「小林聡美 NIGHT SPECTACLES チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」が4月6・7日に横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールで開催される。「NIGHT SPECTACLES」は、WOWOWがプロデュースする俳優によるコンサート企画で、第2弾となる今回は、映像や舞台で幅広く活動する小林聡美が60年代、70年代の楽曲を軸に、人生初のコンサートに挑む。演出を担うのは、小林と“同級生”の小泉今日子。十代からさまざまな作品で共演してきた2人は今回、歌手と演出家としてどのようなステージを作り上げるのか? リラックスした雰囲気でインタビューの席に着いた2人は、楽しみで仕方ないといった表情で、コンサートの構想を語ってくれた。なお、4月7日18:00開演回はライブ配信も決定している。
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取材・文 / 熊井玲撮影 / 宮川舞子
ステージで歌うなんて、考えたこともなかった
──今回は、“チャッピー小林”こと小林聡美さんにとって初のコンサートとなります。小林さんの歌のうまさは以前から定評があったそうですが、なぜこのタイミングでコンサートに挑戦しようと思われたのですか?
小林聡美 いやいや、うまくないですよ!(笑) 歌うことは好きでしたが、これまで改めて挑戦するきっかけもなかったですし、コンサートがやりたいという思いも特にはなかったです。
小泉今日子 映画「プール」のときにね、1曲歌っていたけれど。
小林 そうですね。ドラマや映画の中で歌うっていうことはありましたけど、ステージに立って歌うなんて、考えたこともなかったです。今回も、私から「やりたいです! みんなセッティングして!」とお願いしたわけではなく(笑)、たまたま本当に、お仕事の1つとして歌のお話をいただいて、「あ、そういえばやったことなかったな。やってみようかな」と。
──ちなみにお二人は、カラオケに行くことは……?
小林 そんなにしょっちゅうではないですけど、嫌いではないので時々行ったりしました。ただコロナになってからはあまり行かなくなってしまいましたね。
小泉 昔、ドラマの打ち上げで一緒にピンク・レディーメドレーを歌ったことがありましたね(笑)。
──それはぜひ聴きたかったです! では小泉さんは小林さんの歌について、よくご存知なんですね。
小泉 そうですね、お上手です。まっすぐですごく気持ちのいい歌声です。
小林 ありがとうございます(笑)。
──小泉さんは、今回の演出のオファーをどう受け止められましたか?
小泉 まず聡美さんがライブするって、それはもう、観たいじゃないですか! そして私は、まあ今もそうなんですけど、歌手だった時間が長いので、聡美さんが表現したいことややりたいことに対して、もしかしたらアドバイスできるかもなと思ったんです。きっと聡美さんは初めてやることに不安だらけだと思うんですけど、私もその気持ちは知っているし、何かお役に立てるかもなって。そしてその様子を、間近で見たいなと思いました。
60、70年代ポップスの深いところへ…
──ステージの構想については、かなり話し合われているのでしょうか?
小泉 そうですね。まず聡美さんから「こんな曲に興味があります」っていうプレイリストみたいなものがスタッフに共有されたんですけど、日本のポップスの60'sとか70'sとか、すごく深いところをいっていて(笑)。私も昭和歌謡は好きなんですけど、その深さがちょっと違うなと感じ、すごく面白いなと思いました。中にはサイケデリックな曲もありますし、そのゾーンはあまりやっている人がいないから面白いコンサートにできそうだなと感じましたね。
──セットリストは当日までのお楽しみということなので、少しだけ伺いたいのですが、選ばれた楽曲は小林さんがこれまで歌ったり聴いたりしてきたものなのでしょうか?
小林 歌ったことがある曲もありますが、中にはカラオケにも入っていないような曲もあります。
小泉 サブスクにもない、音源自体が手に入らないような曲もいくつかあるんです。
小林 だから人によっては聴いたことがない曲が多いかもしれないですね。
小泉 若い人だとキョトンってしてしまう曲もあるかもしれない(笑)。でも今、若い人って逆に昭和の文化を素直に受け入れて、カッコいいと思ってくれる人が多いから、意外と受け入れてもらえるんじゃないかな。
──60年代の楽曲だと、きっとお二人もリアルタイムで聴いていたわけではないですよね?
小林 そうですね、私もリアルタイムでは聴いたことがない曲もあります。いい曲だなと思って調べたら1960年代の曲だった、というような。
小泉 大人になってからコンピレーションアルバムで知ったりとかね。
小林 そうですね。年代別に聴いてみたら、60年代とか70年代の曲って面白くて。昔やっていたラジオ番組でかけさせてもらったりもしたんですけど、今回のように自分の好きな曲ばかりこんなにまとめて皆さんに聴いてもらうことができるなんて、それはうれしいことですね。
──選曲に当たって、意識されたことはありますか?
小林 基本は自分が聴いていて楽しい曲。ただあまりにマニアックすぎてみんながつまらなくなってしまったり、置いて行かれたような気持ちにはなってほしくないなと。だからスタッフの皆さんにも聴いてもらって、「これだったら面白いんじゃないか」と言ってもらった曲をリストに入れさせてもらいました。
小泉 ただ、どちらかというと多くの人が知っていそうな曲を落としていきましたよね?(笑)
小林・小泉 あははは!
小泉 60'sや70'sは今回のスタッフみんなのストライクゾーンだから、「この曲を歌ってほしい」「あの曲はやってほしい」という膨大なリクエストはあったんだけれど、逆に有名な曲を排除していったというか。というのも、「みんなが知っている曲」に絞って考えていくと、伝えたいことがバラバラになっちゃうかもしれないなと思って。逆に“このゾーンの曲を選びました!”としたほうが、観にきてくださる方たちもカッコいいと思ってくださるんじゃないかなと想定して、みんなが知っているかどうかで選曲を考えるのはナンセンスかもしれないと途中で思い始めたんです。もちろん皆さんが知っている曲も何曲かあるとは思うんですけど、それも意外な曲だと思います(笑)。
──期待が高まります(笑)。小林さんは、歌のレッスンはいかがでしょうか?
小林 ぼちぼち、ですね。疲れない声の出し方、歌い方というレッスンをしていただいたり……。ただそもそも歌の稽古の仕方からわからないっていうか(笑)、どういう稽古をするんだろう?というところから始まっていますし、小泉さんがいないと本当にあらゆることがわからなくて。どう進めていくのか、どうやっていけばいいのかまったくイメージできなくて。
小泉 1人で1時間以上歌うっていう体験を、まずしたことがないものね。
小林 そう、歌い続けるってことをしたことがないから。もう何もわからないままに進んでいます(笑)。
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