ナタリー PowerPush - 水樹奈々×T.M.Revolution

まだまだ続く!? カリスマコラボの行方

熱唱バトルシーンとその舞台裏

──前作の近未来SF風ビデオクリップも衝撃でしたが、今回もまた壮大なストーリーを感じさせる作品になりましたね。今回は古代ローマ帝国風というまったく異なる時代背景だけど、最後に血と涙が合わさるシーンは前作との連続性も感じられて。

水樹 やっぱり映像もどこか前作の意志を受け継いだものにしたくて。でも同じ方向でストーリーを継ぐのではなく、あえて真逆の背景にしました。コロッセオを舞台に、決して相容れない水と炎の騎士が対峙して歌い合うという。だけど相容れない関係だからこそ惹かれ合う……そういうものって1人の心の中にもあると思うんです。ガラスを挟んで向こう側にいるのは本当はもう1人の自分なんじゃないか、そんな葛藤を描きたいなって。この曲がオープニングテーマになった「革命機ヴァルヴレイヴ」もまさにそうで、主人公のハルトとエルエルフも対照的な関係だけど惹かれ合い、行動をともにしているんです。そんなアニメの世界観ともリンクした作品にしたくて。そして今回もまた、アクションが……(笑)。

──アクロバティックなバトルシーンが展開されていますよね。

水樹 できるギリギリまでは私たち自身が演じています。宙返りはちょっとできないので(笑)、そこはプロの方にお願いして。

──演技をすることに関しては2人ともノリノリですよね?

T.M.Revolution

西川 ええ。好きなんですよ(笑)。前作はリップシンクすらなかったので「2人が歌うところが見たい」という声もあったんです。今回は逆にたっぷりと2人が向かい合って……これまで横に並んで歌うことはライブや歌番組なんかでもありましたけど、お互い向かい合って歌うのは……ね(笑)。

水樹 いやー、すごく新鮮でしたし、最初はすごく照れました(笑)。「えっと、どのあたりを見てたらいいですか?」って監督さんに聞いたりして(笑)。曲がかかって世界に入り込んでしまえば、照れは吹き飛んじゃうんですけど。

西川 曲が止まったら2人ともニヤニヤして(笑)。いや、前にさえぎるものがなければもっと自然に会話ができたんだろうけど、厚いガラスが間にあるから「ん? えっ?」って(笑)。大きな声も出せず、パントマイムで会話するっていう。向かい合って歌うのは新鮮でもあったし、戦う2人の姿はいろんなふうにとらえてもらえると思ったんですね。剣と剣、拳と拳、情念と情念を正面からぶつけ合っている2人は、本当は戦いたくないんだけど戦わざるを得ない状況に置かれてるんじゃないか、善悪の戦いではなくお互いの正義を貫いているだけなんじゃないかとか。

──ト書きがあるわけじゃないし、映画で言えばクライマックスシーンのみを抽出したような状態ですけど、ここに描かれていない2人の関係性やストーリーまで想像して楽しめるんですよね。剣を持って戦っているけれど、決してただの敵国同士のいがみ合いではないだろうなという。

西川 うんうん。それが楽曲やアニメのテーマともすごくリンクしているし、「Preserved Roses」ももう一度聴いてみようかなって気持ちにさせてくれると思うんですよ。2曲合わせて愛でてもらえるような、素敵な作品にしてもらえました。

「イナズマロック フェス」で初披露

──「革命デュアリズム」は9月に開催された西川さん主催の「イナズマロック フェス 2013」で初披露されたんですよね。大勢のお客さんを前に歌ってみていかがでしたか?

水樹 緊張しましたー! しかも自分のライブではなく、西川さんのフェスにお邪魔しての初披露だったのでなおさら。それに西川さんには私の西武ドームのライブに来ていただいて(参照:水樹奈々の西武ドーム2DAYSに日笠陽子&西川貴教登場)、めちゃくちゃ盛り上げていただいたので……。

西川 いやいやいや。

水樹 すごかったんです! みんなの地を這うような声援が西武ドーム中に鳴り響いて、すごく素敵なステージになって。それを受けての「イナズマ」だったので、私もご恩返しをしなくては!という使命に燃えていて(笑)。控え室でスタンバイしているときも、会場の声援と皆さんの歌声が聞こえてきて、皆さんのフェスに賭ける情熱がひしひしと伝わってくるんです。出番が後ろになればなるほど、皆さんの思いを背負って舞台に立たなくちゃいけないから……。

