リミッターカットで行こう！「落語スナック玉ちゃん」

ライブスペース・新宿レフカダの、とある一角に店を構える「落語スナック玉ちゃん」。オープニングではマスター・玉袋筋太郎とアルバイトレディのグラビアアイドル・坂本りおんが、ゲスト来店を前にミニトークで肩慣らしを始める。

今回は「坂本りおんにトーク力を養ってもらおう」というテーマのもと、玉袋が坂本にいくつかのクイズを出題。しかしそのクイズを通して、店内にはちょっと危険で大人な単語が次々と飛び交うことになる。坂本は「セクハラですよ！」とおかんむり。一方の玉袋は「“リミッターカット”で今日は行こう！」と早くもノリノリだ。

トークの勢いそのままに、2人は地下のライブ会場へと姿を見せ、来場客へ収録にあたってのガイダンスを展開。ギリギリトークで客席を沸かせながら、玉袋は「スナックと寄席の二毛作！ 新しいビジネスモデル！」とこの番組のスタイルに胸を張る。

続けて前座として笑福亭明光が登場。笑福亭鶴光の弟子でもある明光は古典落語「手紙無筆」を歯切れのいい口調で披露し、客席の空気を温めた。

「NHK新人演芸大賞」受賞も納得の話術・桂宮治編

この日最初に「落語スナック玉ちゃん」を訪れたゲストは、昨年「平成24年度NHK新人演芸大賞・落語部門」を受賞したことでも注目を集める二ツ目・桂宮治（かつらみやじ）。

宮治の生まれは東京の武蔵小山。同じく東京出身の玉袋もその生い立ちに共鳴する。さらにトークの中で、宮治と玉袋、そして坂本には「母親がスナックを経営していた」という共通点があったことが発覚！ 3人はおもわず固い握手を交わす。

しかし話が弾むに連れ「どうも怪しい！」と宮治のことを訝しがり始める玉袋。宮治の少し怪しげな来歴が徐々に明らかにされていく。そのエピソードは聞く者に強烈なインパクトを残すものばかり。話の落とし方、すかし方のテクニックも絶妙で、レフカダ地下でスクリーンを通して観賞する客席でも盛んに笑いが生まれる。

この後、宮治は息つく間もなく地下に移動して高座に上がり、落語を開始。玉袋とのトークを受けて「今日はずっと猥談だけでいいですか？」と客席にジャブを入れつつ、幼少期の「人生の終わり」のような記憶や、有名な玩具にまつわる小ネタをまくしたてる。演目は古典落語「棒鱈」。複数の個性的な登場人物を迫力たっぷりに演じわけ、幾度となく爆笑を巻き起こした。

ANNリスナーの玉ちゃん感激！ 笑福亭鶴光編

2組目のゲストは笑福亭鶴光。かつて毎週土曜日の深夜ラジオ界をエロ一色に彩った「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン（以下ANN）」（ニッポン放送）のリスナーだった玉袋にとって、鶴光は憧れの存在でもある。

「下ネタやってて蔑まれる！」「芸能生活46年、この道や！」と独特の陽気な名調子で誰しも自然と笑顔にさせてしまう鶴光。そんな鶴光の放送を、玉袋は師匠・ビートたけしのANNよりも先に聞いていたと告白する。当時の深夜ラジオから発生した数々のブームや「社長から怒られた」「リスナーからクレームが殺到した」といった番組が瀕した危機など、鶴光は隙のない鉄板トークを展開。玉袋もひたすら嬉しそうだ。

やがて玉袋のたっての願いで、一世を風靡した鶴光の名ゼリフ「乳頭の色は？」などもこの場で実演されることに。紅一点の坂本に相対して、玉袋と鶴光2人がかりでお色気トーク全開！ かつてANNでも女性アイドルをゲストに招いた鶴光にとって、アイドルの扱いはお手のものだ。

さらに話題は、落語と漫才との比較論へ発展。漫才師・玉袋も興味深そうに話に加わる。「夢のよう！ 中学時代の自分に『鶴光師匠とお話できたんだぞ』と言いたい！」と、玉袋の鶴光へのリスペクトは最後まで貫き通された。

この後すぐに地下へ移動して高座に上がった鶴光は「トークの後はしんどいでんな！」と率直に話し始める。今回の演目は古典「善悪双葉の松」。こまめなダジャレで聴衆をくすぐる演出も施されながら、めまぐるしくストーリーが展開される。真摯に高座へ取り組む鶴光の語りに、いつしか魅了されるのだった。

笑福亭鶴光コメント

やりやすいお客さんでしたよ。今回のネタはスマホで放送されるから、「これ、なんやろな？」と、もう1回また見たくなるような、“筋のあるモン”をやっといたほうが印象に残るかな、と思ってやりました。リピートを目的としたネタというかね。しかし、ここ（「落語スナック玉ちゃん」）に座ったら、なんでもベラベラ喋ってしまうね（笑）。頭のどっかに「この後、落語せなアカン」というのはあるけど、それも忘れてしまう。（玉袋とは）何回か会うたことあるね。本人がお酒飲みやから、スナックによく似合う。こういう店、 新宿のゴールデン街あたりにあってもエエと思うよ（笑）。