ナタリー PowerPush - WEAVER

神戸出身の新鋭3ピースピアノバンド Twitterドラマ主題歌で一気に全国区へ

ピアノ&ボーカル、ベース、ドラムによる若き3ピースピアノロックバンドとして、昨年10月のメジャーデビューから注目を集めているWEAVER(ウィーバー)。彼らが今回、連続ドラマの主題歌という大型タイアップ付きのシングル「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」をリリースする。

タイトル曲はイントロから大きなインパクトに耳を奪われる、どこか懐かしさとシリアスさをあわせ持ったナンバー。一度聴いたら耳から離れない迫り来るようなサウンドは、心地良い残像のように頭の中に去来する。その独創的なサウンドでブレイク間近と期待される3人に、じっくりと話を訊いた。

取材・文/川倉由起子

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全然知らないやつから「ドラムでけへん?」って誘われました(笑)

──初登場ということで、まずはバンド結成のいきさつから教えてもらえますか?

杉本雄治(Vo,Pf) この3人は、もともと高校の同級生として出会ったんです。最初は僕とベースの奥野が友達になって、バンドを組もうということになって。

奥野翔太(B) 2人とも楽器をやっていたし、それぞれ中学時代にバンドを組んだ経験もあったので、結成してみようかと。で、「ドラムはどうする?」ってときに、たまたま河邉が教室の前を通りがかったので誘ってみたんです(笑)。

河邉徹(Dr) 僕は全然知らないやつ(奥野)に突然呼び止められて、「ドラムでけへん?」って(笑)。中学の音楽の授業でドラムに触ったことはあったし、興味もあったので、僕も軽いノリで「できるでぇ!」って。それが奥野との最初の会話でしたね。

奥野 僕のほうは、共通の知人から河邉がドラムできるってことを聞いて知ってたんですよ。で、高校1年生の夏くらいから正式に活動をスタートしました。

──活動当初はツインギターの4人組バンドだったそうで。

杉本 そうなんです。ギターがもう1人いて、僕も最初はピアノを弾かずにギター&ボーカルでやってて。でも高校を卒業して大学生になったころ、そのギターが東京に行ってしまってバンドを続けるのが難しくなったので、3人で活動を続けるのか、それとも新しいギターを入れるのか全員ですごく悩んだんですよ。

奥野 あのときは結構、切羽詰まってたよなぁ(笑)。

杉本 でも、とりあえずライブはしたいし立ち止まるのは嫌だなって思ってて。そしたら、当時お世話になっていたライブハウスの店長が、「思い切って3人でピアノでやってみたら?」と提案してくれたんです。僕がピアノを弾けることを知っていたみたいなんですよね。

ライブで初めて「3人で音楽を伝えてる」感覚をつかむことができた

──なるほど。ちなみに、杉本さんのピアノ暦はどのくらい?

杉本 母親がピアノの先生なんですよ。だから本当に小さいときからですね。でも、小学校高学年くらいで「男がピアノ?」みたいな抵抗を持つようになって、一旦離れていた時期もありました。

奥野 だから僕らも、出会ったときは杉本がピアノ弾けることを知らなくて。高2か高3くらいで知って、「え、弾けたん!?」って(笑)。

杉本 そうそう(笑)。で、ピアノでの3ピースでやることになったんですが、最初はリハをしていても全然しっくりこなかったんですよ。でも、とにかくやってみようという感じでライブに立ったら、そこで初めて“3人で音楽を伝えてる”っていう感覚をつかむことができて。お客さんの反応も良かったし、この編成が一番いいんじゃないかって、みんなが感じていたと思います。

──皆さんにとっては、そこが大きな転機だったわけですね。でも最初はしっくりこなかったのに、本番で手応えがあったのはなぜでしょう?

河邉 ……それが、今でもほんまにわからないんですよね(笑)。

杉本 言葉では言い表すのは難しいというか。

奥野 でも多分、ギターが1人抜けて3人になって、今まで以上に全員がしっかりと同じ方向を向けたっていうのはあったかもしれないですね。かなり追い詰められた状態でやってたんで「やるしかない!」って感じで、意志も強く固まったんだと思います。

──その後、ピアノバンドとして地道な活動を積み重ねて、昨年秋にはついにメジャーデビュー。一時期はピアノ嫌いになった杉本さんですが、今はお母さんも喜んでらっしゃるんじゃないですか?

杉本 はい、めちゃめちゃ喜んでますねぇ(笑)。3人になってピアノを弾き出してから、僕もピアノで自由に表現することの楽しさを知って、また好きになってきました。

ドラマのクライマックスでイントロ流れると「来た来た~!」って

──初のパッケージシングルとなる「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」は、ドラマ「素直になれなくて」の主題歌。もともと制作サイドから書き下ろし曲を提供してほしいとオファーがあって作り始めたんですよね。

杉本 そうです。曲作りに入る前には、台本も読ませていただきました。

──私は放送を毎週楽しみにしてるんですが、あれって、Twitterをモチーフにした現代ならではのドラマって感じですよね。

杉本 そうなんですよ。でも僕ら、実は最初は何も知らなくて「Twitterって何?」みたいなところから勉強しまして……(笑)。

──そうだったんですね(笑)。台本を読んだときは、まずどういった部分を楽曲に落とし込みたいと思いましたか?

杉本 ドラマのタイトルそのままですけど、やっぱり素直になれない切なさとか、人が感じる切ない心境というのをメロディで表現したいなと。メロディは、プロデューサーの方とお話したときに「ちょっとR&B的なスピード感あるリズムが合うかも」という話になったので、そういう部分から広げて作っていきました。

──イントロから、めちゃくちゃインパクトがありますよね。

杉本 はい、そこはかなりこだわったところなので。

奥野 ドラマのクライマックスの場面で流れると、思わず「来た来た~!」って(笑)。

──個人的には、どことなく1990年代のトレンディドラマ全盛期を彷彿とさせるサウンドでもあるなと思ったんですよ。

杉本 ……するどいですね(笑)。ドラマ側からも、そういった昔のドラマのイメージで、みたいなオーダーがあったんです。

「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」 / ニューシングル 2010年6月2日発売 / A-Sketch

  • 初回盤 [CD] 980円(税込) / AZCS-2008 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD] 1260円(税込) / AZCS-2009 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Hard to say I love you ~言い出せなくて~
  2. つよがりバンビ
  3. 旅立ちの唄
  4. Hard to say I love you ~言い出せなくて~ (Instrumental)
  5. Piano Instrumental of the upcoming tune (Bonus Track) ※初回プレスのみ収録
WEAVER(うぃーばー)

杉本雄治(Vo,Pf)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなるピアノロックバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成となる。神戸を中心に活動を展開し、ライブ会場限定で自主制作盤を発表。2009年3月には神戸VARIT.にて初ワンマンライブを敢行し、大成功を収める。同年8月には夏フェス「SUMMER SONIC 09」にも出演。10月にはA-Sketchより配信限定シングル「白朝夢」」でメジャーデビューを果たし、デビュー翌日にはflumpoolの日本武道館公演でフロントアクトを務めた。メンバーの卓越した演奏テクニックと、ピアノの音色が印象的なメロディアスな楽曲が魅力。2010年2月にはメジャー1stミニアルバム「Tapestry」をリリースし、その低価格(980円)を含め話題となった。