ナタリー PowerPush - JUJU

テーマは「女の子の雑草精神」 3rdアルバム「JUJU」の秘密

JUJUがニューシングル「桜雨 / READY FOR LOVE / S.H.E. / Last Kiss」を2月24日にリリースした。これは耳の肥えたリスナーも唸らせそうな前代未聞の“4曲A面シングル”。見事に色の異なる楽曲が詰まった今作を、ぜひとも泣いたりアガったり切なくなったりしながら、愛おしんで聴いてほしいと思う。

そして、3月17日には3rdフルアルバム「JUJU」の発売も決定。今回のインタビューではシングルからの流れも踏まえつつ、女としての誇りが凝縮された大傑作についてJUJU本人に大いに語ってもらった。一部、少し暴走気味のガールズトークが展開されているが、彼女の愛すべきキャラクターを味わいながら読み進めてもらえれば幸いだ。

取材・文/川倉由起子

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4曲すべてA面は、JUJU史上初にして最後かも

──まずはシングルのお話から。とりあえず、“4曲A面シングル”って初めて聞きましたよ。

ええ、私も初めて聞きました。ま、言ったもん勝ちだなって(笑)。

──でも、どういう経緯でこの4曲に決まったんですか?

前回のアルバム「What’s Love?」以降、新しいアルバムの制作を目指していく中で、シングル「明日がくるなら」「PRESENT」を出して、もう1枚シングルをリリースしようということになったんです。そんなときに、まず2曲目に収録の「READY FOR LOVE」ができて。実はこれは「PRESENT」に入る予定だったんですが、当時まだちょっと納得いかなくて、もう1回作り直したんですね。で、次に「桜雨」ができて。それから花王さんから「アジエンス」のCMソングのオファーをいただいて「S.H.E.」を作り、あとはシングルには必ずカバーを入れてるんで、仲良しのBONNIEちゃん(BONNIE PINK)の「Last Kiss」も入れさせてもらい……。

──なんだか怒涛の展開ですが、とにかく「4曲ともクオリティ高すぎ!」って思いました。

ありがとうございます。いやでもね、実際にそうなんですよ。本当に捨て曲なしの素敵な4曲だと思うし、そういう気持ちもあったから「これ全部A面って言っちゃえばいいんだ!」ってところに行き着いて。2010年は名前がJUJUだけに特別な年にしたいっていう思いもあるし、そんな年のシングル一発目だから多少無茶でもいいかなって。多分、JUJU史上初にして最後だと思いますけど(笑)。

松尾さんの歌詞を見て、普段何食べてるんだろう? って(笑)

──楽曲については、まず「桜雨」がEXILEのヒット曲「Lovers Again」などでもおなじみの松尾潔さん×JIN NAKAMURAさんコンビの作品で。

はい。松尾さんとは以前一度お仕事させていただいたことがあって、NAKAMURAさんとは今回が初めて。どちらも本当に素晴らしい作家さんですね。松尾さんなんて、そんな詞が書けるなんて普段何食べてるんだろう? って(笑)。

──でもほんと、この季節ならではの切ない情景が目に浮かびますよね。

きっと誰にとっても桜の季節って何かひとつは思い出すことがある気がして。私の場合は、高校時代の赤点の思い出ばっかなんですけどね。

──ええ(苦笑)。

それはさておき、そうやって過去を振り返ったときに、自分が前に進むために捨ててきたものにふと気付いたりして。この曲に関しては「あのときの別れはそうせざるを得なかったけど、やっぱり相手を思い出して好きな思いが込み上げ悲しくなる」っていう情景。本当に切ないんですが、そういうシーンを思いながらレコーディングも進めていきましたね。

もう仕事やめちゃおっかなっていうときに響くかも

──次は私が4曲中で一番好きだった「S.H.E.」についても訊かせてください。

おお、この曲が好みでしたか! 今回「どれが一番好き?」って聞くとみんなけっこうバラバラで面白いんですよねー。

──だってこれ、20~30代の女子にはどうしようもなく響くんじゃないかと。

うん、そうかもしれないですね。学校を卒業して、働き始めてからの苦悩って絶対誰もが通ると思うんです。でもそこで、例えばお風呂に入ったりシャワーの中で泣いたりするだけで、なんだか心がスッキリしたりするでしょう? 女の子って。また新しい自分になってがんばろうとか、私はどんどん強く美しくなれる! って、聴いてくれた女子が思ってくれるといいなって思います。

──ある程度、歳とキャリアを重ねたからこその感情というか。

そうそう。もう仕事やめちゃおっかなってときこそ響くかも(笑)。

──でも他の「READY FOR LOVE」「Last Kiss」も含めて4曲ともすごく濃くて、ミニアルバムみたいな感触がありますよね。

うん、確かに。聴く人によってどれかがメインであればいいっていう思いはありますけどね。

使い捨てされる音楽ではありたくない

──ちなみに、今作のリード曲である「桜雨」はリリース前の配信ランキングですでに1位を獲得してるんですね。

いやぁ、うれしいです。ありがとうございます。

──今のJUJUさんにとって、配信やダウンロードって切り離せないものなのかなって思うんですけど。そのあたり、何か考えてることってあるんでしょうか?

