音楽ナタリー Power Push - ∞Z

独創性を貫く“フュージョンポップパワートリオ” 紅一点・ERIKAが思いを語る

"フュージョンパワーポップトリオバンド”たる所以

──どうやったら多くの人に楽曲を届けられるって考えてますか?

それがわからないから難しいんですよね(笑)。でも、自分たちがこれだ!って思うものを「めっちゃ好きだ!」って言ってくれるファンの方がいてくれるから、きっと∞Zの音楽との出会いを求めてる人ってまだまだいる気がしています。私たちを知らない人が多いことは事実だから、ナタリーさんを含め私たちを知るきっかけをもっと作っていけたらいいなって思います。

──なるほど。音楽的なオリジナリティを売りにするとしたら、作った曲にどういうアレンジを加えたらより多くの人に耳を傾けてもらえるのかとかを考えるんじゃないですか?

うーん、私たちの場合、大衆向けにアレンジを考えるっていうのは矛盾していて、そこは自分たちのサウンドはこれ!っていうものを強く訴えかけたいんです。

──あくまでオリジナリティを大切にしていると。

そうですね。音楽って自由だし、人と違うことするから面白いんじゃないかなって。技術があればいいってものでもないですし。今のJ-POPシーンは自分たちにとって、とても窮屈な感じがしてます。とくにうちのリズム隊はテクニカルなプレイをしてる意識ってないみたいなんですけど、2人とも技術がしっかりあるからこそ成り立つアレンジがあるんです。

──表現力が広がりますよね。

ERIKA(Vo, G)

はい。でも業界の人の中には「やりすぎ」とか「何がしたいのかわからない」とかひどいことを言われることがあります(笑)。ちゃんと意味があってやっているのに……。でも例えば海外だと私たちよりはるかに手数多くて、よくわかんないけど、なんかすごい!っていう音楽がたくさんあるって私は思ってますし、自由で芸術的な音楽っていいなって思います。音楽も時代とともに進化していくものだから、ありふれたものよりトラディショナルなものを継承しつつ、新しいものを生み出すことに憧れます。

──すでに世の中にはたくさんの音楽があるので、新しいものを生み出すって大変なことですよね。

そうですね、でもそれを目指してます。ジャズとかフュージョン自体はすでにあるものだし、正直それを融合したからといってそれは0から生み出したものではないので、完全なオリジナルなのかって言われたらふわっとしてると思うんですけどね(笑)。そこはもうある程度仕方のないことなので、あくまで今までになかったバランスというか、私たちならではのサウンドを追求するということでオリジナリティが生まれると思います。

──∞Zは“フュージョンパワーポップトリオバンド”というスタイルを提唱して活動しています。楽曲を聴かせていただいて、確かにフュージョンやジャズの要素をフックにしたJ-POPという印象を受けました。メンバーそれぞれのバックグラウンドが影響してると思いました。

そうですね。私は特にブルージーなポップスが昔から好きでした。リズム隊の2人はいろんな音楽を聴くのが好きで、さまざまなルーツミュージックをうまく自分の演奏に取り入れてますね。

やりすぎくらいがちょうどいい

──では「musicγ」という新作タイトルを付けた理由を教えてください。

ギリシャ文字のアルファベットで作品のタイトルを付けてまして、1stが「musicα」、2ndが「musicβ」。今回は3番目のγ(ガンマ)になっています。理由は出した順番がわかりやすいからってだけなんですけど、ガンマっていうとガンマ線とか宇宙的なすごく強い光っていうイメージがあって、完成した音源を改めて聴くと、自分たちの音楽のパワーが強く放たれた作品になったなって思ってます。

──楽曲についてもお伺いします。1曲目「γ」は自分の考え方を変えたら世界も輝いて見えるといったメッセージが込められた前向きな楽曲ですね。

ERIKA(Vo, G)

自分自身を高めていきたい、輝いていたいという気持ちをつづった歌です。自分は何かの宝石の原石、だから磨いてなりたい自分に近付こうっていう強いメッセージを込めた歌です。自分に敵がいるとしたら、その敵は自分の中にいるから、それと戦おうっていう。でも聴いてくれる人に向けて自分たちのエネルギーを使いたいって意味もあって、それは今作の共通テーマにもなっています。

──∞Zの楽曲はどの曲も特にベースとドラムが際立っているパートが多いと感じました。「γ」のイントロが特に印象的でベースとドラムの激しいフィルインのあと、キャッチーなAメロになるっていう。

曲中でずーっと“やりすぎ”な展開が続くわけではもちろんなくて、「γ」にしてみたら、イントロは激しめのフィルで「なんだこれは?」って思わせておいて、ブレイクを挟んだらパワーコードをシンプルにジャーンって鳴らして一気に開放感を感じさせるのも、やりすぎって言われるようなイントロがあるからこそ引き立つわけで。

──なるほど。

よくライブハウスのスタッフとかに「君たちはベースとドラムが曲調に対してやりすぎだ」とかって言われることがあるんですよ。でもこの曲にはこれが必要だっていう確信を持ってやってるので、言われれば言われるほど「やりすぎってもっと言われるくらいさらにやってやる」みたいな気持ちになりますね(笑)。やりすぎだって言われるなら、それも個性の1つになると思いますし。

──なるほど。続く2曲目「フィルター」は内省的な歌詞ですが、現実を受け入れて前に進んで行こうという内容になっていますね。

外に向けて元気を与えたいとは思いつつも、自分が憂鬱になることがときどきありまして……。この曲ではそんな感情の変化を天気に例えて歌っています。雨の日で気分が沈んだとしても水たまりを蹴っ飛ばして、気にせず突き進んでいっちゃえっていう。晴れの日にはきれいな景色も観られるし、雨の日と同じように憂鬱なことがいつまでも続くことなんてなくて、いつか陽が差すだろうし、いいことも必ずあるよっていう思いが込められています。

