「おっ！ こうなるのね」なコーラスワーク

──「NEO SIGNALIFE」もそうだったんだけど「Ring Ring Rainbow!!」の詞もまたゆいかおりにとっては新機軸ですよね。「右手に勇気を、左手に愛を 他には 何もいらない」「せーの！それではみなさんご一緒に Stand up! Let's go!」とリスナーを明るくアジテートするのって。

石原　でも悩まずストレートに歌えました。唯ちゃんの前では素なんですけど、何か作品を作って皆さんに届けるときは、ちょっと違って。どこかスイッチを入れないと物作りができないタイプというか。確かに歌ってることは大きなことなのかもしれないんだけど、この曲を歌うときには「そういう曲を歌うんだ」っていうスイッチを入れてるから素直に「私たちとみんながこう思えたらすごく素敵だよね」って思いながら歌えてました。

小倉　私もスムーズだったかも。というのもファンの皆さんを引っ張っていきたいっていう気持ちもありつつも、去年のツアーのときにはみんなからすごくパワーをもらえた実感があって、それがありがたかったので。あれからずっと「なんかの形で恩返ししたいな」っていう気持ちでいたら今回の曲が届いて。この曲はちゃんとみんなに何かを返せる曲だなって思えたし、それがうれしかったから不安やためらいはなかったですね。

──ただこの曲って一見ストレートなんだけどコーラスワークが……。

小倉　ゆいかおり史上でもトップレベルの難易度というか「おっ！ こうなるのね」って思いました（笑）。

──「赤も 青も 白も 黄色も」っていうフレーズはかなり細かい符割の上に「赤も」と「白も」を小倉さんが、「青も」と「黄色も」を石原さんが歌う高速の掛け合いになってるし、2コーラス目の「甘えたくなる」は……。

石原　私が「甘」を歌って（笑）。

小倉　私が「えた」を歌って（笑）。

──そして2人で「くなる」（笑）。

小倉　ふふふふふ（笑）。

「赤」と「青」と「白」と「黄色」のバトンを回したい

──あれ、どうやって歌ってるんですか？ ひとまず2人とも「甘えたくなる」って歌って、あとから小倉さんの「甘」をカットして、石原さんの「えた」を切って……。

石原　っていうやり方ではなくて、ボーカルの割り方通り、私は「甘」だけ歌ってます（笑）。

──一緒にレコーディングブースに入って歌録りしたりは？

石原　それもしてないです。この曲は私が唯ちゃんよりも前の日に録ったんですけど、でもそんなに悩みはしなかったかなあ。

小倉　歌いやすかったよね。

──それ単体では意味をなしてない「甘」や「えた」という音に感情を込めて、しかももう1人のボーカリストとノリをそろえて歌うのって大変なんじゃないか？っていう気がするんですけど。

石原　なんか「唯ちゃんだったらこう来るだろうな」っていうのが感覚的にわかるんです。ゆいかおりとして長年一緒に歌ってきたっていうのもあるし、アニメのアフレコ現場でも一緒になることがあって、よくセリフの掛け合いをしているので。こういうシチュエーションを歌うときは唯ちゃんはこういうテンションでくるだろうから、私はこうすればいいんだろうなっていうのがなんとなくわかるんです。実際、あとで唯ちゃんの声が重なったものを聴かせてもらったら「あっ、やっぱり間違ってなかった」「ピッタリハマったな」ってなりましたし（笑）。

小倉　私も私で想像できてた（笑）。「たぶん夏織ちゃんはこういうアプローチでくるんだろうな」っていう予想ができていて。私はレコーディングが夏織ちゃんよりあとだったから、録る前に夏織ちゃんの「甘」を聴くことができたんですけど「あっ、やっぱりこうくるか」みたいな（笑）。

石原　バレてた（笑）。なんかわからないけどわかるよね。逆にお互いのことを考えすぎたり意識しすぎたりすると合わなくなる気がする。

──「これもし、2人の歌を録ったあとボーカルをパンチイン / パンチアウトさせてるんならライブでどうやって歌うんだろう？」って思ってたんですけど……。

石原　ライブでもレコーディングと同じように歌うことになると思います（笑）。

小倉　で、それがすごく楽しみですね。特に「赤も 青も 白も 黄色も」のところは2人で色のバトンを渡してるみたいな掛け合いになってるから、そのバトンをお客さんたちとも回し合えたら楽しいだろうなって。

──色のバトンを回したあとには「Let's sing!」の掛け声とともにお客さんと一緒にサビに突入するわけですしね。

石原　しかもライブのときは、レコーディングと違って実際に隣に唯ちゃんがいる状況でバトンを渡し合うことになるので。また新しいニュアンスが生まれて面白くなるんだろうなって思ってます。

カーテンを閉める唯と、閉めることを知らない夏織

小倉　だからライブもすごく楽しみだし、レコーディングもすごく楽しくて……あっ！ でもブースの外にディレクターさんとかエンジニアさんが座ってるのがいつも以上に恥ずかしかったかも。

──それはなぜ？

小倉　「Let's Go!」「Let's sing!」「せーの！」って呼びかけてるのを見られてるのがちょっと……（笑）。レコーディングのときはCDを買ってくれたり、ライブに来てくれたりする皆さんのことを思いながら、ある意味想像の世界に入り込んで歌ってるんですけど、ブースのガラスの向こうって、なんかもう現実感がすごいじゃないですか！

──皆さん、バリバリお仕事中ですからね（笑）。

小倉　そうなんですよ。しかもディレクターさんたちが何か話してるのが見えると「ああ、なんかダメだったのかな……」ってなるし。だからいっつもブースの外が見えないようにカーテンを閉めてるんですけど今回は特に閉めるのが早かった気がします（笑）。

石原　……というか、あのカーテンって閉めてよかったの？ 今、それを学びました（笑）。確かにレコーディングのときってちょっと恥ずかしいんですよ。感情を込めてるからとかライブを想定しているからっていうのもあってレコーディングなのに表情を作ってたりするし、あとリズムを取りやすいから手を動かしたりしてるから、いっつも「あっ、また見られてる」「恥ずかしいなー」って思いながら歌ってたんですけど……。今度からカーテン閉めます！（笑）