シアターコクーン芸術監督・松尾スズキ|上映企画「COCOON Movie!!」から最新作「フリムンシスターズ」まで

COCOON Movie!!上映6作品ラインナップ

“芸術監督名作選”と銘打たれ、6作品上映される今回の「COCOON Movie!!」。実際の上演を観た人も初見の人も、この機会にぜひ、劇場の客席でコクーンレガシーを体感してほしい。また上映に向けて、各作品ゆかりのキャストがコメントを寄せた。

「女教師は二度抱かれた」
「女教師は二度抱かれた」より。(撮影: 谷古宇正彦)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間13分

2020年10月6日(火)10:20~、7日(水)15:00~、
8日(木)19:20~、11日(日)10:20~

作・演出:松尾スズキ

音楽:星野源

音楽監督:門司肇

出演:市川染五郎(現・松本幸四郎)、大竹しのぶ、阿部サダヲ、市川実和子、荒川良々、池津祥子、皆川猿時、村杉蝉之介、宍戸美和公、平岩紙、星野源、少路勇介、菅原永二、ノゾエ征爾、浅野和之、松尾スズキ

あらすじ

2008年に上演。人気劇団ビリーバーズの演出家・天久六郎(市川染五郎)は女形の滝川栗乃介(阿部サダヲ)と新しい現代歌舞伎を生み出そうと奮闘している。そんな彼の前に、高校時代の演劇部の顧問だった山岸諒子(大竹しのぶ)が現れ……。キャストにも名を連ねる星野源が音楽を担当している。

松本幸四郎
「世界一幸せな男でした」
松本幸四郎

松尾さんの書き下ろしで、大竹しのぶさんご出演、大人計画の方々がたくさん! あまりにも図々しすぎで夢にも見てもいなかったことが実現した興奮が今でも忘れられません。松尾さんに「稽古の時からチューはほんとにしてください」と言われて無反応を装ったり、小悪魔って平岩紙さんのために生まれた言葉なんだと思ったり、ボイストレーナーの門司先生に「歌うまいよ」と言われて本気でうれしかったり、世界一幸せな男でした。

松本幸四郎(マツモトコウシロウ)
1973年東京都生まれ。2018年に十代目松本幸四郎を襲名。歌舞伎に留まらず、映像や現代劇にも多数出演している。
「下谷万年町物語」
「下谷万年町物語」より。(撮影:細野晋司)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間3分

2020年10月6日(火)15:10~、9日(金)10:20~、10日(土)19:30~

演出:蜷川幸雄

作:唐十郎

音楽:猪俣公章

出演:宮沢りえ、藤原竜也、西島隆弘、六平直政、金守珍、石井愃一、大門伍朗、沢竜二、唐十郎
原康義、大石継太、井手らっきょ、柳憂怜、大富士、妹尾正文、清家栄一、手塚秀彰、今村俊一、泉忠道、岡田正、大川ヒロキ、塚本幸男、福田潔、野口和彦、木内竜喜、小川あつし、新川將人、山下禎啓、島本和人、下総源太朗、三又又三、本多新也、井面猛志、篠原正志、堀文明、澤魁士、齋藤裕亮、池島優、町田正明、中嶌一彦、関仁史、駒木根隆介、五味良介、野辺富三、川﨑誠司、杉浦大介、秋山拓也、平松豊、松原綾央、加藤弓美子

あらすじ

1981年に西武劇場で初演された、唐十郎(作)×蜷川幸雄(演出)の衝撃作が2012年にシアターコクーンに登場。唐が幼年期を過ごした下谷万年町を舞台に、妄想と現実が入り乱れる。詩的で熱量高いセリフの数々、本水を使ったダイナミックな演出など舞台ならではの迫力が楽しめる。

六平直政
「蜷川さんに言われた通りに演じたら……」
六平直政

私の演じたオカマの大将お春は蜷川さんの演出で客席の後ろから、オカマたちに戸板に担がれて登場します。美少年(役の俳優)とディープキスしながら戸板に寝そべっています。ある日その“少年”が風邪を引いてしまい、蜷川さんに「こいつ風邪を引いたので、キスして登場するとうつるから」と言ったら、蜷川さんが「じゃあロッペイちゃん、こいつの乳首をなめながら出てきてよ」と言うので、少年の乳首をなめながら出てきたら、お客さんが超引いていました。

