音楽ナタリー PowerPush - the mornings

GOTH-TRADと完成させた“説明不能音楽”

録音が終わったときは家帰って泣いたけど

──実際にGOTHさんからミックスされて戻ってきた曲を聴いたときは、どんな感想でした?

けいか 「どひゃひゃひゃひゃ!」って。

──どういうことですか?(笑)

けいか 最初にミックス後の曲が送られてきたのがちょうど息子の誕生日で、ディズニーランドに行った帰りの車で聴いたんですよ(笑)。カーステレオの再生ボタン押したらいきなり、爆破したみたいな音が響いて。

キシノジュンヤ(Vo, G)

ジュンヤ 「最近のアメリカ人」っていう曲の最初に、スネアがパァンって入るんですけど、それが、シャンシャンシャンバーーン!てとんでもないことになってて。その瞬間に、「ああ、頼んでよかったー!」って(笑)。

けいか もう拍手だよね。  

ジュンヤ これはヤバいって盛り上がった。

ポンタ ほんとにワクワクしましたよ。

──今までメンバーだけで作っていたものの中に、急に外の人の手が加わるのって、やっぱり違和感や抵抗もあるものだと思うんですよ。

ジュンヤ いや、なかった。なんでかと言うと、10年やってきて、バンドメンバーではもうやり尽くしてるから。だからGOTHさんの力を借りたいと思ったわけで、そこは信頼してました。世界で活躍するディレイの人ですから。もともとはパパ友だけど(笑)。

けいか うん。「これは違う!」とかはなかった。だからミックスした音源がメールで送られてくるの、毎回超楽しみだったよね。

──GOTHさんの言う「頼られすぎても困る」みたいな部分は?

ジュンヤ あ、大丈夫でした?(笑)

GOTH うん、全然大丈夫だった。気付いたことがあったら教えてとは言ってあって、最後にいっぱい注文あったしね。

けいか 最後にいろいろお願いしちゃいましたよね、そういえば。

the morningsとGOTH-TRAD。

GOTH そうやってバンドのこだわりがあったほうが、こっちも絶対やりやすいんですよ。彼らはリアクションをちゃんと返してくれるし、良い悪いの判断を持っているから。

ジュンヤ GOTHさんが、「曲が求めてるのはこれでしょ」っていう判断を、すごく冷静にしてくれてるなって感じました。実はね、レコーディングが全部終わったとき家帰って泣いたんですよ。ああ、これで10年やった甲斐があったな、いろいろあったけど作れたなって。でもGOTHさんに渡して、返ってきたらめちゃくちゃいい音に生まれ変わってて、「あれっ? あのとき喜んだのはまだ違った!」って。

ポンタ もっともっとすごいものになってしまった!みたいな(笑)。

毎年アルバムを出して、いいクオリティになるとは思えない

──GOTHさん自身も、オリジナリティを追求したり新しいものを作ろうとずっと戦ってきたと思うんです。一方でモーニングスも、売れる曲ではないしプロのミュージシャンではないかもしれないけど、彼らなりの哲学を持って真剣に音楽を続けてきたアーティストですよね。そういうところで、GOTHさんの中でも何か通じるものを感じたりしていたのかなと思っていて。

the mornings

GOTH それはありましたね。さっきも言ったけど、子供が産まれてそのまま消えていくパターンって本当にたくさんあると思うし、月に1本2本なんとなくライブをやって「私ミュージシャンです」みたいな人もいっぱいいるんですよ。だから、彼らがまた作品を作ろうと思えたことはすごいことだと思う。でも、そのモチベーションをキープすることがミュージシャンにとって一番大事なことだから、重要なのはこれからだとも思っていて。

ジュンヤ うん、そうですね。

GOTH 俺もそうだけど、売れるから音楽やってるわけじゃないんですよ。自分らが目指しているものを作って売るから楽しいんです。だから、近い目標や大きな未来の目標を組み立てながら、続けることが大事だなと思う。俺も常にそういう気持ちでやってるから。

──モーニングスの今後の目標は?

