コミックナタリー PowerPush - ワカコ酒
誰でも知ってる美味しい味を描く ツマミ×酒の飲兵衛女子ドラマ
女性がひとり酒を楽しみながら料理と正面から向き合い、居酒屋で見慣れたツマミの魅力を掘り下げる「ワカコ酒」。酒の肴という切り口でピックアップされる食べ物の数々が、読者の胃袋を掴んで離さない飲兵衛マンガだ。実写ドラマ化もされており、BSジャパンでは3月26日(RCC中国放送では4月2日)に最終回が放送。またドラマはテレビ東京でも4月2日より放送が開始される。
コミックナタリーでは作者の新久千映にインタビューを行い、作品の成り立ちから物語の魅力を語ってもらった。ツマミのセレクト基準や食べ物を美味しそうに描く秘訣、TVドラマ版への思い、そして発表されたばかりのアニメ化にも迫る。
取材・文/小林聖 編集/淵上龍一
26歳は、ひとり酒をしたいお年ごろ
──まず最初に、ひとり酒というアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
男性の主人公が1人で食事を楽しむ作品はあるけど女性ではないねって話を編集さんと飲みの席でしていて。「これは今から来ますよ、絶対!」と盛り上がったので、そこから設定を膨らませていったのが始まりです。
──ひとり酒をするのは男性だけじゃないと。
女性にも、ひとり酒をしたくなる時期っていうのはあると思うんです。でも新卒の入社したてには渋すぎるし、かといって30歳過ぎの主人公で描くと今度は哀愁が出てきちゃうだろうし。
──26歳というのが少し人生に余裕が出てきて、ほどよくおひとり様が楽しめる年ごろだったんですね。
それでも最初はあまり寂しい感じにならないように、お喋りな設定というか「わー! おいしー!」みたいにリアクションを取らせようとしていたんです。でも描いていて、自分の思うひとり酒と違うな。このキャラじゃ話が続かない気がする……と、いらない要素をそぎ落としていったところ無表情でモクモクと食べる女に。
──無口なキャラクターではありますが、だからと言って寂しい印象は受けませんね。
やむを得ず1人でいるわけじゃなく、積極的に1人の状況を楽しんでいるという自立感を出したかったんです。彼氏がいるって設定も記号的なもので、一緒に飲みに行く相手がいるのにワカコは単独行動を選択しているというのが重要かなと。
──たしかに、1人で飲んでいても「ぷしゅー」と楽しそうですね。
飲み終わったときに「ぷはー」と言わせてしまうのはありきたりなので「ぷしゅー」にしてみたら、編集さんが気に入ってくれまして「水戸黄門の印籠みたいに、毎回入れていきましょう」という話になり。なのでエピソードのクライマックスには毎回「ぷしゅー」っと言わせていますね(笑)。
撮り直すたび食べるのでビックリ
──「ぷしゅー」は、TVドラマ版ではまさかの音声化がされました。
実際に口で言うのはどうかっていう意見も聞くんですが、私はすごいかわいいと思いました。「ぷしゅー」ってこんなふうに言うんだって、原作者の私でも感心するようなところもあって。吐き出すような感じもあったり、シチュエーションによって毎回ちょっとずつ違いがあって面白いなと。
──武田梨奈さんは、セゾンカードのCMで見せた瓦割りのパフォーマンスが有名ですよね。でもワカコってもっと……。
トロそうですよね(笑)。顔はそんな似てないはずなのだけど、動きとか喋り方はかなりイメージに近くて。ドラマではランニングしながらシャドーボクシングをする回があるんですけど、ぜんぜん強そうに見えないんですよ。武田さんって俊敏なイメージなのに、すごくおっとりした演技をされていて「女優ってすごい!」と思いました。
──撮影現場はご覧になったんですか?
第10話の舞台が地元・広島だったので、そのときは立ち会わせてもらいました。お店を紹介とかはしていないのですけど、偶然自分も取材した「としのや」の別店舗がロケに使われていて。「府中焼き」を出すお店は広島でも少ないので、自然とそうなってしまうのかな?
──「府中焼き」はミンチ肉を使ったお好み焼きですが、酒のツマミとしてはガッツリ系ですね。
ドラマって同じシーンを何回も撮るのでビックリしました。実際に撮ってみてから「ちょっと今のところこうしてみようか」とか修正点を発見していくんだなーと。ガッツリした「府中焼き」を武田さんは、ものすごいたくさん食べてましたね(笑)。
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- TVドラマ「ワカコ酒」
- TVドラマ「ワカコ酒」
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BSジャパン:毎週木曜日23:30~放送中
RCC中国放送:毎週木曜日25:08~放送中
テレビ東京:4月2日(木)
27時5分より放送開始
コミックス4巻累計70万部、大ヒットグルメマンガ原作の実写ドラマ化&人気急上昇中の武田梨奈連ドラ初主演作がDVD-BOX化。
TV放映された全12話を収録し、封入特典には新久千映先生描き下ろしイラスト付きグルメブックレットを用意。各話のメイキングほか映像特典も充実。
第10夜の広島ロケ回が、大好評につき、「広島グルメ編 ディレクターズカット」として発売決定。オリジナル特典映像・封入特典(「ワカコ酒」広島グルメマップ)付き。
村崎ワカコ26歳。酒呑みの舌を持って生まれたがゆえに、今宵も居場所を求めてさすらう女ひとり酒。あなたの隣にいるかもしれない、おひとり様仕様の呑兵衛ショート。
新久千映(シンキュウチエ)
1980年9月20日生まれ、広島県出身。2006年にコミックバンチ増刊号(新潮社)でデビューを飾る。月刊コミックゼノン(徳間書店)で連載する、女性のひとり酒を描いた「ワカコ酒」でブレイク。そのほかWEBコミックぜにょん(ノース・スターズ・ピクチャーズ)にて「タカコさん」、ヤングアニマル(白泉社)にて「すく~~~と!」、ホーム社のWEBサイト・ぷら@ほ~むにて「新久千映のねこびたし」を連載中。
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