ぜひ注目してほしい男役ならではの“色気”
──この座談会では男役スターの皆さんにお越しいただきましたが、パッと思いつくお互いの、自分にはない男役の魅力を教えていただけますか?
楊 (虹架と愛瀬の肩を引き寄せ、イケボで)R-30かな。
虹架 やめてー(笑)。
愛瀬 あははは。
──30歳以下の人は観てはダメだと?
楊 2人は色気がありすぎてモザイクがかかるレベルなんです。バラエティ番組でいうとゴールデンタイムではない、大阪で放送されている「ナイトinナイト」(編集注:大阪・朝日放送で月曜から木曜まで放送されている23時台のバラエティ番組枠)という感じかな。でも、「ナイトinナイト」じゃなきゃダメだよ!と私は思っています。虹架はこう見えてエンターテイナーで、普段、めちゃくちゃ面白いんですよ。でも舞台上で男役になったらこちらが「わー、恥ずかしい」って赤面するくらいカッコいい。愛瀬には和の色気があります。ホラーでもそうですが、“和”には繊細で真に迫る部分があって、愛瀬にはそういう、匂い立つ色香がある(笑)。
愛瀬 ええーそんなことを言われて、どんな道長になっちゃうんだろう。昔、「Crystal passion~情熱の結晶~」(2015年)という出ずっぱりで踊りっぱなしのショーがあって、意識が飛びかけの状態で歩いていくときに、楊さんを観ながら「めっちゃカッコいい人が向こうから来た」と思ったことがありました。でもそのとき楊さんは、「めっちゃエロい人が歩いて来る」と思っていたということですよね?
楊 あははは!
退団公演を前に虹架路万と愛瀬光が思うこと
──「レビュー in Kyoto」で虹架さんと愛瀬さんが退団されます。退団に向けて、今はどのような思いでいますか?
愛瀬 今回、「春のおどり」の製作発表のときに退団を発表させていただいたのですが(参照:OSK日本歌劇団100周年に向け、楊琳「熱く激しい最高のレビューショーを」)、OSKとしては異例なくらい早い公表だったんですね。そのときは言葉に詰まりながらも、実感はあまり湧かない状態でした。今は、いろいろなことが最後になっていく、退団の足音が近づいてきたなということを感じる日々を過ごしています。発表から退団までのスパンがあったことにより、もちろん、最後の最後まで表現に対するチャレンジは忘れませんが、チャレンジ以外の何かが湧いてきてしまっていて。舞台に立ったときに悲しい思いになるのではなく、今できること、今という瞬間が、すがすがしさに変わっていく、そんな不思議な感覚ですね。とか言って、最終日にはギャン泣きするかもしれませんが。
楊 ギャン泣いてください。
愛瀬 ありがとうございます(笑)。すがすがしい思いと共に大阪と東京の公演をしてきたので、京都公演ではこの気持ちはもっと増していくんじゃないかなと思っています。
虹架 そうだね。自分はとてもさみしいです。今日もこうやって参加させていただける1つひとつのことに感謝していました。今、「桜咲く国」の歌詞を見ていたんですが、初舞台のときから桜パラソルを持たせていただいて、幕が上がる一瞬の緊張感やお客様と劇場が一体になった瞬間を何度も経験させていただきました。京都の南座で、舞台人としては最後の幕が上がり、下りる瞬間を今のメンバーで迎えることができて、とても幸せです。
一同 (しみじみとうなずく)
虹架 100周年という華やかなときに卒業させていただくのはどうかと悩んだこともあったんですが、90周年を迎えたときに、あと10年がんばったらどんな景色が観えるんだろうと思って、走ることができました。100周年のときにたくさん降らせてくださった桜を肩に感じて、自分の荷も少し下りたかなという気がしたんです。客席と舞台をつなぐ架け橋になれるように虹架路万という芸名にしましたが、今思うとOSKの時代と時代をつなぐという芸名だったのかなって。100周年までいて良かったですし、未来はとても明るいので、安心して「レビュー in Kyoto」に臨めるなと、ロビーで写真を撮っているときに思いました。みんなが本当にかわいくて仕方ないです。たくさんの方に観に来ていただけたら良いなと思います。
──では楊さん、南座公演に向けての意気込みを改めてお聞かせください。
楊 3年ぶりということで劇団員も、今からふつふつしております(笑)。「陰陽師」はメジャーなタイトルなので、OSKを観たことがなく、その一歩がなかなか踏み出せないという方には、ぜひこの作品で体験していただいて、OSKを好きになってもらいたいなと思います。素晴らしい舞台をみんなで一丸となって作り上げてお届けしますので。コロナ禍で気楽に劇場に来られないとは思いますが、3年ぶりに祇園祭も開催されますし、ぜひご旅行も兼ねて、息抜きに観に来ていただければ。お待ちしております!
