「バンドがうまくいっていない憤りは曲に閉じ込めよう」とポジティブに

──アルバム「WOMAN」のリリースの後、ドラマーの脱退という事態に見舞われました。新しい体制で再出発するにあたって、どんなことを考えていましたか？

AYANO（Key）　CYNTIAにとっては大きな試練だったというか、分岐点だったと思います。ずっとコンスタントにアルバムを出してきたんですけど、しばらくリリースできない状況になって。その間、今まで以上に「CYNTIAってなんだろう？」とか「この4人が集まって、何ができるだろう？」とか考え抜いんたんですよ。

SAKI（Vo）　メンバーが抜けたこともなかなかの衝撃だったし、レコード会社が変わったこともかなりの衝撃で。バンド史を作ったとしたら、「この時期、大丈夫だったの？」と心配になるようなエピソードが続いたんですけど、自分たちはそんなにうろたえていなくて。「この状況下でできることはなんだろう？」「曲を作ることだよね」という意識にすぐなれたんですよね。バンドの活動がうまくいっていないことに対する憤りや、ムシャクシャした気持ちもありましたけど、「この感情を曲に閉じ込めよう」とポジティブな方向に持っていけたというか。あとはいろんな作品を観たり聴いたりして、おのおのが感受性を高めたり。少なくともマイナスな気持ちではなかったです。

──ライブが思うようにできないんだったら、創作に力を注ごうと。

SAKI　そうですね。実際、脱退した後は4カ月くらいライブをやってなかったんですよ。この5年間、そんなにライブをやらなかったことは初めてだったし、その時期が一番つらかったかな。

YUI（G）　ファンの方も「どうなっちゃうんだろう？」って心配してたと思うし、モヤモヤしている数カ月があったのは事実ですね。その期間は曲を作ったり、ギターの練習をしたり、自分を見つめ直すしかなかったので。

SAKI　サポートドラマーを決めるのにも、けっこう時間がかかったんですよね。女の子のドラムがいいなと思ってたんですけど、CYNTIAの曲は難しいから（笑）、なかなか見つからなくて。サポートしてくれる人が見つかってからは、少しずつライブもやれるようになったんですけどね。

AZU（B）　でも、いいこともあったんですよ。サポートドラマーが決まるまでの間にいろんな方とセッションする機会があったんですけど、そのときに「今のままじゃダメだな」って思って。自分のプレイスタイル、音楽に対する考え方も見つめ直せたし、そこで初めて立ち止まって考えられた気がしますね。サポートドラマーのnatsumeちゃんともしっかり話して、リズム隊の2人だけでスタジオに入ることも増えて。ベーシストとして変わっていかなくちゃいけないと思えたし、彼女にはすごく感謝してますね。

ひさびさにワンマンをやったことで、バンドのこれまでを振り返ることができた

──2015年8月、9月、11月にはワンマンライブを開催。緊張感もあったんじゃないですか？

SAKI　ありましたね。ひさしぶりのワンマンだったし、しかもアコースティックスタイルといつものバンドスタイルの2回公演だったんですよ。アコースティックバージョンにアレンジし直した曲も多くて、さらに「新曲もやりたい！」ってみんなが言い出して（笑）、すごく貪欲でした。全然時間が足りなくて「だったら寝ない！」っていう状態に追い込まれましたけどね。ライブを決めたときは楽しみと不安は半々くらいだったんですけど、実際にやってみたら、当日まではジェットコースターみたいな日々でした（笑）。

AZU　確かに大変でした。3回のワンマンで、今までリリースした曲を全部演奏したので。

AYANO　初めてライブでやった曲もありましたからね。ライブが終わるとすぐに次のライブの用意を始めてたんですけど、気付いたら「あれ？ 明後日が本番じゃん！」みたいな感じで（笑）。

YUI　やることが多すぎて、あっという間でした。

SAKI　そうだね（笑）。お客さんの反応を直に感じられたのもすごくよかったんですよね。最初は「サポートのドラマーが入って、ライブはどんな感じになるんだろう？」とか「しばらくやってなかったけど、ライブ勘は大丈夫かな？」と心配していた人もいたと思うんですけど、「よかった」って言ってくれる人が多くて。

AYANO　「もっと観たい」「次はこういうことをやってほしい」という声も多かったんですよ。それって「今日のステージがよかったから、次も期待している」ということだと思うんですよね。

AZU　ライブをやったことで、これまでのバンドのストーリーを振り返ることもできたし、私たちも「次に何をやるべきか？」というのが見えてきて。3回のワンマンがあったから、今回のアルバムにつながったんだと思いますね。

AYANO　そうだね。ライブがなかったから違う考え方になっていただろうし、自分たちの音楽性の捉え方、発信するパワーも変わっていただろうから。