ナタリー PowerPush - JELLYFiSH FLOWER'S

松尾昭彦×池田圭 初めての答え合わせ

ジェネは「青」で、今は「オレンジ」

──松尾さん、今作「ジェリーフィッシュフラワーズII」はどのように作られたんですか?

左から松尾昭彦、池田圭。

松尾 今回はライブを想像して。今まではライブに隙間がいっぱいあったので埋まるようにと、ちゃんと考えて作った気がします。

池田 このアルバムもめちゃくちゃいいですよね。普通にいつも聴いてます。

──後半のスケール感にぞくぞくしました。

松尾 夜から始まって「トワイライト」をきっかけに朝が来る、晴れていくみたいなことを考えました。

──GENERAL HEAD MOUNTAINの解散があって、ソロで1枚アルバムをリリースして、その後「音楽人生最後のバンドになる」と宣言してJELLYFiSH FLOWER'Sを結成されました。GENERAL HEAD MOUNTAINやソロではできないことが、JELLYFiSH FLOWER'Sではできるということなんでしょうか?

松尾昭彦

松尾 そうですね。あとのメンバー2人とも音楽性が真逆なんです。ギターのやつ(ナカハラコウタ)の好きな音楽は洋楽ばっかりだし、ドラムのやつ(amimo)は果たして音楽好きなのかくらいのぽけーとした男なので、どうしても前のバンドみたいな破壊的な音楽には寄らないんですよね。自分の中のイメージで、ジェネのときの俺は青色で、今はオレンジっぽいんですけど、ギターのやつが「今のほうが松尾くんっぽいよ」って言うんです。自分ではどっちが本当の俺かなって悩んでますけど。

──「青」や「オレンジ」ってどういうイメージですか?

松尾 青は炎のイメージで、オレンジは夕陽とか朝日とか逆光っぽいイメージです。

──「逆光っぽいイメージ」って言葉にすると温かさとか優しさっていうことだと思うんですけど、それが歌えるようになってきたっていうことなんでしょうか?

松尾 もともとフォーク上がりだからどっちの要素もあったんでしょうけど、自分なりに年齢を重ねてきたので「そろそろ歌えるかな?」とは思いました。それでジェリーフィッシュを始めたところもありますし。40歳の人には勝てないですけど、30歳なりの歌は歌えてるかなっていう気はします。

Facebookで「いいね!」を押す関係

──松尾さんはSHANKのプロデュースをされていて、池田さんはSHANKのPV制作を手がけてるという接点もありますよね。

池田 そうだったんだ。知らなかった。

松尾 マジっすか。

──知らなかったんですか!(笑) お2人ってそういう基本的な話もですし、PV制作において、歌詞の意味を確認したり映像の説明したりとか全然しないんですね。気にならないんですか?

松尾 気になりますけど、そこ聞いたらあれじゃないですか。

池田 野暮かなって。15分くらいあるものすごい難解な曲だったら聞きますけど(笑)。

──普段は音源や台本のやりとりだけ?

松尾 Facebookで「いいね!」押します(笑)。

池田 僕もFacebookで見てます(笑)。PV制作のときは、レーベルの方とやりとりをするので、松尾さんとは撮影当日まで連絡取らないですね。しかもドラマになっちゃったらメンバーと会う機会ないんで。

松尾 そうですね、皆さんと一緒でYouTubeで観るんですよ(笑)。

映画の主題歌をやってほしい

池田 企画から完パケまで一言も話さないっていうのは本当に松尾さんだけですけどね。でもあまりにもとんでもないのきたら、それはちょっと言いますよね?

