WOWOW「松尾スズキと30分の女優2」松尾スズキインタビュー / 生田絵梨花&松本穂香が語る収録エピソード (2/2)

生田絵梨花インタビュー

生田絵梨花

昨年の4月に「シブヤデアイマショウ」にゲストで出演させていただいたとき、私がMCで「松尾さんとまたご一緒したいです!」とお伝えしたら「またやりましょう!」と松尾さんが答えてくださった、というくだりがあって。それがこんなに早く実現し、とてもうれしかったです。

今回は歌のコントにも挑戦していて、「WOWOW輝け!音楽祭」は衣裳も照明も凝っていて、本当に豪華な歌番組のようになっていたのでやりがいがありました(笑)。“網戸の歌”も、「面白く歌おう」とか「歌詞が面白いな」とは思わず、ほかのミュージカル作品に臨むのと同じ気持ちで、「これをどう表現したら良いか?」を意識しながら“真剣に”歌っていました。本当に真剣に歌ったんですよ! たまに「あれ? なんで今、私は網戸を持って歌っているんだろう?」と我に返る瞬間もありましたけど(笑)、そのときはすぐモードを切り替えて、普段歌番組でミュージカルナンバーを歌わせていただくときと同じように、曲の盛り上がりをどう作ろうか、と考えながら歌いました。

松尾さんの作品の魅力は、現場で接しているといろいろなものの見方を学べるところです。自分の価値観とは違う見方ができたり、別の視点を持てるようになるので、毎回とても勉強になります。今回も、松尾さんが描く奇想天外な世界になんとか入り込もうと思って、いろいろ挑戦させてもらいました(笑)。また松尾さんは本当にたくさんのアイデアをお持ちで、今回に限らず、「たった数秒のシーンに、あのミュージカルのこの要素を入れるんだ!」とびっくりすることもあり、松尾さんのミュージカルに対するリスペクトを感じました。

“歌もの”以外にも、松尾さんが猫になってしまう「猫は気にならない」や妹役を演じた「絵梨花は俺の妹」など、どのネタも思い入れが深いんですけど、中でも「表彰式」のコントは笑いを抑えるのが大変でした(笑)。授与されるものが全部おかしくて、隙あらば笑いの波が襲ってくるので、自分の感情との闘いが大変でした。

コメディは観るのも好きだし、今回すごく楽しかったので、またやってみたいなと思っています。観てくださった方からどんなリアクションをいただけるのか、怖くもあり楽しみでもありますね。

プロフィール

生田絵梨花(イクタエリカ)

1997年、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。乃木坂46の1期メンバーとして活動し、2021年に卒業。2019年に菊田一夫演劇賞を受賞。主な舞台出演作に、2017年にミュージカル「ロミオ&ジュリエット」「レ・ミゼラブル」「モーツァルト!」「キレイ-神様と待ち合わせした女-」など。5月にミュージカル「四月は君の嘘」に出演する。

松本穂香インタビュー

松本穂香

オファーをいただいて、うれしかったです。普段からコントを観るのが好きなので、撮影が楽しみでした。もちろん現場に入ったら緊張はしたんですけど、普段の映画の現場とは全然違う空気感だし、こういう世界観は大好きなので、純粋に面白かったです。

撮影が進むにつれ、「松尾さんはやっぱりすごいな」という思いが強まりました。同時に、とても優しい方だなと。私1人でタイトルコールを言うカットを何本か撮影したんですけど、その間もずっと観て笑ったり褒めてくださったりして、うれしかったです。

難しかったのは「歌舞伎中継 春の大犬自慢踊り」のシーン。踊りや見得をこれまで経験したことがなかったので、大変でした。「スキーニー狩り」の皆川さんとのコントシーンは、アドリブが多く、何が出てくるのかわからなくてちょっと恐ろしかったですね(笑)。ビンタされたときは、びっくりしすぎて動揺して……その様子が本編でもバッチリ使われてます(笑)。

普段の役作りでは、もちろん作品ごとに異なりますが、脚本を何度も読んだり、書き出したりしながら役にアプローチしていきます。今回は、いわゆる“役作り”とはちょっと違うんですけど(笑)、それでもやっぱり自分の中にある何かを引っ張り出してアプローチしていったので、各話に何かしらの自分の要素は入っていると思います。

昨年出演した、劇団た組「ぽに」(参照:劇団た組の新作「ぽに」上演中、松本穂香「自由に想像しながら楽しんで」)も、全体的に観ると不思議な世界観のお話だったかもしれませんが、私の役だけにフォーカスすると共感できる部分や私も知っているような空気感をたくさん感じたので、自分の役を作品のパーツの1つとして捉えて、演出家の加藤(拓也)さんに導いていただきました。舞台は“みんなで作っている”ことを強く感じるので、プレッシャーや不安もストレスじゃないし、好きですね。これからもやりたいです。また、昨年観た「パ・ラパパンパン」(参照:鳴かず飛ばずの小説家が“自身の物語”のために奔走!松尾スズキ×藤本有紀「パ・ラパパンパン」開幕)がめちゃくちゃ面白くて、「こんな作品が作れるって松尾さんはすごいな。こういったエンタメがあることは大事だし、人の救いになるな」と思ったんです。舞台に限らず、私はいろいろな人が出会い、集まってお芝居したときに、何かしら新しいものが見えてくる感じが好きで。これからも出会いを大切に、柔軟にやっていけたらと思っています。

プロフィール

松本穂香(マツモトホノカ)

1997年、大阪府生まれ。2015年にデビュー後、映像を中心に活動。2017年にNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で注目を集める。Netflix映画「桜のような僕の恋人」が3月24日に配信される。