六平直政(ムサカナオマサ)
1954年東京都出身。唐十郎主宰の状況劇場に参加し、新宿梁山泊の旗揚げに参加。蜷川幸雄演出作品にも多数出演している。
「もっと泣いてよフラッパー」
「もっと泣いてよフラッパー」より。(撮影:細野晋司)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間18分

2020年10月6日(火)19:05~、7日(水)10:20~、10日(土)15:20~

作・演出・美術:串田和美

作曲:越部信義、八幡茂、乾裕樹

音楽監督・作曲・編曲:ダージリン(佐橋佳幸 / Dr.kyOn)

出演:松たか子、松尾スズキ、秋山菜津子、りょう、大東駿介、鈴木蘭々、太田緑ロランス、大森博史、真那胡敬二、小西康久、酒向芳、内田紳一郎、片岡正二郎、串田和美、片岡亀蔵、石丸幹二
松之木天辺、山岸門人、近藤隼、佐藤卓、内藤栄一、木村智早、丹羽麻由美、福島彩子、後藤海春、横岡沙季

あらすじ

自由劇場により1977年に初演され、その後も再演を繰り返した音楽劇「もっと泣いてよフラッパー」が、2014年にBunkamura25周年記念公演として登場。2大ギャングが対立する1920年代の架空のシカゴを舞台に、フラッパーたちが歌と踊りと恋模様を繰り広げる。キャストが挑む楽器演奏にも注目だ。

石丸幹二
「芝居もサックス演奏も、嬉々として楽しんでいた」
石丸幹二

「これは絵空事なんだよ」
稽古の初めに、串田和美さんは言った。
1920年、シカゴという名の架空の街──ギャング、八百長ボクサー、どこかの国の皇太子、しがない新聞屋、ネズミもいた。もちろん踊り子たちも。女たちはカッコ良く、男たちはヘタレぞろい。
アトラクションを巡っていくような演劇の初体験。芝居もサックス演奏も、嬉々として楽しんでいた。コミカルでシニカルで、ほろ苦い後味に泣けてくる。そんな串田ワールドに酔ってたなあ、最高ですよ。

石丸幹二(イシマルカンジ)
1965年愛媛県出身。劇団四季を経て、舞台や映像で幅広く活動。今年デビュー30周年を迎えた。
「キレイ―神様と待ち合わせした女―」
「キレイ―神様と待ち合わせした女―」より。(撮影:引地信彦)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間38分

2020年10月7日(水)19:05~、8日(木)14:50~、9日(金)18:45~、10日(土)10:20~

作・演出:松尾スズキ

音楽:伊藤ヨタロウ

音楽監督:門司肇

出演:多部未華子、阿部サダヲ、小池徹平、尾美としのり、田畑智子、皆川猿時、村杉蝉之介、荒川良々、伊勢志摩、猫背椿、宮崎吐夢、顔田顔彦、少路勇介、町田水城、伊藤ヨタロウ、家納ジュンコ、オクイシュージ、松尾スズキ、田辺誠一、松雪泰子
羽田謙治、荻原謙太郎、加藤貴彦、木村優希、篠原悠伸、清水泰雄、橋田康、藤岡義樹、水野駿太朗、宮川智之、エリザベス・マリー、大胡愛恵、後藤祐香、田口恵那、中根百合香、皆本麻帆

あらすじ

2000年初演以来、2005年、2014年、2019年と上演を重ねている松尾スズキの代表作。今回は、多部未華子が主人公・ケガレを演じた2014年版が上映される。紛争が続く“もうひとつの日本”で、監禁されていた部屋から10年ぶりに地上へ逃げ出した少女は、キネコやその息子のハリコナ、ダイズ丸らと出会い、行動を共にするうち、忘れたはずの忌まわしい過去と対峙することとなる。

多部未華子
「ケガレを通して味わう感情がたくさん芽生えました」
多部未華子

台本を読んだ当初はあまり内容の意味が分からず、稽古場にいてもなかなか理解ができないまま、スピード良く進んでいく稽古に無我夢中だったように思います。でも、本番が始まり毎日ケガレを演じていく中で、切なくなったり、苦しくなったり、ピュアな気持ちになったり、感動したり、楽しくなったりと、ケガレを通して味わう感情がたくさん芽生えて、毎日とても幸せでした。
そして何より、松尾さんの舞台の稽古は楽しいです!