松尾 いや、もう監督の場合は言わないかも。「あえてのこっちだろ」みたいなこと思いそうです(笑)。

池田 それはものすごくうれしいですね。そんなふうに言われちゃうから間違ったものは出せないけど。

──ある意味勝負みたいな感じなんですかね。

左から松尾昭彦、池田圭。

池田 そうですね。気に入ってもらいたいんですよ。その曲に対して映像は1個しか付かないわけじゃないですか。だから名曲が送られてくればくるほど、ラッキーと思う反面、ふとプレッシャーに感じるんですよ。「この曲、俺が映像付けちゃったらもう誰も付けらんない。ほかにもっといい方法があるんじゃなかろうか」って。OKを出してもらえるとかもらえないとか以前にそういう意味での緊張感はありますね。

──しかも松尾さんからの指示はないから……。

池田 だから言い訳ができないんですよね。ある意味ドSな行動というか(笑)。

松尾 そうですよね。失礼な話ですよね、すみません(笑)。

池田 いえいえ、楽しいです。いつか逆パターンもやりたいですね。

松尾 それ怖えーなー。

池田 映画の主題歌をやってほしいんですよ。

松尾 僕の夢です。映画の主題歌やりたいです!

池田 エンドロールに流れてきたときのジェリーフィッシュの曲の破壊力。どんな映画を撮るかわかんないですけど、僕の撮る映画はジェリーフィッシュの曲が合うっていう確信があるので。できあがった映画観せて「好きに作ってください」って。

松尾 困ったやつだ。そっちのほうがプレッシャーデカくないですか?

池田 そうですねー、2時間ありますからねー(笑)。

松尾 ヤバいっすよねー(笑)。でもそのチャンスもらえるなら、機会があればぜひ! もしかしたら僕の夢が叶うかもしれないですね。

──では最後にこの機会にお互いに聞きたいことがあれば。

松尾 電話番号……(笑)。

池田 そうですね、メアドとか……。メアドは知ってますかね。

松尾 知らないかもしれないですね。そっから始められたら……。でも交換しないほうがいいですかね。

池田 このヒリヒリ感が意外とね。

ニューアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズII」/ 2014年5月14日発売 / THE NINTH APOLLO / TNAD-0050
JELLYFiSH FLOWER'S「ジェリーフィッシュフラワーズII
[CD] 2400円 / TNAD-0050
収録曲
  1. 始まる、これから
  2. アネモネ
  3. 女優 A
  4. 飛べない二人
  5. キタノブルーへの冒涜
  6. インテリア
  7. 成れの果て
  8. 忘れ物とあの子
  9. トワイライト
  10. 世界の終わり方
  11. 真冬と七夕
  12. 夢の跡
JELLYFiSH FLOWER'S
(ジェリーフィッシュフラワーズ)
JELLYFiSH FLOWER'S

元GENERAL HEAD MOUNTAINの松尾昭彦(B, Vo)がナカハラコウタ(G / ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、amimo(Dr)に声をかけ結成した3ピースバンド。2013年2月に枚数限定シングル「ライフイズビューティフル」を3000枚完売させ、同年6月に8曲入りミニアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズ」、7月に松尾昭彦とJELLYFiSH FLOWER'SによるスプリットCD「1983」を立て続けに発表した。2014年5月には待望のフルアルバム「ジェリーフィッシュフラワーズII」をリリース。松尾が描く物語性のある歌詞と骨太なサウンドを武器に、宮崎を拠点に活動中。

池田圭(イケダケイ)

1979年生まれの映像作家・脚本家。19歳より独学で映像を学び始める。監督のほか、脚本も自身で務め「Tronto Japanese Film Festival」「山形国際映画祭」「広島映像展」など、国内外で数々のタイトルを受賞している。2013年に手がけたCOUNTRY YARD「Starry night」のPVが話題を集め、続編という形で映画「眩しくて見えなかったから長い瞬きを繰り返した」を制作。全国の映画館やライブハウスにて“ムービーツアー”を実施した。ストーリー性のあるノスタルジックな映像を特徴とし、SiMやMY FIRST STORY、SHANK、COUNTRY YARD、ircleなどさまざまなアーティストのPVを担当している。