スクールアイドルプロジェクト・ラブライブ!シリーズの「スクールアイドルミュージカル」が2022年12月に誕生。初演の好評を受けて、2023年8月に追加公演が実施され、2024年1月に新たなキャストを迎えて再演が行われる。
「スクールアイドルミュージカル」で描かれるのは、椿咲花女子高等学校、滝桜女学院に通う10人の少女たちの青春学園ドラマ。対立する2校の理事長の娘、椿ルリカと滝沢アンズがアイドル活動を通じて出会ったことをきっかけに、彼女たちを取り巻く世界が大きく変化していく。
ステージナタリーでは、初演から出演しているルリカ役の堀内まり菜、皇ユズハ役の浅井七海、北条ユキノ役の杏ジュリア、アンズ役の関根優那にインタビュー。役と共に濃密な1年を過ごしてきたオリジナルキャスト4人の“スクミュ愛”をお届けする。
取材・文 / 興野汐里撮影 / 曽我美芽
この役でもう一度舞台に立ちたい!
──「スクールアイドルミュージカル」は2022年12月に初演されたのち、2023年8月の追加公演を経て、2024年1月に新キャストを迎えて再演されることとなりました。オリジナルキャストの皆さんにとって、「スクールアイドルミュージカル」づくしの1年でしたね。
堀内まり菜 そうですね。「スクールアイドルミュージカル」という作品がお客様に受け入れてもらえるのか、初演の幕が開くまでは少し不安だったんですけど、初日のカーテンコールで温かい拍手をいただいたとき、自分たちがやってきたことに対して自信を持つことができました。初演の千秋楽で、「ここで終わりにしたくない」「ルリカちゃんとしてもう一度舞台に立ちたい!」という思いが込み上げてきて……その後、また演じさせていただけることになって、すごくうれしかったです。
関根優那 ラブライブ!シリーズの新しいコンテンツがスタートするということで、みんなで一から作り上げることの楽しさ、それをお客様に受け入れていただけたことの喜びを感じた1年でした。アンズちゃんと共に過ごした1年間の経験を踏まえて、再演では「スクールアイドルミュージカル」の魅力をより多くの方々に伝えていけるように、表現を磨いて舞台の上に立ちたいと思います。
杏ジュリア 初演のときは、役作りに対して悩んだこともあったんですけど、回を重ねるごとに役への理解が深まって、「ユキノちゃんってこういう子なんだよ!」と自信を持って演じられるようになりました。追加公演を経て、メンバー同士の距離が縮まったことも個人的に印象的だったことの一つです。
浅井七海 そうだね。追加公演のときは特にお客様からの期待値が上がっていたと思うので、初めて観る方にも何度も観てくださっている方にも「『スクールアイドルミュージカル』って最高!」と思ってもらえるように研究を重ねたのを覚えています。
──堀内さんは椿咲花女子高校の2年生・椿ルリカ役、浅井さんはルリカの幼なじみ・皇ユズハ役、杏さんは2人の後輩である1年生の北条ユキノ役を演じ、関根さんは、滝桜女学院の2年生・滝沢アンズ役を務めます。皆さんがご自身の役を演じるのは今回で3度目になりますが、役に対する印象や、公演を重ねる過程で発見した魅力、役を立ち上げるうえで意識していることなどについて教えてください。
堀内 最初の頃は、ルリカちゃんの天真爛漫でパワフルな部分を表現したいと思うあまり、少し無理をしてエネルギッシュに振る舞っていたところがあったんです。でも、役と向き合う中でそれは違うなと気付いて。ルリカちゃんの素直な部分を大切にしながら、自然体で演じようというふうにシフトしていきました。
浅井 初めは真面目でお堅い子なのかな?という印象を受けたんですけど、台本を読み解いていくうちに、意外と柔らかい部分もあるんだなと思うようになりました。ユズハちゃんの個性を大切にしながら、「ラブライブ!」の世界観を損なわないように役作りをしていきましたね。
杏 ユキノちゃんはとにかくおっとりした女の子。最初はテンションを上げすぎずに、落ち着いたイメージで役を作っていったんですが、1年生らしいフレッシュさがある、元気な子なんじゃないかな?と思うようになって。自分自身、第一印象とのギャップを感じたので、舞台を観に来てくださった方も「ユキノちゃんって意外とこういう子だったんだ」と驚いたんじゃないかなと思います。
関根 アンズちゃんは、滝桜女学院芸能コース選抜アイドル部でセンターを務めているので、そのキラキラ感をどうやって表現したらいいんだろう……と悩みましたね。でもアンズちゃんという役は、アイドル部のメンバーをはじめとしたキャストの皆さんに支えてもらうことによって完成する役なんだと気付きました。また、アンズちゃんは家族について葛藤する場面があるので、「ラブライブ!」らしさを失わずに、彼女の心情を表現するにはどうすれば良いのか。そのバランスを考えつつ、今回の稽古でもアンズちゃんと向き合っています。
新キャストを和ませた一発ギャグ
──試行錯誤を続けながら、ご自身の役と対峙しているんですね。続けて、ご自身以外のキャストさんと役についても“他己紹介”をしていただけますか?
