人気乙女ゲームが実写ドラマ化!乙女ゲーム好き、ハライチ岩井勇気が語る「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」 (2/2)

キュンとくるシーンにはちゃんとキュンとする

──岩井さんにはドラマ版「薄桜鬼」の5話までを事前にご覧いただきました。率直な感想をお聞かせください。

「薄桜鬼」には羅刹や鬼といったファンタジー要素もありますが、基本は新選組を軸とした話なので、実写化されても見やすいだろうなと思っていました。今回のドラマは、画面の色味にも幻想的で切ない感じが出ていて、カラッと晴れていない空気感というか、天気で言ったら小雨ぐらいの感じで(笑)、雰囲気が良いなと。

──ドラマでは、崎山つばささんが演じる土方歳三を中心に物語が進みます。

実写の土方さんも非常に頼り甲斐がありそうですよね。原作に忠実で、リスペクトを随所に感じられました。土方さんって、新選組で“鬼の副長”と呼ばれているくらいなので、基本は厳しい人ですし、初めのうちは千鶴の身柄を預かった者としての責任感や義務感で接してくれてるのかな?と思っていたら、それがだんだん愛情に変わっていくんですよね。「えっ、この優しさはどっち?」みたいに揺さぶられるというか、鬼の副長にも、ちゃんと“デレ”の部分が用意されているのが良いですよね。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、崎山つばさ演じる土方歳三。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、崎山つばさ演じる土方歳三。

──ドラマでも“顎クイ”だったり、“頭ポンポン”や“おにぎりはんぶんこ”というような、糖度が高めなシーンが再現されていますね。

そうですね。僕は、キュンとくるシーンにはちゃんとキュンとするんですよ(笑)。僕自身は、恥ずかしくてそういうことはできないので、例えば、もし僕の隣に“顎クイ”をやってる土方さんがいたら「すごいね!」って言うと思う。“曇なきまなこ”でそれができるってすごいです。「いつまでもそのままのあなたでいてくれ!」って思います。

──先ほど、ヒロイン目線にはならないとおっしゃっていましたが、今作のヒロイン・雪村千鶴についてはどんな印象をお持ちですか?

千鶴は刀を持って男装していたり、父親を探すために新選組と危険な場所に行ったりと、意志が強めなヒロインですよね。居合の達人である斎藤(一)さんに1対1で腕試しに挑んだりしますし。彼女の出生の秘密もストーリーの肝になってくるので注目です。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から若柳琴子演じる雪村千鶴、矢野聖人演じる斎藤一。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から若柳琴子演じる雪村千鶴、矢野聖人演じる斎藤一。

藤堂が思っていた倍くらい、吹っ飛ばされていた

──東映の京都撮影所で撮影された本ドラマでは、池田屋事件をはじめ、殺陣のシーンも迫力たっぷりに描かれます。

池田屋襲撃のシーンは、暗い室内での乱戦になるので緊迫感がありましたね。実写だと刀がより重々しく見えるので、どこから斬りかかられるかわからない怖さも常にあって。ドラマでは特に近藤(勇)さんの気迫がすごかったし、斎藤さんもカッコよかった。序盤で一番の盛り上がりを見せる場面ですが、ドラマでも作り込まれているなと感じました。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から金井成大演じる沖田総司、田中幸太朗演じる近藤勇、才川コージ演じる永倉新八、福山康平演じる藤堂平助。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から金井成大演じる沖田総司、田中幸太朗演じる近藤勇、才川コージ演じる永倉新八、福山康平演じる藤堂平助。

──池田屋では、のちに新選組と敵対関係になる鬼の頭領・風間千景と沖田総司の対決も見どころです。敵役の風間にはどのような印象をお持ちですか?

