5月に上演された「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」のBlu-ray / DVDが、10月25日に発売される。原作の「HUNTER×HUNTER」は、1998年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されている冨樫義博の人気マンガ。「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」では、父と同じハンターになるべく、過酷な試練に立ち向かう主人公のゴンを、オーディションを勝ち抜いた15歳の新星・大友至恩が務めた。
このたび、Blu-ray / DVDの発売を記念して、ゴン役の大友、ゴンと共に旅をするキルア役の阿久津仁愛にインタビュー。ゴンとキルアのような固い絆で結ばれた2人に、「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」で歩んだ“未知なる道”を振り返ってもらった。
取材・文 / 興野汐里撮影 / 川野結李歌ヘアメイク / 大西智雄スタイリスト / 東正晃
7歳下の“弟”が愛おしくて仕方ない
──インタビュー前の写真撮影で、楽しくお話しされている姿が微笑ましかったです。大友さんは2007年生まれで、阿久津さんは2000年生まれ。まるで兄弟のような関係だなと感じました。
阿久津仁愛 僕たち、打ち解けるのけっこう早かったよね! 最初は「15歳(初対面当初の大友の年齢)かあ……どんな子なんだろう?」と思っていたんですが、すごくしっかりしていて、真面目な子だなあという第一印象でした。
大友至恩 共演者の方たちとだいぶ年の差があるので皆さんになじめるか心配していたんですけど、皆さん優しくて、自分と同じ目線に立って話をしてくれました。
阿久津 稽古が始まった頃は至恩に対して“お兄ちゃん”として接していた気がするけど、今はどうだろう? いや、今もかな(笑)。だって可愛いんですもん!
大友 ふふふ。そういえば、初めから「敬語じゃなくていいよ」って言ってくれたよね。
阿久津 そうだったね。さん付けで呼んだり、敬語を使うとなんとなく距離が生まれるから、もっとフランクに接してほしいなと思って。
──大友さんは阿久津さんを何と呼んでいるんですか?
大友 にっちゃんです。「仁愛でいいよ」って言ってくれたんですけど、ハードルが高すぎて。
阿久津 僕は最初、“至恩くん”って呼んでいたけど、今は至恩ですね。“赤ちゃん”って呼ぶときもあるかな(笑)。
大友 赤ちゃんはひどいよー!(笑)
阿久津 それぐらい愛おしいってこと!
──舞台上でゴンとキルアを演じているときにも、普段の仲の良さが表れているようでした。
阿久津 暗殺一家の一員として生きてきたキルアは、ゴンに出会って「こんなに真っすぐな人がいるんだ!」と心動かされて、ゴンのことがどんどん好きになっていく。その過程をしっかりと描きたいと思っていたんです。なので、僕たち2人の関係性が良い方向に作用していたらうれしいですね。
「HUNTER×HUNTER」について語り出したら止まらない!
──冨樫義博さんの代表作の1つである「HUNTER×HUNTER」は、1998年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートした人気作です。お二人が生まれる前から連載されている作品ですが、「『HUNTER×HUNTER』THE STAGE」に携わる前に「HUNTER×HUNTER」の関連作品に触れたことはありましたか?
大友 実はオーディションを受けるまで「HUNTER×HUNTER」について詳しく知らなかったんです。父はジャンプを買っていて、「HUNTER×HUNTER」のアニメも観ていたそうなんですが、そんな父からは「たぶん(大友が)ハマる役はないぞ」と言われて(笑)。ゴン役で出演することが決まってから、僕もすぐにマンガを全巻読みました! ゴンは頑固だけど、強い信念を持っていて、本当にカッコいい。まさに主人公らしいキャラクターだなあと思いました。
阿久津 僕も「HUNTER×HUNTER」の登場人物を知っていたくらいだったんですが、舞台に出演するにあたって読んでみたらハマって、一気読みしちゃいました。最初に読んだときは「この世界観をどうやって表現するんだろう?」と思いましたけど、だからこそ稽古もすごく楽しみになりましたね。出てくるキャラクターがみんなカッコいいし、それぞれのストーリーもしっかり描かれている。男の子なら100%好きになるような、ロマンの詰まった作品だなって。読み進めていくうちに、推しもできました(笑)。
大友 誰!?
阿久津 イカルゴ!
大友 キルアじゃないんだ!?
阿久津 もちろんキルアも好きだよ! あとはビスケ(ビスケット=クルーガー)かな。至恩は誰推しなの?
大友 「キメラアント編」に出てくるメレオロンかなあ。呼吸を止めると姿が見えなくなる“
阿久津 へえー! メレオロン推しなんだ! でもなんで?
大友 キルアと話す場面で「言えねーし 言わねーんだよな?……じゃあ 聞けねーし 聞かねーよ?」っていうセリフがあるんだけど、あの言葉がすごく心に刺さったんだよね。
阿久津 そんなこと言ったら、イカルゴの「『貸し』だぞ!!」も名言だよ!
大友 イカルゴでいうと、ウェルフィンと戦った場面がめっちゃ感動した!
阿久津 ……という感じで、僕たち「HUNTER×HUNTER」について語り出したら止まらないんですよ。
大友 ははは!(笑)
──お二人共、原作を深く読み込んでいるんですね。役作りをする際にマンガやアニメは参考にされましたか?
阿久津 僕は主に原作を参考にしました。キルアは冷静沈着なイメージがありますけど、原作を読むと意外と子供らしい一面や、ゴンとキルアの顔が犬や猫みたいに描かれているコミカルなコマもある。舞台ではそういう部分も表現できたら良いなと思って。でも基本的には、クラピカ役の(小越)勇輝くん、レオリオ役の(近藤)頌利くんと一緒に、“4人の空気感”を作っていきましたね。
大友 そうだね。原作をもとに自分の中で作ったイメージを稽古でやってみて、先輩たち3人(阿久津、小越、近藤)と話しながら、「ここはこういう雰囲気だから、こうやってみよう」というふうにしていました。
阿久津 4人で一緒に芝居をするのは今回が初めてだったのに、稽古初日からピタッとハマって。かなり早い段階で“4人で過ごす姿”が見えていた気がします。
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セットから小道具まで、こだわり抜いた舞台