──続く3曲目「MD」は「Magic Dance」の略だそうですね。

そうです、最初は「Magic Dance」ってタイトルだったんですけど、一緒に作ったベースのけんちゃん(Kenji Sato)から「僕は『MD』にしたい」って言われて。当時まだけんちゃんと出会って日が浅かったこともあって、反論もできず(笑)。たぶんけんちゃんは「Magic Dance」のままだとダサいと思ったんでしょうね(笑)。

──ははは(笑)。この曲は全編英語詞です。

普通に学校で勉強してたくらいですけど、英語を使うのはもともと洋楽を聴いていた影響が大きいですね。「MD」はパワーとか可能性を表現したくて全体的に疾走感があるんですが、間奏でいきなり幻想的な雰囲気に変わるっていうパートがありまして、ここはけんちゃんが作ってくれました。

──どんな思いが込められているんですか?

音楽には魔力みたいなものがあるっていうことを歌っています。人間って本来、生きていく上で音楽って必要のないものだと思うんですけど、実際の日常生活だとなくてはならない存在って感じる人もたくさんいる。思わず踊り出したくなるような衝動に駆られる躍動感が出せたらいいなって。

──心地よいテンポ感の楽曲だと思いました。

ERIKA(Vo, G)

最近流行ってるバンドってすごい速い四つ打ちの曲が多いですよね。今作の制作期間中、自分たちにもノリノリになれる曲があったら面白いよねって話をしてたんです。今ロックシーンで流行ってる四つ打ちは確かにテンポも速いし、勢いがあって爆音で聴いたら気持ちいいと思うんですけど、グルーヴを感じづらいなって。勢いはあるけど平べったいっていう印象があるんです。私たちがやるなら1曲通してドラマチックな展開で、なおかつうねるようなグルーヴ感を出したいという気持ちがあったので、自分たちなりに四つ打ちを取り入れたらこんな感じになりました。

──この曲はイントロのベースラインが特にキャッチーですよね。

あのベースラインは地元のライブハウス界隈でちょっとした評判になってまして、対バン相手のベーシストが楽屋に集まって、けんちゃんが直々にレクチャーしてる姿を見ました(笑)。

∞Z ライブスケジュール
2015年12月5日(土)
宮城県 仙台市地下鉄東西線 宮城野通駅
2015年12月6日(日)
福島県 Live Space C-moon(※ワンマンライブ)
2015年12月11日(金)
福島県 岩瀬書店富久山店プラスゲオ(※ERIKA弾き語り)
2015年12月12日(土)
福島県 飯坂温泉 楽屋(※ERIKA弾き語り)
2015年12月18日(金)
福島県 Live Space C-moon
2015年12月19日(土)
東京都 タワーレコード八王子店(※インストアライブ)
2015年12月20日(日)
宮城県 タワーレコード仙台パルコ店(※インストアライブ)
2015年12月25日(金)
福島県 clubSONICiwaki(※ERIKA弾き語り)
2015年12月26日(土)
山形県 新星堂エスパル山形店(※インストアライブ)
2016年1月3日(日)
福島県 新星堂エスパル郡山店(※インストアライブ / ERIKA弾き語り)
2016年1月8日(金)
埼玉県 新星堂アリオ深谷店(※インストアライブ)
2016年1月9日(土)
東京都 gee-ge(※ERIKA弾き語り)
2016年1月10日(日)
静岡県 タワーレコード静岡店(※インストアライブ / ERIKA弾き語り)
2016年1月15日(金)
福岡県 clubSONICiwaki
2016年1月16日(土)
新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2016年1月24日(日)
福島県 郡山CLUB #9
2016年2月7日(日)
秋田県 Club SWINDLE
2016年2月11日(木・祝)
静岡県 タワーレコード静岡店(※インストアライブ)
2016年2月11日(木・祝)
静岡県 KJホール
2016年2月13(土)・14日(日)
沖縄県 那覇市内の複数会場(※「Sakurazaka ASYLUM 2016」 / 出演日程・会場未定)
2016年2月20(土)
渋谷LOOP ANNEX
∞Z(ゼロゼロゼット)
∞Z

福島県福島市在住のERIKA(Vo, G)、Shingo Katagiri(Dr, Cho)と、宮城県仙台市在住のKenji Sato(B, Cho)からなる3人組バンド。2011年5月より福島、宮城、東京を中心に活動している。キャッチーなJ-POPサウンドを基軸にしつつ、フュージョン、ジャズ、ブルースの要素や、テクニカルな演奏を織り交ぜた楽曲が特徴。これまでに2012年12月に1stミニアルバム「musicα」、2014年6月に2ndミニアルバム「musicβ: remember&reborn」を発表している。東北各地でのライブイベントに多数出演しているほか、東日本大震災の被災者を応援するために仮設住宅や、幼稚園、小学校などでボランティアの一環としてライブを実施。さらに音楽で東北を盛り上げるべく「東北ライブハウス大作戦」「LOVE FOR NIPPON」にも参加している。2015年には世界の約150都市で活動しているアマチュアバンドのライブコンテスト「エマージェンザ」で勝ち進み、7月に東京・TSUTAYA O-EASTで日本での決勝大会では3位という好成績を残した。12月に3rdミニアルバム「musicγ」を発表し、福島・Live Space C-moonでリリース記念ワンマンライブを開催。この単独公演を皮切りにインストアイベントやERIKAの弾き語りライブを含む全国ツアーをスタートさせる。