風間は、原作では声優が津田健次郎さんですし、好きですね。「薄桜鬼」では、鬼も完全な悪役というわけではなく、それぞれの正義や信念のもとに行動している。原作ゲームでもルートをたどっていくと彼らに共感できる部分がありますし、風間は1本筋が通ったカッコいい男だと思います。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から金井成大演じる沖田総司、若柳琴子演じる雪村千鶴。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」より、左から金井成大演じる沖田総司、若柳琴子演じる雪村千鶴。

──池田屋では、岩井さんの推しキャラである藤堂も、鬼の天霧九寿と戦いますね。

藤堂は天霧に思いっきり殴られるじゃないですか? あのシーンが実写だと、思っていた倍くらい吹っ飛ばされていましたね(笑)。アニメでは襖1枚分ぐらいだったんですが、ドラマだと何枚か抜けていて(笑)。

──確かに、拳の一撃が重く感じられましたね(笑)。ドラマの6話以降の展開については、どのようなことを期待されていますか?

風間もまだ本領を発揮していないので、どのくらい強さを見せつけてくれるのか楽しみですね。あとは羅刹化していく面々の行く末も気になります。

──新選組メンバーは死の間際に生きながらえることを選び、変若水を飲んで羅刹と化しますが、岩井さんがもし同じ立場だったら変若水を飲みますか?

迷わず飲みます。

──羅刹化してもいいんですか!?

僕、本当に死にたくなくて(笑)。変若水を飲んで、羅刹化して、羅刹の力をできるだけ使わないようにしながら生きていくと思います。周りの人間には「頼むから俺を怒らせないでくれ」「羅刹になるようなことしないでくれ」って言うと思う(笑)。

──「薄桜鬼」の世界だったら、山南さん率いる羅刹隊に入れられてしまうかもしれませんね(笑)。

お断りします(笑)。

岩井勇気

岩井勇気

イケメンキャラとの恋愛要素を抜きにしても面白い

──岩井さんはハライチでのネタ作り以外でも、マンガ「ムムリン」の原作、音楽朗読劇「黑世界~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~」での脚本、そしてエッセイ刊行と、多岐にわたる分野で才能を発揮されています。もしご自身が「薄桜鬼」の実写化をプロデュースできるとしたら、どんな作品にしたいですか?

難しいですね(考え込んで)……幼稚園生ぐらいの子供たちが「薄桜鬼」のキャラを演じる「赤ちゃん薄桜鬼」とかどうですか? 「可愛いからまあいっか」ってことで(笑)。“赤ちゃん土方”とか、“赤ちゃん風間”とかが出てきて、哺乳瓶に入った変若水を飲むと“赤ちゃん羅刹”になったり。

──実現したらかなりの話題を呼びそうです(笑)。では、今回のドラマ版「薄桜鬼」をどんな人におすすめしたいですか?

乙女ゲーム原作ではあるのですが、間口が広いドラマだなと思います。ストーリーも丁寧に描かれているので、原作をまったく知らない人でも楽しめるし、原作に忠実に再現されているので、原作ファンも満足できるはず。イケメンキャラとの恋愛要素を抜きにしても、歴史ものやミステリーとして面白いので、老若男女問わず新選組と鬼たちの物語を見届けてほしいですね。

岩井勇気

岩井勇気

プロフィール

岩井勇気(イワイユウキ)

1986年、埼玉県生まれ。幼なじみの澤部佑とお笑いコンビ・ハライチを結成し、ボケとネタ作りを担当。現在のレギュラーは「おはスタ」「まんが未知」「Doki Doki! NHKワールド JAPAN」(声の出演)といったテレビ番組、TBSラジオ「ハライチのターン!」、ネット配信番組「ハライチ岩井勇気のアニ番」など。2020年に上演された末満健一の舞台作品、音楽朗読劇「黑世界~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~」の「日和の章」では脚本として参加。2021年7月に女性向けゲームブランド・オトメイトから発売されたNintendo Switch用ゲーム「君は雪間に希う」で原作・プロデューサーを務めた。2019年刊行のエッセイ集「僕の人生には事件が起きない」に続き、2021年9月にエッセイ集の第2弾「どうやら僕の日常生活はまちがっている」が発売。「ヤングマガジン」で連載中のマンガ「ムムリン」で原作を担当している。