「舞台『デュラララ‼︎』~円首方足の章~」橋本祥平×杉江大志|アニメ放送開始10年を機に舞台化!リアルがファンタジーに、ファンタジーがリアルに変わる瞬間

舞台化の強みは熱量

──橋本さんや杉江さんを囲むキャストには、折原臨也役の和田雅成さんや平和島静雄役の伊万里有さんをはじめ、お二人と同世代のそうそうたる方々がそろいました。

杉江大志

杉江 もうね、これは素晴らしいキャスティングだと思います。

橋本 面白い人しかいないですもん!

杉江 男性陣は特にクセが強いですよー。

──特にどなたが?

杉江 君沢ユウキさんとか、しゅんりーさん(髙木俊)とかね(笑)。

橋本 ははは!

杉江 出てくるキャラクターの個性が強いから、このキャスティングになるのも納得だなって。辻(圭介)プロデューサー、さすがの手腕です。

──トライフルエンターテインメント作品に参加している方々の、それぞれが個性的でありながらも結束している感じが、毎回作品を通してすごく伝わってきます。

橋本祥平

橋本 舞台が多く上演されている中、よくこのメンバーが集まりましたよね。それだけ「デュラララ‼︎」という作品が偉大なんだなって感じました。

杉江 人気作品を背負うのは大変ですが、楽しみにしてくださっている皆さんの期待に応えたいなって思います。

──出演が決まった際、杉江さんはTwitterで「彼(正臣)の背負っているもの、彼と共に背負えるよう精一杯向き合います」とおっしゃっていました。

杉江 そうですね。正臣はいろいろなものを背負っている子だから、その思いを一緒に背負えたらなっていうのと、ヘイヘイ(橋本)には座組を背負ってもらって、僕らはみんなでヘイヘイを支えていけたらなって。

──杉江さんはこれまでにも橋本さんが座長を務める作品に出演されています。杉江さんから見て、橋本さんはどんなタイプの座長ですか?

杉江 ヘイヘイは器用だから、現場によって居方を変えられる人だと思うんです。今回はヘイヘイが気を遣いすぎないように、楽な気持ちでいられるようなカンパニーを作っていけたらいいなって。そうしたら作品全体が素敵なものになるんじゃないかなって思います。

橋本 今の大志くんの言葉だけで泣きそうですよ。正臣は帝人と杏里の3人におけるバランサー的な役どころだから、実は大志くんが一番大変なんじゃないかなって思うんですけど、このポジションに大志くんがいてくれるのは本当に心強いです。

左から橋本祥平、杉江大志。

──橋本さんは毛利亘宏さんの演出作品に出演されたことがありますが、杉江さんは今回が初めてですね。

橋本 毛利さんの現場は平和ですよー(笑)。

杉江 そうなんだ! めっちゃ楽しみ!

左から杉江大志、橋本祥平。

──橋本さんの事務所の先輩である松田凌さんが、以前「毛利さんは、少年のときに抱いていた夢を今でも瞳の中に宿して演出する」とおっしゃっていました(参照:少年社中20周年 毛利亘宏×生駒里奈×松田凌 座談会 / 毛利亘宏×細川展裕 対談)。

橋本 本当にその通りですね。キャストの皆さんと毛利さんとトライフルさんが組むことで化学変化が起きて、すごい作品になるんじゃないかなっていう予感がしてます。

──原作者の成田良悟さんが元演劇部ということもあり、舞台化をとても楽しみにされていらっしゃるそうです。

杉江 うれしい! 確かに「デュラララ‼︎」の舞台化に際して全面協力感をすごく感じます。原作チーム、アニメチーム、舞台チーム、全部のセクションが同じ方向を見て走っている感じ。

橋本 本当にありがたいことです。まだ2020年の上半期ですけど、今年が終わる頃に「『デュラララ‼︎』が一番よかった!」と言ってもらえるような作品にできたらいいですよね。

──小説には小説の、アニメにはアニメの、マンガにはマンガのよさがあると思うのですが、原作ものの作品に多く出演されてきたお二人は、舞台だからこそ表現できる強みはどのようなところにあると考えていらっしゃいますか?

杉江大志

橋本 僕が一番大切にしているのは、やっぱり熱量ですね。本来のキャラクターから多少外れていても、熱量が伝わればきっとお客さんも感動してくれると思うので。

杉江 僕は、お客さんの想像力にいい意味で頼るっていうのが一番素敵なことだと思ってて。いち観客として舞台を観たときに、作り手の努力を感じられたら、受け手も一緒に想像力を膨らませることができるというか。逆に、作り手に「この表現を実際に舞台で表現するのは難しいから、このくらいで勘弁してください」みたいに諦められると、突き放されたような悲しい気持ちになる。なので、自分もそこを意識して舞台に立ってますね。

橋本 うんうん。すごくよくわかります。

杉江 あとはヘイヘイが言ったように熱量ですね。例えば表情がしっかり見えなくても、俳優の演技に思いが乗っていればお客さんに伝わると思うんです。同じふうに舞台上に立っているように見えても、背負っているものの大きさで伝わるものの大きさも変わるはずから。そこが舞台の強みなのかなって思います。

リアルがファンタジーに、ファンタジーがリアルに変わる

──「デュラララ‼︎」では日常と非日常が重要なキーワードになっていて、舞台版にも「さあ、また始めようじゃないか。非日常を──」というキャッチコピーが付けられています。俳優はある意味で“非日常を生きる職業”ですが、普段の生活で日常と非日常を意識されることはありますか?

橋本 非日常の世界で生きているぶん、休みの日とか家にいる時間とか、日常を大切に過ごしたいなっていう気持ちが強いかもしれません。

杉江 会社で働いている方は平日に仕事をして、休みの日に普段できないことをすると思うんですけど、僕らは休みの日にどれだけ普通のことを楽しむかというか、忙しければ忙しいほど、何もしない休日を大事にしたくなりますね。お客さんに“非日常”を感じてもらうには、作品を届ける側の僕らが“日常”の感覚を持っていないといけない。日常と非日常の対比で言うと、「デュラララ‼︎」の世界ってすごく不思議で、リアルだけどファンタジーだし、ファンタジーだけどリアルだよね。

橋本 ね。錯覚が起きるというか、不思議な感覚になる。

──3月に始まる稽古を経て、4月にはついに「デュラララ‼︎」の世界が演劇という形で立ち上がります。

杉江 異世界だけどリアリティがある空間を舞台上に作り出して、その世界にお客さんを連れて行けたら最高ですよね。リアルがファンタジーに、ファンタジーがリアルに変わる感覚を、お客さんにはぜひ楽しんでほしい。

橋本 そうですね。毛利さんが作る世界観を信じて、キャストの皆さんが持つ高いポテンシャルを信じて、最高の作品にできたらいいなって思います。現時点ですでにお客さんの期待値が上がっていると思うんですけど、僕らはそのハードルを悠々と超えていきますので、ぜひご期待ください!

杉江 もちろんプレッシャーも感じていますが、もともと大好きだった作品だからこそしっかり向き合って作っていきたいですね。各セクション素晴らしい布陣なので、あとはいいものを作るだけ! 僕らが楽しんで作ったものがお客さんに届けばいいなと思ってます。

左から橋本祥平、杉江大志。

2020年4月7日更新