「Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-」丘山晴己インタビュー|スピリチュアル系サーヴァント“はるちゃん”、賢王ギルガメッシュと対峙!

TYPE-MOONが手がけるFateRPG「Fate/Grand Order」の舞台化第2弾「Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-」のBlu-ray / DVDが6月26日に発売される。

「Fate」シリーズの中でも屈指の人気キャラクター・ギルガメッシュを演じたのは、アメリカと日本を股に掛け活動する俳優・ダンサーの丘山晴己。ブロードウェイで鍛えた歌唱力とダンス、明るく天真爛漫なキャラクター、そして“はるちゃん”の愛称で知られる彼は、古代メソポタミアに君臨する賢王ギルガメッシュをどのように捉え、演じたのか?

取材・文 / 興野汐里 撮影 / 川野結李歌

「Fate/Grand Order THE STAGE」とは?

「Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-」より。©TYPE-MOON / FGO STAGE PROJECT

TYPE-MOONが手がけるスマートフォン向けFateRPG「Fate/Grand Order」は、未来が失われた世界でマスターとなったプレイヤーが、英霊(サーヴァント)を従えて過去へさかのぼり、聖杯探索(グランドオーダー)と呼ばれる旅に出るというもの。2017年に舞台化第1弾「Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-」が上演され(参照:「FGO」秋公演レイシフト完了!佐奈宏紀「ベディをLv.100にして」とアピール)、19年1月には第2弾「Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-」が上演された(参照:舞台「FGO」東京公演スタート!丘山晴己「死を超えていきたい」)。

「絶対魔獣戦線バビロニア」の舞台となるのは、紀元前2655年の古代メソポタミア。藤丸立香(大海将一郎 / 坂本澪香)は、不老不死の霊草探索を終えたギルガメッシュが君臨するウルクにレイシフトする。彼らはそこで、ギルガメッシュの無二の親友・エルキドゥ(山﨑晶吾)や伝説の魔術師・マーリン(瑛)、謎の少女・アナ(桑江咲菜)らと出会う。

丘山晴己インタビュー

丘山晴己

とにかく憑依がすごかった

──「Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-」では、2019年10月にテレビアニメ化も予定されている「第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア」のエピソードが描かれました。今回「Fate/Grand Order THE STAGE」(以下「FGO THE STAGE」)に向けて、原作ゲームはプレイされましたか?

もちろんプレイしました。「Fate/Grand Order」(以下FGO)の世界観に慣れるまでに少し時間がかかりましたが、ストーリーが進むにつれてどんどんハマっていくんですよね。で、聖晶石を買って(笑)、「早くギル様(ギルガメッシュの愛称)出ないかな」って思いながらガチャを回し続けていたんですけど、なかなか来てくれなくて……。

──(笑)。最終的に丘山さんのカルデアにギルガメッシュは来ましたか?

丘山晴己

「Fate/Grand Order THE STAGE」上演記念キャンペーンがあって、そのときにギル様とエルキドゥが出ました!

──おめでとうございます! 「FGO THE STAGE」を上演するにあたって、キャスト・スタッフの方々はどのように「FGO」の世界観を理解していったのでしょうか?

演出の(福山)桜子さんが本稽古に入る前にワークショップを開いてくださったので、そこで「FGO」の基礎知識を教えていただいたり、台本と並行しながら参考文献を読んで、当時のバビロニアでどんな出来事があったのかを勉強したりしました。ほかにも演技のテクニックやメソッドの勉強をしたり、エチュードをやったり。なんだかキャストのみんなと同じクラスで授業を受けている感覚になりましたね(笑)。ワークショップの段階ですでに自分のカッコ悪い部分をさらけ出して“丸裸”になっていたので、本稽古が始まって「FGO」の世界にスッと入っていくことができてよかったです。

──福山さんとはどのようなお話をされましたか?

桜子さんがニューヨークに留学されていたこともあり、すぐに意気投合して。「ギルガメッシュはどうしてこんなことを言うのか?」とか「彼はどうしてこういう態度をとるのか?」とか、2人でたくさん話し合いました。僕1人の力ではギルガメッシュという役は構築できなかったと思います。役作りをするうえで、自分と演じるキャラクターの似通っている部分をつなげていく作業をするんですが、今回はとにかく憑依がすごかったなって。公演が終わったあとも、ギル様の口調だったり居方だったり、なかなか役が抜けなかったんですよ。例えば、実際には(未来が)“視”えてないんだけど“視”えてるみたいな……(笑)。

──千里眼(編集注:TYPE-MOON作品において、最高位の魔術師が所有しているとされる能力。ギルガメッシュは未来を見渡す眼を持っている)を使えるようになったような感覚に……?

丘山晴己

そう、そんな感じです! 映画を観て主人公に自分を重ねることがあると思うんですけど、その感覚が何十倍も鋭くなって、日常生活に影響するくらいの強い憑依でした。

──それほどに役が憑依することは、ほかの作品でもあるのでしょうか?

憑依とは少し違うかもしれないんですが、周りの人から「演じる役によって体型が変わるね」って言われました。とある役をやっていたときは身体つきが女性っぽくなったし、また別の役をやっていたときは身体が全体的に“上がって”いたんです。この変化は、ギルガメッシュをやらせていただいて気付いたことの1つですね。

──以前、ブログに「ギル様に鍛え上げられました!」とギルガメッシュへの思いの丈をつづっていましたが、丘山さんはギルガメッシュをどのような人物だと捉えていますか?

ギル様はとにかく動じない人。でも、ふとしたところで愛嬌がにじみ出てしまうというか、チャーミングさも持ち合わせていて憎いですよね。それに不器用なところやツンデレなところもあって……キュンキュンしちゃいます!(笑) そう言えば、自分が演じるキャラクターのイラストを鏡前に貼って、そのキャラクターに扮した自分の姿を想像しながらステージに向かうことが多いんですけど、ギル様は最後の最後まで「お前ができるわけなかろう」みたいな感じで、なかなか振り向いてくれませんでした。

──そんなエピソードがあったんですね。丘山さんは、そんなギルガメッシュにどんな思いで向き合っていたんでしょう?

ギル様の背中を追いかけながら「やってやりますよ……!」と思いながら演じてました。結局、最後の最後まで正面の顔は見せてもらえなくて、やっと横顔を拝めたかな、という感じでしたね。大千秋楽の頃にようやく「よくやった」と言ってもらえた気がします。