初舞台の2人と“お芝居の先輩”たち

──礒部さんと佐藤さんは舞台俳優、声優として活動しており、山根さんと今泉さんは今作が初舞台となります。声だけでキャラクターを表現することと、舞台上でご自身の身体すべてを使って役を演じること、それぞれの違いについてどのように考えていらっしゃいますか？

山根　アニメやゲームの声を撮るときは1人ずつ尺が決まっているんですけど、舞台の場合は“絵”がないし、みんなそれぞれ気持ち良く感じるセリフの間が違うので、いつしゃべり出したら良いかタイミングをつかむのが難しいです。

礒部　あと1カ月あるから大丈夫だよ！

山根　舞台経験がある2人は、気持ち良いテンポで掛け合いをしていて本当にすごい！ 児玉さんに演技についていろいろとご相談したら、「やりながら間を調整していこう。違和感があったら言うし、それがお稽古だから」と言ってくださって。「もう……児玉さんについていきます！」みたいな気持ちになりました（笑）。

今泉　舞台だと、別の方向にいる人に話しかけているのに、正面を向いてセリフを言ったりするじゃないですか。やっと慣れてきたんですけど、最初はちょっと戸惑いましたね。

山根　あー、わかる！ 大変だよね。

今泉　お客さんにお尻を向けないように気を付けないと（笑）。

──“お芝居の先輩”である礒部さんと佐藤さんは、違いをどのように捉えていますか？

礒部　もちろん違いはあるんですが、“その役を生きる”という意味では、根本的にあまり変わりはないかなあ。

佐藤　アニメだから、舞台だから、というふうに区別して考えてはいないってことだよね。

礒部　そうそう。

佐藤　私の場合、自分自身がめちゃくちゃ元気な人間なので、ゲームでは声量とテンションをかなり抑えてミラクルの声を録ったんです。舞台だと、踊ったあとはどうしてもテンションが上がって素の自分が出てしまいそうになるから、“儚さゼロ”のミラクルにならないように、落ち着いてお芝居をすることを心がけたいなと思っています。

蹄鉄は“あの音”で表現

──歌あり、ダンスあり、レースあり、“ウイニングライブ”ありと、さまざまな要素が盛りだくさんの「舞台『ウマ娘 プリティーダービー』～Sprinters' Story～」ですが、特に注目してほしいポイントはどこですか？

今泉　見どころはなんと言っても“ウイニングライブ”ですね。自分自身、「観客席で観たい」と思うほどクオリティが高いので、トレーナーの皆さんにも楽しんでもらいたいです。

山根　“ウイニングライブ”は、トレーナーさんたちがずっと観たかったものになっているので、ゲーム内で使用されている曲をたくさん聴いて劇場に来ていただけたら、さらに楽しんでもらえるのではないかと。あとは、なんと“ウイニングライブ”以外にもオリジナル楽曲を披露するミュージカルパートが用意されているんですよ！ 個人的にはミラクルの歌が大好きで……涙が止まらなくなるので、皆さんハンカチを忘れずにお持ちくださいませ（笑）。

礒部　私は、お芝居のパートに注目してもらいたいですね。それぞれのキャラクターの性格やバックグラウンドが深く掘り下げられていますし、核心をついた物語が展開されるので、トレーナーの皆さんの心に刺さる内容になっているのではないかと思います。

佐藤　舞台美術も見どころの1つです！ 競馬場を模したセットになっているので、品川プリンスホテル ステラボールという競馬場に足を運ぶイメージで、たくさんのトレーナーさんに観に来ていただけたらと思います。

──ダンスのパートでいうと、ウマ娘が靴につけている蹄鉄の音を表現するためにタップダンスが取り入れられるそうですね。

佐藤　そうなんです！ 競走馬並みのスピードでウマ娘たちが走る音を再現するために、BPM130から160くらいまでの音楽に合わせてタップする練習をしていて。

山根　レース中に抜きつ抜かれつするところをタップで表現するんですけど、実際に劇場で観たら鳥肌が止まらないと思います！

佐藤　アンサンブルの方を含め、タップ未経験者が多数だったんですが、花凜ちゃんはスキルが高くて。さすが、“華麗なる一族”のルビー！

礒部　ごめんあそばせ（笑）。

一同　ははは！

山根　花凜ちゃんは教わったらすぐにパパッとできちゃうんですよ！

礒部　そんなことないよ！ 恥ずかしい（笑）。みんなちゃんとできてるよ。

山根　いやいや、難しすぎて、リズムゲームをやってる感覚になるもん。

今泉　確かに！（笑）

山根　みんな、自分の役のモチーフになった競走馬の気性までしっかり調べて足音を表現しているので、競馬が好きな方には細かいところまで伝わるんじゃないかと思います。

佐藤　パドックのシーンでは、それぞれのウマ娘の調子が如実に出そうですよね（笑）。

山根　そうだね！（笑） 「ウマ娘 プリティーダービー」の舞台化が決定したとき、いろいろな反応をいただいて。「初めて舞台を観に行きます。楽しみです！」と言ってくださるトレーナーさんもいれば、「舞台化して大丈夫……？」と心配されている方もいて、自分自身、不安な気持ちもよくわかるなと思ったんです。でも、みんなと一緒に稽古をするうちに、「観に来て良かった！」「観に来た価値があった！」と思ってもらえる作品になると確信しました。今回が初舞台の私でも「この作品はすごいぞ！」というのが直感でわかるぐらい素晴らしい作品になっているので、「舞台化……？」と思っている方にこそ、観てもらいたい。楽しみにしてくださっているトレーナーの皆さんも、まずは1回観に来てください。そうしたら、絶対にもう1回絶対観たくなるはずなので！ よろしくお願いします！