浅井 アンズちゃんはセンターということもあって、周りのことをよく見ている子なんです。優那ちゃんも視野が広くて、みんなに優しく声をかけてくれるから、まさにアンズちゃんそのものだなあって!
堀内 そうだね。楽しむときは一緒に思いきりふざけてくれるし、締めるところはしっかり締めてくれる。そのギャップもすごくアンズちゃんっぽいです!
関根 私はまり菜を紹介しようかな。いつもひたむきな姿勢、明るくてみんなから愛されるパワーを持っているところ……共通する部分が多すぎて、まり菜とルリカはもはやイコールなんですよね。
堀内 うれしい! ありがとうございます……!!
浅井 私は、ジュリアちゃんの推しに対する熱量の高さが大好きで。推しができると、その人の話が止まらなくなったり、グッズをたくさん買ったり、推しへの愛がとにかくすごくて可愛いんですよ(笑)。そういうところが特に、ユキノちゃんからルリカちゃんへの愛情表現の仕方というか、「ルリカ先輩、大好き!」って懐いているところに似ているなあと思います。
堀内 自分がやると決めたことに対して、真摯に努力を重ねるところも、ジュリアちゃんとユキノちゃんはすごく似ているよね。なーみん(浅井)は、自分が弱っているときや不安な気持ちを抱えているときにそっと寄り添ってくれて、温かい言葉をかけてくれるところがすごくユズハちゃんっぽいと思う。なーみんがいると楽屋の雰囲気が明るくなるし、「スクールアイドルミュージカル」のカンパニーにおいてとても大事な存在です。
浅井 再演では、Wキャストの鈴木まゆりちゃんと一緒にユズハちゃんを演じるので、私自身新しい発見がたくさんあって、初心に返った気持ちでユズハちゃんという役を再構築できている気がします。まゆりちゃんとお互い高め合いながら、さらにパワーアップした作品をお届けできるようがんばります!
──今回はユズハ役で浅井さんと鈴木さん、ユキノ役で杏さんと寺田光さん、天草ヒカル役で小山璃奈さんと春名真依さん、三笠マーヤ役で佐藤美波さんと松澤可苑さん、若槻ミスズ役を西葉瑞希さんと南野巴那さん、来栖トア役を黒木美佑さんと西田有愛さん、鈴賀レナ役を三田美吹さんと加藤夕夏さん、晴風サヤカ役を西田ひらりさんと山本愛梨さんがWキャストで務めます。今回から参加する新キャストの方々も迎えましたが、稽古場の雰囲気に変化はありましたか?
堀内 再演の稽古が始まった頃はみんな緊張していたようだったんですけど、ジュリアちゃんが一発ギャグを交えながら自己紹介してくれて、場が和みました!(笑)
一同 ははは!
杏 「杏ジュリアちゃんってもしかしてお笑い系キャラ!?」と思われたかもしれないんですけど、実はそんなに積極的に笑いを取りにいくほうではなくて(笑)。
浅井 初演や追加公演のときは、どちらかというとまりっぺ(堀内)のほうがお笑い担当だった気がする。まりっぺに対するリスペクトや好きな気持ちがどんどん加速して、ジュリアちゃんもお笑い担当になっていったところがあるよね(笑)。
堀内 ははは! ジュリアちゃん、これからも一緒に笑いを取っていこう!
関根 椿咲花メンバー、ワチャワチャしてるなあ!(笑) 確かに、最初は新メンバーの子たちも緊張していたと思うんですけど、会話を重ねていくうちに、ラブライブ!シリーズや「スクールアイドルミュージカル」が好きという気持ちは全員同じだということがわかって。すごく良い雰囲気で再演のスタートが切れたんじゃないかなと思います。
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「やりたいからやるんだ」