多部未華子(タベミカコ)
1989年東京都生まれ。舞台、映像と幅広く活動。松尾スズキ作品には「キレイ─神様と待ち合わせした女─」「ふくすけ」「ニンゲン御破算」などに出演している。
「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」
「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」より。(撮影:細野晋司)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間10分

2020年10月8日(木)10:20~、9日(金)14:45~、11日(日)18:15~

作・演出:松尾スズキ

音楽:伊藤ヨタロウ

音楽監督:門司肇

出演:阿部サダヲ、岡田将生、皆川猿時、池津祥子、宍戸美和公、村杉蝉之介、顔田顔彦、近藤公園、平岩紙、岩井秀人、阿部翔平、井上尚、掛札拓郎、高樹京士郎、中智紀、古泉葵、伊藤ヨタロウ、松尾スズキ、吹越満、寺島しのぶ

あらすじ

2016年上演。少年売春が横行するある国で、ダンサーのゴーゴーボーイとして売られたトーイ(岡田将生)は、ゴーゴーボーイズたちの憧れの的である、一脚の美しい椅子に魅了される。一方、ベストセラー作家の永野(阿部サダヲ)は、行方不明になった先輩を探すため、日本に妻(寺島しのぶ)を残したまま、この国に潜入するが……。

岩井秀人 撮影:平岩享
「稽古場が揺れるほどの笑いが起きていた」
岩井秀人

これほど「消えよ! 自分の出番!」と思った現場は、ない。毎日毎日、稽古場が揺れるほどの笑いが起きていた。
松尾作品初参加となる僕なんぞに、松尾さんは当て書きっぽいことまでしてくれたのだが、そのキャラクターは「劇の大事な物語にはほぼ一切からまず、執拗に自分の性処理の方法について思考し続けている中東の男」というものだった。こんなありがたい話はあるだろうか。
本番中の思い出としては、阿部さんが顔田さんのお尻の穴をなんとかして見ようとしていて、顔田さんはそれに抵抗して必死にお尻の穴を閉めていて、そのせめぎ合いをシアターコクーンの観客約800人ほどが静かに見ている、という時間は、“ザ・松尾演出”な時間だなあと思いました。

岩井秀人(イワイヒデト)
1974年東京都生まれ。劇作家、演出家、俳優。ハイバイ主宰。2013年に「ある女」で岸田國士戯曲賞を受賞。11月から12月にかけて「投げられやすい石」を上演予定。
特別上映
松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部「命、ギガ長ス」
松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部「命、ギガ長ス」より。(撮影:引地信彦)

[上映スケジュール]
上映時間:休憩10分を含む3時間 ※ドキュメンタリー上映も含む。

2020年10月11日(日)14:25~

作・演出:松尾スズキ

出演:安藤玉恵、松尾スズキ

あらすじ

松尾スズキのプロデュースユニット・東京成人演劇部により、2019年に東京のザ・スズナリほかで上演され、第71回読売文学賞(戯曲・シナリオ賞)を受賞した作品。認知症の母とアルコール中毒の息子、ドキュメンタリー作家とゼミの教授との関係を軸にした二人芝居だ。なおWOWOWオリジナル・ドキュメンタリー「ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也」もセット上映される。

安藤玉恵
「“松尾スズキ”を独り占めできた時間は至極贅沢だった」
安藤玉恵

台本を読んで震えた記憶はいまだに鮮やかで、ちゃんと私、舞台に立てるかしらと最初は思いました。劇中に魔術師というセリフが出てきますが、松尾さんがまさに魔術師。なんというか、血を入れ替えるような感覚を覚える稽古だった記憶があります。でも楽しかったな、魔法にかかって。80歳のお婆さん役も、20歳の女子大生役もそれなりに形になったと思っています。それに、「松尾スズキ」を独り占めできた時間は至極贅沢だったと、いまでもその奇跡に震えています。

安藤玉恵(アンドウタマエ)
1976年東京都生まれ。劇団ポツドールを経て、舞台・映画・テレビドラマと幅広く活動。