2008年に1作目のゲーム「薄桜鬼 ~新選組奇譚~」が発売されて以来、アニメ、舞台・ミュージカルなど、さまざまなメディアミックスを繰り広げてきた「薄桜鬼」が、このたびWOWOWで実写ドラマ化される。本ドラマでは、原作同様、幕末の動乱期を生きた新選組隊士たちを中心としたストーリーが展開。新選組の前に立ちはだかる苦難の数々、そして彼らと行動を共にする少女・雪村千鶴の重大な秘密を巡って、数奇な運命が描かれる。
ステージナタリーでは、乙女ゲーム好きで知られるお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気にインタビューを実施。アニメ・マンガ・ゲームに造詣が深く、乙女ゲーム「君は雪間に
取材・文 / 川口聡撮影 / 清水純一
「薄桜鬼」とは?
2008年、オトメイトから女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「薄桜鬼 ~新選組奇譚~」が発売され、以降、スピンオフ作品、テレビアニメ、劇場版アニメ、舞台・ミュージカルなど、さまざまなメディアで展開されてきた人気シリーズ。
時は幕末。江戸育ちの蘭方医の娘・雪村千鶴は、京で仕事をしている父・綱道との連絡が途絶えたため、男装をして京の町を訪れる。千鶴の前に現われたのは、人とは思えぬ恐ろしい所業を繰り広げる“羅刹”と、土方歳三率いる新選組の隊士たちだった。羅刹を一瞬のうちに斬り捨てる新選組。しかし、千鶴の父・綱道には、羅刹や新選組と切っても切れない深い因縁があった。千鶴は新選組に身を置き、彼らと行動を共にすることになり……。
WOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信される「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」では、己の信念のために刀を振るう新選組副長・土方役を崎山つばさ、物語の鍵を握る千鶴役を若柳琴子が担当。時代劇とダークファンタジーの要素が融合したエンタテインメントが幕を開ける。
乙女ゲームのキャラは、一点の曇りもなくカッコよくいてくれる
──アニメ・マンガ好きとしても知られている岩井さんですが、乙女ゲームを好きになったきっかけは何だったのでしょうか?
テレビアニメを観て、その作品を好きになって、原作ゲームもやってみようかな、となるパターンが多いですね。「薄桜鬼」もアニメが先でした。オトメイトのゲームだと「ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚」にもハマりましたね。
──同じくオトメイトから発売された恋愛アドベンチャーゲーム「君は雪間に
お笑い芸人って、“カッコつける”ことに敏感で、自分自身もあまりカッコつけたりしないのですが、乙女ゲームに出てくるような男子って、一点の曇りもなくカッコよくいてくれるじゃないですか? そこにある意味で憧れるというか、カッコつけることを馬鹿にしていない世界観が好きなのかもしれないです。乙女ゲームは特に、個別シナリオのルートをたどっていくと、自然とヒロインと1対1になるシーンが多くなるので、カッコよさも色濃く出て楽しめますね。
──乙女ゲームにも、ストーリーやキャラクター、胸キュン度を表す“糖度”など、さまざまな要素がありますが、プレイする際、特に重視されている要素はありますか?
やっぱりまずはストーリーですね。特にオトメイトのゲームはストーリー重視で、ただただヒロインをキュンとさせる甘い場面が続くというよりも、物語の中に必然的にキュンとさせるようなシーンが組み込まれている印象があります。
──「薄桜鬼」でも、新選組と“鬼”を巡る重厚なダークファンタジーが展開しますね。
重厚ですね。ヒロインの千鶴が、羅刹(編集注:
推しキャラは、とにかく優しい藤堂平助!山南さんには“同属嫌悪”
──ちなみに岩井さんの「薄桜鬼」の推しキャラは誰ですか?
新選組の藤堂平助ですね。僕が乙女ゲームをするときってヒロイン目線じゃなくて、「もし自分自身がその世界に行ったら」という“岩井視点”になるので、自分にも優しくしてくれそうな人が良いなと思って(笑)。
──藤堂はヒロインの千鶴とも歳が近く、仲の良い友達のような関係から始まりますよね。
ヒロインに対しての接し方を見ても、藤堂はとにかく元気で優しい。新選組の中では、小柄で非力なほうだと思うんですが、それでも守ろうとしてくれたり。原作では最終的に羅刹になってしまいますが、自分の寿命が減っていくことへの恐怖をかえりみずに千鶴を守ることに必死になって、羅刹化して戦って……その辺が切なくて好きです。
──藤堂とは違い、最初は比較的冷たく接してくる山南(敬助)さんの印象はいかがですか?
山南さんは、大枠で言ってしまえば、自分と同じようなタイプな気がしていて、自分が「薄桜鬼」の世界に行ったらと考えたとき、“同属嫌悪”に近いものを感じるかもしれませんね(笑)。
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キュンとくるシーンにはちゃんとキュンとする