知之 / Predawn / Rake / 山崎まさよし

NEXUS RESPECTABLE 80's
~渋公リターンズ~

2010年11月21日(日)
東京都 渋谷C.C.Lemonホール
OPEN 16:00 / START 17:00
<出演者>
出演アーティスト:水戸華之介(ANGIE) / ISSAY(DER ZIBET) / HIKARU(DER ZIBET) / 浜崎貴司(FLYING KIDS) / 源学(GEN) / SHIGE(GEN) / 森若香織(GO-BANG'S) / 宮田和弥(JUN SKY WALKER(S)) / 森純太(JUN SKY WALKER(S)) / 川上次郎(KUSU KUSU) / MAGUMI(LÄ-PPISCH) / 杉本恭一(LÄ-PPISCH) / アキマツネオ(マルコシアス・バンプ) / 田村"SHO-TA"直美(Pearl) / 広石武彦(UP-BEAT) / 森重樹一(ZIGGY)
80's ROCKESTRA:Dr.kyOn(Key) / 小田原豊(Dr) / TOKIE(Bass) / 玉城宏志(Guitar)
司会進行:スマイリー原島 / ちわきまゆみ

SION(しおん)

SION

1960年生まれ、山口県出身のシンガーソングライター。19歳で上京し、新宿を拠点に活動をスタート。1985年に発表した自主制作アルバム「新宿の片隅で」が反響を呼ぶ。1986年にアルバム「SION」でメジャーデビューを果たし、以後精力的な音楽活動を続ける。現在は、SION & THE MOGAMI、SION & The Cat Scratch Comboという2つのバンドを率いて活動するほか、盟友・松田文とのコンビによるアコースティックライブも不定期に行っている。

10-FEET(てんふぃーと)

10-FEET

TAKUMA(Vo,G)、NAOKI(B,Vo)、KOUICHI(Dr,Cho)の3名により、1997年に京都で結成。2001年4月に1stシングル「april fool」をインディーズからリリースし、3rdシングル「RIVER」がスマッシュヒットを記録。2003年6月に4thシングル「nil?」でメジャーデビュー。2008年からは野外フェス「京都大作戦」を開催(2007年は台風により中止)し、地元・京都の音楽シーンを熱く盛り上げている。