ブロードウェイの“今”をナビゲート!WOWOW「生中継!第77回トニー賞授賞式」井上芳雄 / 宮澤エマ (3/3)

ミュージカル作品賞 ノミネーション

ここでは、6月17日(日本時間)に発表される第77回トニー賞のミュージカル作品賞にノミネートされた5作品を紹介する。

「ヘルズ・キッチン」

「ヘルズ・キッチン」より。(Photo by Marc J. Franklin)

「ヘルズ・キッチン」より。(Photo by Marc J. Franklin)

アリシア・キーズの半生をもとにした作品。これまでのヒット曲に加え、このミュージカルのための新曲も手がけた。劇中では、17歳のアリの恋模様と母親との関係性を描いた物語が展開する。キーズが舞台制作に関わるのは、2011年のストレートプレイ「スティック・フライ」に続き今回が2作目。新星マリア・ジョイ・ムーンがヒロインを演じ、主演女優賞の候補に挙がるほか、脚本のクリストファー・ディアス、演出のマイケル・グライフもそれぞれノミネートされている。

「イリノイ」

「イリノイ」より。(Photo by Matthew Murphy)

「イリノイ」より。(Photo by Matthew Murphy)

シンガーソングライターのスフィアン・スティーヴンスが、アメリカ・イリノイをテーマに2005年に発表した自身のアルバム「Illinoise」。「イリノイ」は同アルバムをもとに創作されたミュージカルだ。“ダンスレビュー”と銘打たれた本作では、若者たちの成長物語が、ダンス、演劇、ライブ音楽によって紡がれる。脚本・演出・振付を2018年にミュージカル「回転木馬」の振付でトニー賞を獲得したジャスティン・ペックが担当。ペックは本作でも振付賞候補に挙がっている。

「アウトサイダー」

「アウトサイダー」より。©2024, Matthew Murphy

「アウトサイダー」より。©2024, Matthew Murphy

S・E・ヒントンの小説とフランシス・フォード・コッポラが監督した映画版を、アダム・ラップの脚本、ジャスティン・レヴィンの脚本・作詞作曲、ジェームズタウン・リバイバルの作詞作曲で舞台化。2024年2月にアメリカ・カリフォルニアにあるラ・ホヤ・プレイハウスで初演され、好評を博した作品だ。1967年のアメリカ・オクラホマを舞台に、若者たちがさまざまな問題を乗り越え、支え合い、生きていく姿が描かれる。主演のブロディ・グラント、共演のジョシュア・ブーン、スカイ・ラコタ=リンチがノミネート。

「サフス」

「サフス」より。(Photo by oan Marcus)

「サフス」より。(Photo by oan Marcus)

2022年にオフブロードウェイで上演され、オンへと昇格した作品。ヒラリー・クリントンとマララ・ユスフザイが共同プロデューサーを務める本作は、1920年にアメリカで白人女性の婦人参政権が認められた史実をもとに、婦人参政権運動を率いた女性たちの心理に迫るもの。ソングライターで俳優のシェイナ・タウブが脚本・作詞作曲し、自らも出演する。ミュージカル「VIOLET」のリー・シルヴァーマンが演出を手がけ、本作でもトニー賞候補に挙がった。

「サーカス象に水を」

「サーカス象に水を」より。(Photo by Matthew Murphy)

「サーカス象に水を」より。(Photo by Matthew Murphy)

小説家サラ・グルーエンが2006年に発表し、2011年に映画化(邦題「恋人たちのパレード」)もされた作品の舞台版。1931年、大恐慌のアメリカで両親を亡くし、無一文となってしまったジェイコブが、とあるサーカス団の移動列車に乗り込み、数奇な運命をたどり……。脚本をリック・エリス、演出をジェシカ・ストーン、振付・サーカスデザインをシャナ・キャロル、振付をジェシー・ロブが手がける。装置デザイン・衣裳デザイン・照明デザインとスタッフワークでも候補に。