音楽ナタリー Power Push - Sugar's Campaign

友達から家族へ “バグ”から生まれた「ママゴト」

バグを発生させるため一生懸命がんばりました

Seiho そもそも僕らは付き合いが長いし、お互いのこともよく知ってるんでバグが発生しにくいんです。だからこそ自分たちでも処理できない哲学の話とか、自分たち以外の人間を置いて音を作ることで変化を与えていく。そういう意味で今回はバグを発生させるため一生懸命がんばりました(笑)。とにかく今回のアルバムは、真面目にやったってことが一番強い。

Avec Avec あと僕ら何かと奇をてらいがちなので、今回はできるだけ真面目にというのを意識しています。真面目にバグを起こさせる、それが大事だなと。「ママゴト」というタイトルも真面目に考えた結果こうなったものなんです。

Seiho 僕らにしてみれば「家族」をテーマに思想的な部分から組み立てていって、「ここは直接的に」「ここはもっとわかりやすくしよう」と歌詞やメロディを作っていった結果、できあがったものが90年代のJ-POPに聞こえてしまうという謎の現象(笑)。それがめっちゃ不思議だし、面白かったですね。

シュガーズ=テーマがあるプロジェクト

──ちょうど音の話が出たところで、サウンド面についても聞かせてください。それぞれソロでの活動が今作にフィードバックされた部分もありましたか? Avec Avecさんは松本伊代さんの「センチメンタル・ジャーニー」の編曲や、牧野由依さんに楽曲提供した「Pastel Town」などの仕事が印象的でしたが。

Avec Avec プロデュース仕事やCM仕事はルールの中で依頼内容をどうするかっていうのが大事なんですよね。もちろん新しいものを作るという意識は常にしているんですが。そういう制約があるからこそ、自分の得意なこと不得意なことを客観的に考える機会が多く、改めて自分のルーツを見つめなおすことができたという部分はあります。

Seiho

Seiho 僕はシュガーズが“週末”で、ソロが“平日”みたいな感じだったんですよね。帰って来る場所があるのは幸せなことやし、ありがたいことだと思います。ただ、「FRIENDS」の頃はまだ週末って感じだったけど、最近シュガーズが“祭り”ぐらいの感覚になってきてるんですよね。年に2、3回ぐらいの祭りの時期しか実家に帰れん、みたいな(笑)。まあ、自分のソロはシュガーズというお祭りがあるからがんばれるし、平日のがんばりが100%こっちにフィードバックされる。だからソロではどこまでも遠くに行けるって感じですね。

Avec Avec お互いに、今作を作ったことでシュガーズ=テーマがあるプロジェクトっていうのが今回でより明確になったなと思っていて。ソロでは先鋭的で好きなこと、シュガーズでは大衆に寄せた音楽をやってると思われがちなんですけど、全然そんなことなくて。むしろシュガーズは抽象的な物語をどう表現するかを追求するプロジェクトなんです。

Seiho 僕らがシュガーズを「劇団」と言ってるのはそういうことですね。俳優さんもそうだと思うんですが、自分の劇団の方がよりテーマ性を打ち出せる。そのバランスに近い。

Avec Avec ポップスって身近な音楽だから寄り添えるってわけではなく、自分の世界から超越してるからこそ、リスナーの心に寄り添えるものだと思うんです。自分ではどうしようもない運命に寄り添えるのはフィクションだけだから、僕はシュガーズでやるポップスはそういうものを作りたいと思ってます。

Seiho シュガーズはどっちか一方の意見を優先するでも中立的な回答でもなく、両方置いてみることで判断させる物語なんです。だから曲の中で男の子の気持ちを歌っているのは女の子、女の子の気持ちを歌ってるのは男の子だったりするんです。「ポテサラ」で歌ってることも、絶対に子供が言わない大人が使うフレーズをわざと使ってるんです。それによって見えてくる本質的なものとか超越的なものを見せるのがシュガーズのテーマなので。

──1曲目の「ポテサラ」でいきなり子供の声が聞こえて驚きました。

Seiho そこも意識して入れたところですね。

今回は松竹新喜劇っぽい感じでいこうかな

──表題曲の「ママゴト」のボーカルを務めているのは、現在「ナツコイ」がヒット中の井上苑子さんですね。

左からAvec Avec、井上苑子、Seiho。

Seiho はい。「ポテサラ」と「ママゴト」でセットになってるところもポイントです。この2曲自体、裏表になっていて、「ポテサラ」は男の子が女の子に料理を作ってあげるんだけど、男の子が好む味付けを相手が好きかどうかわからないじゃん? それって恋愛のエゴとあまり変わらなくない?みたいな話。逆に「ママゴト」は父子家庭と思われる風景をリアルに歌っていて。

Avec Avec 空回りかもしれないけど、互いを思いやることによって家族になる、みたいな歌詞なんですよね。まあ、今Seihoが父子家庭と言いましたけど、もしかすると両親いて、お母さんが1日出かけてるだけかもしれない。それは聴いてもらう人の自由です。

Seiho そうそう。この歌詞ってお母さんに「あんたから怒って」って言われたときのお父さんの心情でもあると思うんです。言わなきゃいけないときは言わなきゃいけないけど、ほんまに好きで好きで仕方がない娘の存在を歌ってる。

Avec Avec なので等身大の存在として現在18歳の井上苑子ちゃんをキャスティングさせてもらいました。父親の視点から見た娘の歌を、娘が歌うという。

Seiho 誰かの結婚式で、娘がこれを歌ってオトンが泣くところをめっちゃ見たいですね(笑)。

──それはいいですねえ。さて、アルバムをリリースしたあとは、大阪と東京でワンマンライブ「あしたの食卓」が開催されます。

Seiho タイトルが劇団感を増してますよね(笑)。当日はいろいろ面白いことを考えてます。

Avec Avec 今回は松竹新喜劇っぽい感じでいこうかなと(笑)。ちょっとホロッとさせるような。

2ndアルバム「ママゴト」 / 2016年8月10日発売 / 2700円 / SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64603
2ndアルバム「ママゴト」
収録曲
  1. ポテサラ
  2. ママゴト
  3. 週末のクリスタル
  4. いたみどめ
  5. ただいま。
  6. マリアージュ
  7. いつかの夢から連れだして
  8. HAPPY END
  9. 1987
  10. レストラン-熱帯猿-
  11. SWEET HOME

Sugar's Campaign単独公演「あしたの食卓」

2016年8月25日(木)大阪府 SUNHALL
2016年8月26日(金)東京都 UNIT
Sugar's Campaign(シュガーズキャンペーン)

Avec AvecことTakuma Hosokawaと、SeihoことSeiho Hayakawaの2人によるポップユニット。2011年に始動し、ゲストボーカルを招く形で活動している。2012年1月に「ネトカノ」を YouTube にて公開し、ネットやクラブ、インディーロック界隈など各所で話題になる。約2年半後の2014年8月にアナログ、9月にCDで「ネトカノ」を発売。11月に初の単独公演「ネトカノリリパ」を開催し、SPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューすることを報告した。2015年1月にメジャー1stアルバム「FRIENDS」を発表。個々の活動と並行してSugar's Campaignとしてマイペースに活動を続け、2016年8月にニューアルバム「ママゴト」をリリースした。