月刊「LaLa」(白泉社刊)で連載された葉鳥ビスコの人気マンガ「桜蘭高校ホスト部」が2022年1月に舞台化され、大きな話題となった。その第2弾となる「歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒ」が12月に上演される。
このたびステージナタリーでは、初演「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」(以下ホスミュ)から続投する須王環役の小松準弥、鳳鏡夜役の里中将道にインタビュー。“ホスミュ愛”がさらに深まったという2人に、舞台上でも発揮されているチームワークの良さの秘訣、2人が考えるホスミュの“推しポイント”について話を聞いた。
取材・文 / 興野汐里撮影 / こいそヘアメイク / 横手寿里
チームワークの良さが反映された初演
──「歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒ」は1月に上演された「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」(参照:歌劇「桜蘭高校ホスト部」開幕!小松準弥・里中将道らキャスト陣が全身全霊で挑む)に続く第2弾公演となります。初演を振り返って、ホスミュカンパニーの魅力はどのようなところにあると感じましたか?
小松準弥 僕は、カンパニーのみんなが楽しみながらパフォーマンスをしていたことが強く印象に残っています。芝居パートから歌唱パート、ダンスパートに至るまで、キャラクターの感情がつながった状態で物語が進んでいくので、お客様にもしっかりとその空気感が伝わって、一緒に楽しんでいただけたのが良かったなと思います。
里中将道 チームワークが良かったというか、稽古のときからみんなで手と手を取り合って作品を作っている実感がありましたね。
小松 そうそう。最初からめちゃめちゃ仲良かったよね! 仲良くなるために費やした時間がほぼなかった。そこにすごく助けられた気がします。
里中 稽古がスタートしたときから、お互いに「みんなと仲良くなりたい」っていう気持ちが強かったよね。あのメンバーで良かったなって、すごく思います。
小松 全員が「ホスミュの世界を華やかなものにしたい」っていう共通認識を持っていたのが大きかったよね。自分自身がホスミュを楽しむ気持ちを持ちつつ、お客様の楽しませ方も意識しながら稽古した結果、良い空気を作り上げることができたのかなって。あとは、みんな視野が広くてオンとオフの切り替えがじょうず。「ここはしっかり(お芝居を)固めよう!」というところで発揮する集中力の高さも、要因の1つだったのかなと思います。
推しを決めるのは難しい!
──初演で小松さんにインタビューさせていただいた際、ご自身と環の共通点は「『楽しく』をモットーにしているところ」とお話しされていましたが(参照:“好き”の輪がどんどん広がる!須王環役・小松準弥が解説、「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」の魅力)、その後、ご自身の役について新たな発見があれば教えてください。
小松 実際に環を演じてみて、彼のエネルギーの大きさにびっくりしました。原作を読ませていただいて、ものすごい影響力があるキャラクターだなと思っていたんですけど、自分が演じるにはまだまだパワー不足だなと感じる部分もあって。
──里中さんはいかがですか?
里中 自分も鏡夜ほどクールではないし、腹黒いことを考えるタイプではないから、表面的に似通っている部分はあまりないかもしれません。でもお芝居をやるにあたって、「もっと作品を良くしていきたい」「みんなと一緒に絶対に成功させたい」という思いがあるので、仲間に対する感情は共通するところがある気がします。また鏡夜を演じる中で、彼はとても愛情深いというか、みんなを支えたい、守りたいという思いが人一倍強いんだなと気付いて。鏡夜はその恥ずかしさを隠すために、あえて周囲に対して冷たく接しているところがあるんじゃないかなと思ったんです。鏡夜のことを知れば知るほど、彼のことをもっと好きになっていきましたね。
小松 一緒にお芝居をしていて、将道の鏡夜に対する愛情がすごく伝わってきたもん!
里中 ははは!
──以前小松さんは、里中さんの影響でモリ先輩(銛之塚崇)推しになったとおっしゃっていました。初演を経て、ご自身が演じるキャラクターへの愛がより一層深まったのではないかと思いつつ、ずばり“今現在の推し”はどなたですか?
小松 好きなキャラクターが増えすぎて、推しを決めるのが余計に難しくなっちゃったんですよ(笑)。
里中 鏡夜推しであることは大前提として(笑)、やっぱり僕は環がすごく好きですね。まず、桜蘭ホスト部は環がいないと成り立たないですし。
小松 それは鏡夜だってそうだよー!