うーん、そうですねえ。でもなんか、ダウンロードはやっぱりダウンロードで、CDはCDだからっていう気持ちが私の中には多分あるんですよ。ダウンロードは音楽をより身近に楽しめるっていう魅力があると思うけど、でもやっぱり音が違うので。

──ええ。

やっぱり音楽って、“音”を“楽”しむことでしょ。だから絶対にステレオで、ちゃんとしたスピーカーで聴くほうが楽しめると思うんですよね。私もそれは実体験で強く感じていることなので自信を持って言えますね。でも、もちろん配信は一番新しい音楽の楽しみ方で、たくさんの人に楽しんでいただけるっていうのはありがたいと思います。ただ、配信されるだけで終わる音楽はイヤだなって思ったり。

──というのは?

音楽を作る上で、使い捨てされるものではありたくないっていう思いが昔からあるんですよね。携帯を変えたらその曲を聴かなくなるっていうのは悲しいことだし、そういう存在にはなりたくないなって。

ニューアルバム「JUJU」 / 2010年3月17日発売 / Sony Music Associated Records

  • 初回限定盤[CD2枚組]3800円(税込) / AICL-2090~2091 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD]3059円(税込) / AICL-2092 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. GIRLS NEVER GIVE UP
  2. 桜雨
  3. 明日がくるなら JUJU with JAY'ED
  4. round & round
  5. 37℃
  6. いつからか...ずっと
  7. そばにいて
  8. I never knew ~もしも時間がもどせるなら~
  9. S.H.E.
  10. ガーベラの花
  11. READY FOR LOVE
  12. ほんとうは feat. MONCH (RamWire)
  13. bouquet
  14. 夜の果て
  15. Take Me Higher
  16. PRESENT
初回盤限定収録予定曲「COVER LOVER (仮)」
  1. LET'S WAIT AWHILE / JANET JACKSON
  2. YEARNING FOR YOUR LOVE / The Gap Band
  3. 奇跡を望むなら -English versioin- / JUJU (self English cover)
  4. There Must Be An Angel / Eurythmics
  5. I like it / DeBarge
  6. New York State Of Mind / Billy Joel
  7. Something About Us / DAFT PUNK
  8. THE POWER OF LOVE / CELINE DION
  9. LAST CHRISTMAS / WHAM!
  10. DON'T KNOW WHY / NORAH JONES
  11. NEVER STOP / THE BRAND NEW HEAVIES
  12. Saving All My Love For You / Whitney Houston
  13. Street Life / The Crusaders & Randy Crawford
  14. The Rose / Bette Midler
  15. Ex-Factor / Lauryn Hill

ニューシングル「桜雨 / READY FOR LOVE / S.H.E. / Last Kiss」 / 2010年2月24日発売 / 1223円(税込) / Sony Music Associated Records / AICL-2082

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 桜雨
  2. READY FOR LOVE
  3. S.H.E.
  4. Last Kiss
  5. 桜雨 -instrumental-
JUJU(じゅじゅ)

アーティスト写真

ニューヨーク在住の女性シンガーソングライター。10代の頃からジャズシンガーの道を志し、18歳で単身渡米。ジャズの本場ニューヨークでセッションを重ね、シンガーとしての実績を積む。本格的なデビュー前に、窪塚洋介主演映画「凶気の桜」に楽曲を提供したほか、著名ジャズミュージシャンの作品に参加するなど、その活動は多岐にわたる。2004年8月にシングル「光の中へ」で満を持してメジャーデビュー。2005年から日本でのライブ活動もスタートさせる。2006年にリリースしたシングル「奇跡を望むなら...」は、異例のロングヒットを記録。その後も「素直になれたら JUJU feat. Spontania」「やさしさで溢れるように」「明日がくるなら」など多くの名曲をリリース。そのハスキーで甘い歌声は、老若男女を問わず幅広い層から強く支持されている。