GOTH 燃え尽きたとか言うなよ。

ジュンヤ あ、けっこう正直、もうこれを作って……。

けいか 今は……抜け殻(笑)。

GOTH-TRAD

GOTH でもさ、今の音楽業界は毎年アルバムをリリースするのが普通だけど、それがおかしいんだよ。ゼロからものを作るのに、そんな短期間じゃできっこないって。俺がアルバム出したのって2005年の次が2012年だから、7年かかってるんだよ。でもその間遊んでたわけじゃなくて、海外ツアーを何回も周って、イベントやって、ライブやって、何年も積み重ねてようやく次のアルバムが作れるんだよね。それで新しい作品を武器にして、また何年もかけていろんなところに行くわけじゃん。モーニングスのアルバムだって、来年の夏に初めて聴く人だってたくさんいると思うし。そう考えると、リリースしてから1年を通して何をするか、2年目はどうしようかって考えるべきなんだよ。毎年アルバムを出してツアー回ってお金を儲ける、というサイクルで、いいクオリティのものが作れるとは思えない。

ジュンヤ うん、本当にそうですね。そういう意味では、僕のモチベーションはずっと曲を作ることにあったんですよ。でも、それが出し切った今はできないんです。

GOTH アルバムって体力をかけて作るし、そこにすべてのアイデアを注ぐんだから。空っぽになるまで本気を出せたのはいいことなんだよ。日本の音楽業界って、リリースして2カ月くらいで結果が出せなかったらダメみたいになってるけど、俺は絶対そうは思わない。だから自分で気持ちを強く持って、モチベーションをキープしながら長くやっていかないと。ここからの1年をどう過ごすかだよ。

ジュンヤ 俺も今回のアルバムは、長く聴いてもらえるものにしたいと思ってて。それで時間をかけて自信が持てるものを作ったし、GOTHさんにもお願いしたわけで。だからしばらくは、もっといろんなところで演っていかないとですね。

ニューアルバム「idea pattern」 / 2014年10月29日発売 / 2101円 / ハリエンタル / HET-04
ニューアルバム「idea pattern」
収録曲
  1. fuji
  2. 最近のアメリカ人
  3. VSCOM
  4. B/S/D BLADE
  5. ケチャンゲリオン
  6. グリーンメタル
  7. お腹の痛い敵
  8. キラーサーカス
  9. ベースは森
the mornings “idea pattern” release party
2014年11月19日(水) 東京都 下北沢SHELTER
OPEN 19:30 / START 20:00
料金:前売 2000円 / 当日 2500円(ドリンク代別)
出演:ゲスバンド / bronbaba / the mornings
the mornings 出演ライブ情報
2014年11月8日(土) 京都府 GROWLY
SANMA SONIC 2014
2014年11月22日(土) 愛知県 SONSET STRIP
LUMP vol.2.0 ~the mornings & folk enoughダブルレコ発!!~
2014年11月27日(木) 東京都 新宿dues
ディスクユニオンpresents “otori × the mornings 同時レコ発”
2014年12月12日(金) 東京都 下北沢ERA / 下北沢リンキィディンクスタジオ1st全部屋 / Bar Space ERAのうえ
みんなの戦艦presents“みんなの戦艦リンキーディンク4”
the mornings(モーニングス)

the mornings

ワタナベシンペイ a.k.a. ポンタ(Vo, Syn)、キシノジュンヤ(Vo, G)、けものけいか(Vo, Dr)による3人組バンド。2003年結成。ハードコア、ニューウェーブをベースにしたサウンドをもって怒涛のライブを展開。若手バンドが集った「TOKYO NEW WAVE 2010」のほか、術ノ穴主催のコンピレーションでtofubeats、環ROYらと名前を並べるなどジャンル/シーンを越境しながら活動ペースを一層活発にし、2010年には満を持しての1stアルバム「SAVE THE MORNINGS!」を発表。2013年、アメリカテキサスで行われた「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に参加。

GOTH-TRAD(ゴストラッド)

the mornings

ミキシングを自在に操り、さまざまなアプローチでダンスミュージックを生み出すサウンドオリジネイター。2001年、秋本"Heavy"武士とともに REBEL FAMILIAを結成。2003年に1stアルバム「GOTH-TRAD I」を発表し、国内でソロ活動を本格的にスタート。積極的に海外ツアーを始める。2005年には2ndアルバム「The Inverted Perspective」をリリース。同年11月にはMad Raveと称した新たなダンスミュージックへのアプローチを打ち出し、3rdアルバム「Mad Raver's Dance Floor」を発表。このアルバムに収録された「Back To Chill」がロンドンのDUBSTEPシーンで話題となり、2007年にUKのSKUD BEATから「Back To Chill EP」を、DEEP MEDi MUSIKから、12インチ「Cut End / Flags」をリリースした。以降、国内外からリリースを続け、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア等、世界中でコンスタントにツアーを重ねる中、2012年にはアルバム「New Epoch」を発表し「FUJI ROCK FESTIVAL'12」に出演。2011~2014年にかけては、欧米のビッグフェスにも出演してきた。2006年より開始した自身のベースミュージックパーティ「Back To Chill」のレーベルが、2014年始動。第1弾となるコンピレーションには、GOTH-TRADやENAはもちろん、100mado、DUBTRO、Karmaなど国内外のレーベルからリリースを重ねる精鋭による録り下ろしの10曲が収録されている。