──しかもアンコールが出番となると、背負い込む期待感の大きさたるや。

水樹 そうなんです! 今までにないプレッシャーを感じて。私、ロックフェスにお邪魔すること自体初めてだったので、まずその緊張感もあるし、西川さんのファンの方にも受け入れていただき楽しんでいただけるように……と。西川さんは西武ドームで「ペットボトルと生卵が投げ込まれる覚悟をしていた」っておっしゃってましたけど、私も同じような気持ちでした(笑)。だから「奈々ちゃーん!」ってあったかい声援で迎えていただけたことがすごくうれしくて。初のロックフェスで見たことがない景色を体感させていただいて、1曲目に「Preserved Roses」を歌ったときから鳥肌でした。初披露の「革命デュアリズム」では、皆さん1コーラス目まではしっかりと聴きながら、そして2コーラス目からは息ピッタリの声援を送ってくださって。皆さん本当に反射神経がいいというか、吸収力がすごくてびっくりしました!

西川 そうそう。もう始まってたよね(笑)。

水樹 とても初披露とは思えない一体感!

西川 2人で一緒に歌う機会を1回でも多く作りたかったんですよ。でも今年はお互いソロでツアーを回っていたから、それぞれ別で「Preserved Roses」を歌ってたんです。水樹さんのほうには僕の声だけが行き、僕のほうには水樹さんの声だけが届いて。それがときおり完成形として召還できるというか(笑)、その貴重な機会をなるだけ多く作りたいという思いがあって。しかも「革命機ヴァルヴレイヴ」を製作しているMBSには「イナズマ」を1年目から一緒に組んでやらせていただいてるんですよ。そういうご縁もあったものですから、初披露の場としてはピッタリだなと。新曲を披露できる喜びと同時に、水樹さんを我が故郷へとお招きできた喜びもあり。いやあ、感慨深いものがありました。またあの雰囲気がね。ちょうど夜の帳が降りた頃に、たくさんのお客さんと、吹き抜ける風と……。

水樹 そうですね。……はあー、すごく楽しかったです!

コラボレーションシングル「革命デュアリズム」 / 2013年10月23日発売 / キングレコード
初回生産限定盤 [CD+DVD] 1500円 / KICM-91471
期間生産限定盤 [CD] 500円 / KICM-91472
通常盤 [CD] 888円 / KICM-1473
初回生産限定盤CD収録曲
  1. 革命デュアリズム
    (TVアニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」2nd SEASONオープニングテーマ)
  2. 革命デュアリズム -アニメバージョン-
初回生産限定盤DVD収録内容
  1. 革命デュアリズム MUSIC VIDEO
  2. 革命デュアリズム TV SPOT集
  3. TVアニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」2nd SEASON TV SPOT
期間生産限定盤CD収録曲
  1. 革命デュアリズム
通常盤CD収録曲
  1. 革命デュアリズム
  2. 革命デュアリズム (Nana Mizuki Only)
  3. 革命デュアリズム (T.M.Revolution Only)
水樹奈々(みずきなな)

愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコン週間ランキング1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収めた。2012年12月に通算9枚目のオリジナルアルバム「ROCKBOUND NEIGHBORS」を発表。同年末には4年連続となる「NHK紅白歌合戦」への出場を果たした。2013年7月には通算29枚目のシングル「Vitalization」をリリース。夏には全国8カ所計11公演のツアー「NANA MIZUKI LIVE CIRCUS 2013」を開催。11月23、24日には自身初となる台湾公演も決定している。

T.M.Revolution(てぃーえむれぼりゅーしょん)

1970年滋賀県生まれの西川貴教によるプロジェクト。1996年5月にシングル「独裁-monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲と圧倒的なライブパフォーマンスで人気を集め「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」などのヒット曲を連発する。2008年には「滋賀県ふるさと観光大使」に任命され、2009年からは滋賀県初となる大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を主催。2013年2月にはセルフカバーベストアルバム第2弾「UNDER:COVER 2」をリリースした。同年6月からは全32公演の全国ツアー「T.M.R. LIVE REVOLUTION’13-UNDER:COVER2-」、9月には5年連続となる「イナズマロック フェス」を行い、いずれも大成功に収めた。そのほか、司会・俳優など幅広い分野で精力的に活動を展開している。