教えて、OSKの“京都のここが好き!”
座談会に登場した5人に、それぞれが思う、京都の好きなところを教えてもらった。彼らが挙げた、南座公演の際に必ず訪れる場所や京都のグルメ、必ずゲットするお土産には、それぞれの個性が見え隠れして……。「レビュー in Kyoto」観劇のお供に、ぜひ参考にしてみては。
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楊琳
私は京都の歴史ある趣が大好きです!
ザ・日本!と言いますか……日本の素敵な歴史がそのまま“生きている”感じがします。
そして、必ずお香屋さんに行ってお気に入りのお香を買います♬
あっ! あと志津屋(編集注:1948年創業の京都の老舗パン屋)のカルネが大好きです! 普通のカルネもペッパーカルネも大好き! 必ずいただきます!
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虹架路万
南座のお隣を流れる鴨川の四季折々の表情がとても好きです。
河原町通りを歩けば永楽屋さんでおしゃれな手拭いをオリジナルバッグに、先斗町にある茶香房 長竹さんの抹茶大福をお土産にゲットできたら幸せいっぱい! 公演中もパワー全開でがんばれます♫
夏の京都公演では、やま京さんで作っていただいたうちわで熱い公演を乗り切っています!
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愛瀬光
今まで、夏の京都、冬の京都でも公演をさせていただく機会がありました。今回は夏。夏の京都といえば祇園祭。公演とちょうど重なり、いつも人がとても多いですよね。イメージとしては、祇園祭になると近くて遠い南座。朝や夕方にはそんな思い出があります。公演終わりに、御朱印集めに回ったことも。皆様もぜひチャレンジされてみては?
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華月奏
南座が大好きです! 楽屋などから鴨川を眺めることができるのも、好きなポイントの1つですが、祇園祭のときには、楽屋までお囃子の音が聴こえてきたり、お祭りの様子を眺めたり……ほかの劇場ではなかなか味わえない環境だなと思います♡
また、幼い頃は梅小路蒸気機関車館がお気に入りで、自分用のお土産は八ツ橋が必須でした!
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翼和希
“京都のここが好き!”は自然と街と歴史が共存しているところです!
川や森などの自然を感じつつにぎやかな街を歩いていて、道を一筋曲がると歴史を感じる建物や文化がたくさんあり、それに触れることができる、何度来ても楽しい場所です。
京都へ行く際はいろいろな所へ参りますが、嵐山、車折神社へは頻繁に行っていると思います。
プロフィール
楊琳(ヤンリン)
8月7日、神奈川県生まれ。2007年にOSK日本歌劇団に入団。2016年の「ROMEO&JULIET」で劇場公演初主演。その後も「円卓の騎士」「新撰組」「愛と死のローマ」と、主演公演を多数経験し、頭角を現す。2021年4月にOSK日本歌劇団の新トップスターに就任。同年6月に大阪松竹座、8月に新橋演舞場でお披露目公演「レビュー夏のおどり『STARt』」を行った。
虹架路万(ニジカケロマン)
6月17日、大阪府生まれ。2006年にOSK日本歌劇団に入団。2015年の「Revue Cafe『SWEETS SONG』」で初主演。語学力を生かし、訪日外国人向け公演で主演を務める。2019年の「Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞」では愛瀬光とW主演を務めた。「レビュー in Kyoto」をもって退団。
愛瀬光(マナセヒカル)
10月3日、鹿児島県生まれ。2008年にOSK日本歌劇団に入団。2008年に「レビュー春のおどり」で初舞台。2016年、「OSK Revue Cafe『WHITE ONYX』」で初主演。2020年、シンガポールに招聘された「PRECIOUS STONES」では主演を務めた。「レビュー in Kyoto」をもって退団。
華月奏(ハナヅキソウ)
4月21日、愛知県生まれ。2009年にOSK日本歌劇団に入団。入団前にはアクトダンサーとして活動していた。2009年に「春のおどり」で初舞台。2016年の「OSK Revue Café『Bonjour!!』」で初主演を務め、2017年の「HIDEAWAY~ハイダウェイ~」では劇場公演初主演を果たした。
翼和希(ツバサカズキ)
4月15日、大阪府生まれ。2012年にOSK日本歌劇団に入団。2013年に「春のおどり」で初舞台を踏む。2016年の「OSK Revue Café『Wake up!!』」で初主演を飾り、同年に「Sing! Sing! Sing」、2017年に「イロトリドリ」、2018年に「Fire Agate~躍動~」で主演。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。