里中 天性の明るさもそうだし、環しか持っていないものをたくさん持ってる。それが、桜蘭ホスト部の人気ナンバー1たる所以だと思います。
小松 環は鏡夜がそばにいてくれるからこそ、ああいう生き方ができるんだと思うんです。環と自分自身をリンクさせても良いのなら、「鏡夜(将道)が隣りにいてくれるから大丈夫」ということを強く感じたので、やっぱり鏡夜が好きですね。
──お互いに環と鏡夜を挙げていて、素敵な関係を築いていらっしゃるなと感じました。
小松 と言いつつ、ホスト部全員のことが好きなのでめちゃめちゃ迷ってます(笑)。みんなそれぞれ違う魅力を持っていて、1人ひとりが愛くるしいんですよ! 推しを決めるのって難しいなあ、本当に!
里中 ははは!
ダサいことも全力でカッコよく
──キャストの皆さんのテンポの良い掛け合いや、キャッチーなミュージカルナンバー、華やかなダンスなど、見どころたっぷりのホスミュですが、ご自身が考えるホスミュの注目ポイントはどこですか?
里中 個々のキャラクターにそれぞれ見せ場があるところと、普通に演じたらダサいと思われてしまうかもしれないことを、本気でカッコよく演じるのがホスミュの魅力だと思います。今の時代的には、それが逆にエモいんじゃないかなって。
小松 そうだね。それ、良い推しポイントだわ! 一見ダサいことを全力でカッコつけてやるのが良いんですよ!(笑) メインテーマ曲「いらっしゃいませ♡お嬢様」を(藤岡)ハルヒ役の山内(優花)さんに向かってキャスト全員で歌う稽古があったんですけど、そのときにホスミュカンパニーの爆発力を感じて、僕たちが目指すべき場所が明確にわかったんです。あの経験があったからこそ、みんなが届けたい思いを曲に乗せられたんじゃないかなって。その感覚を大事にしながらパフォーマンスをできたことが一番の推しポイントですね。僕たちのそういう思いがお客様の心にも届いていたらうれしいです。
──今回の公演には、ハニー先輩こと埴之塚光邦役の設楽銀河さん、モリ先輩こと銛之塚崇役の田鶴翔吾さんが新キャストとして出演するほか、ハニー先輩の弟・埴之塚靖睦役の熊谷魁人さん、モリ先輩の弟・銛之塚悟役の大久保樹さん、桜蘭学院にやって来た留学生・ミシェル役の竹井未来望さんが新たに参加します。
里中 翔ちゃん(田鶴)とは過去に共演経験があるんですが、前作と同様にカンパニー全員で良い作品を作れたらと思っているので、“新しいメンバー”という意識はあまりないかもしれません。
小松 そうですね。本格的な稽古が始まるまで、皆さんと会話する機会はそんなに多く持てないかもしれないんですけど、絶対に良いものになるだろうなっていう感覚がもうすでにあります。
──最後に、ホスミュカンパニーの“おもてなし”を楽しみにしている“姫”たちに向けて意気込みをお願いします。
里中 ホスミュって、歌とダンスとお芝居が絶妙なバランスで構成されていると思うんですよね。たとえるなら、遊園地のように楽しさあふれるエンタメというか。ホスミュカンパニーが今まで積み上げてきたものをお見せして、「やっぱりホスミュは楽しい!」と感じていただけるように、全力でがんばりたいと思います。
小松 初演を経て得たものがある一方で、悔しい思いもたくさんしてきました。それを踏まえてブラッシュアップしながら、新キャストの方々としっかり化学反応を起こして、初演以上に──初演とは比べ物にならないくらい楽しい作品にできればと思います。「ホスミュを観られて良かった」「明日からもがんばろう!」と思っていただけるような舞台にするために全力で臨むので、ぜひ期待して待っていてください。皆様を夢の世界へ連れて行けるよう、しっかりおもてなしさせていただきます!
プロフィール
小松準弥(コマツジュンヤ)
1993年、宮城県生まれ。第13回 FINEBOYS専属モデルオーディション、TOHOKU DREAM AUDITION 2015でグランプリを受賞。2016年に俳優活動を開始し、2019年10月にシングル「A Way of Life / Toxic」でアーティストデビューを果たした。近年の主な出演作に「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」シリーズ、「あずみ~戦国編~」「舞台『刀剣乱舞』」シリーズなどがある。
小松 準弥 | Sun Music Group Official Web Site
小松準弥 (@junya_komatsu) | Twitter
里中将道(サトナカマサミチ)
1994年、大阪府生まれ。2019年、KYOTO SAMURAI BOYSのメンバーとなる。近年の主な出演作に、「MANKAI STAGE『A3!』」「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」などがある。現在、「『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》」に出演中。
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