デジナタ連載 「ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』」三浦涼介|4Kビエラとディーガで体感する、シトワイヤンと革命の熱量

小池修一郎にかけられた忘れられない言葉とは

──では続いて第1幕の、僧侶、貴族、平民が一堂に集まる「三部会」の場面をご覧ください。ここでは秘密警察の面々が、国王やロベスピエールの身体を人形に見立てて動かしながら会議の顛末を歌い上げます。DVDだと皆さんのロボットのような所作も細やかに観ることができますね。ファンの方は三浦ロベスピエールについて、「本当にお人形さんみたい」と盛り上がっていらっしゃいました。

三浦涼介

そうでしたね!(笑) 演出の小池修一郎先生はこの場面にとてもこだわられていて、動きについてはいろいろと細やかなご指導がありました。

──このシーンでは歴史上の出来事が人形劇の形で表されます。三浦さんの演じたロベスピエールは、「1789」以外にもフランス革命にまつわるさまざまな作品に登場しますが、歴史上の人物を演じるうえで特に心がけたことはありますか?

「1789」に限らず、歴史をもとにした作品には日頃の生活では学べない部分があるので、どんな作品でもその人物がどう生きてきたかを勉強するようにしてきました。でも基本的に役作りでは、こだわってお仕事をされているヘアメイクさんや衣装さんに助けられることが多いなと思いますね。見た目である程度(キャラクターが)できあがるので。

──ロベスピエールのロングコート、とてもお似合いでしたね。動くと裾が体に巻き付いて素敵でした。

ありがとうございます! あのコート、ファスナーがいっぱい付いていて、革も使われていたのでめちゃくちゃ重くて。でもあの重さだからこそきれいに見えたんでしょうね。

──DVDだとコートの裏地の模様まで観ることができますね! 三浦さんは「1789」で初めて小池修一郎さん演出の作品に出演されましたが、「るろうに剣心」や19年の「ロミオ&ジュリエット」と小池さんの演出作品が続きます。稽古場などでの名言があればお聞かせください。

三浦涼介

このお仕事を約17年させていただいていますが、歳を取るにつれて人に聞けないことが増えてきたりして……「すべて自分でやらなければならない」という恐怖を感じ始めたんです。でも30歳を越えて小池先生にお会いして、先生が「人に手を差し伸べてもらえるような役者でいなさいよ」と言ってくださって。それは例えば、「お水を飲みたい」って思ったら自分で水を取りに行くんじゃなくて、「喉乾いてないですか?」って気にかけてもらえる人であれ、と先生は言ってくれたのかなと思っています。長くお芝居をしていると固定概念にとらわれてしまう気がしますが、どれだけ経験を積んでも、人に何かしていただいたり、「こういうのもいいんじゃない?」と声をかけていただけたりすることで、自分の可能性が広がり続けていく、っていう意味なのかなって……これは僕が先生の言葉をこう捉えたってことなので、正解かどうかはわからないですけど(笑)。小池先生は僕の性格をわかったうえでこの言葉をかけてくださったのかなと思います。

──ちなみに製作発表では、小池さんが三浦さんに「りょんりょん……だよね?」と呼びかけていらっしゃいましたが、本当に「りょんりょん」と呼ばれていらっしゃるんでしょうか……?

慣れてきてくださったのか、最近は小池先生も「りょん」とか呼んでくださいますね。何か指導をするときは、「りょんりょん!」だと気が抜けてしまうからか「三浦!」とおっしゃることもありますけど(笑)。

ロナンのように泥臭く、人間味あふれる役に憧れる

ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」より、三浦涼介演じるロベスピエール(中央)。(写真提供:東宝演劇部)

──次は三浦ロベスピエールのファン必見の、第2幕の冒頭「誰の為に踊らされているのか」の場面を観てみましょう。ロベスピエールが中心となるこのシーンでは、球戯場で民衆がロックナンバーを歌い踊ります。“シトワイヤン”を率いて歌った三浦さんとしては、どんな点が見どころですか?

ここは彼らが新たな時代に向かってチャレンジするスタートのシーンで、とても力強いです。2幕の最初なので、一旦休憩を挟んだみんなが、元気に動いているところを観てほしいですね(笑)。

──熱いこの作品の中でも特にエネルギッシュなワンシーンですよね。ほかにご覧になりたいシーンはありますか?

ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」より、ソニン演じるソレーヌ(中央)。(写真提供:東宝演劇部)

第2幕でソニンさん(演じるソレーヌ)と女性たちが歌う「世界を我が手に」です。「1789」には映像を使った演出もたくさんありましたが、DVDにも「世界を我が手に」の背景映像がきれいに映っていますね。このナンバーのあとに僕たちも出てきますが、歌っていた女性たちがいつも大泣きしていて……僕たちももらい泣きしちゃいそうなぐらい、彼女たちは(曲に)入り込んでいました。この場面ならではの熱量がすごいです。

──確かにこの場面で涙ぐんでいる観客の方もいました。ソレーヌも含めて本作には魅力的なキャラクターがたくさん登場します。ロベスピエール以外で演じたい登場人物はいますか?

小池徹平くんと加藤和樹さんが演じたロナンみたいに泥臭くて、見た目も含めて人間味があふれる役を過去にあまり経験したことがないので、すごく興味があります。いろんな役をやらせていただきましたが、これまではヒーローものの作品で言うと、いかにもヒーローっぽい“レッド”よりも“怪人”みたいなイメージの役が多くて。ロナンのような役に憧れますね。

──確かに三浦さんと言えば、「仮面ライダーオーズ / OOO」の怪人アンクをイメージされる方も多いかもしれません。ロベスピエールやシトワイヤンたちにとっては仇にあたる、王族側で演じてみたい人物はいますか?

それはもう吉野圭吾さん(の演じたアルトワ伯)ですね! 美しいです(笑)。

これからも、いただけるお仕事と目の前にあるものを一生懸命に

──では最後に、バスティーユを襲撃する前に革命派の市民たちが歌い踊る、第2幕終盤の見せ場「サ・イラ・モナムール」を観てみましょう。このスピーカーで聞くと、楽曲の重厚なリズム感がより力強く感じられます。

ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」より、「サ・イラ・モナムール」の場面。(写真提供:東宝演劇部)

(楽曲最後の、小池徹平演じるロナン、神田沙也加演じるオランプのキスシーンを見て)うわあ……!(笑)

──65型のテレビいっぱいに映るキスシーンは迫力がありますね(笑)。作中の男女ペアが激しく歌い踊るこの曲のラストでは、10数組の全カップルが一斉に口づけを交わしますが……。

「いっせーのせ!」でみんなキスするじゃないですか。学生さんの団体が観に来ていた回があったんですけど、このシーンで「キャア!」みたいな悲鳴が聞こえました(笑)。

──年若い学生さんたちには刺激的でしたね(笑)。「1789」にはこの「サ・イラ・モナムール」のように情熱あふれる楽曲もたくさんあるためか、会場には十代や二十代の若い観客も多かったように感じます。若者たちにこの作品が支持された理由はどういったところでしょう?

僕たち若い世代の日本人が、昔のフランスの歴史を描いた作品を今の時代に合わせて演じるところに魅力があるのだと思います。「1789」には楽曲やキャストにフレッシュさもあって見やすいですし、僕らよりさらに若い方たちにも、歴史の話をわかりやすくお届けできていたらいいなあと思いながらやっていました。2時間半に詰め込んだお話をどれだけシンプルに、かつ濃く深くお見せできるかというのが、僕たちが試されるところ。こういう作品を観ていただくことが、歴史とか社会について考えるきっかけになればいいなと思いますね。

──いきなり劇場で観劇するのはハードルが高いと思う方でも、この「1789」のDVDで迫力の舞台映像を観ることで、本物の舞台にも関心を持ってくれたら素敵ですね。

そうですね。たくさんのお客様の前でステージに立てるのはとてもありがたいことです。劇場に足を運んでくださった方だけでなく、今回の「1789」のようにDVDを買ってくださる方が作品のことを知って、興味を持ってくださらなければ、僕たちは生きていけないなと思っています。

──三浦さんはこの作品で帝国劇場デビューを果たされました。これからも大舞台に立たれる三浦さんのお姿を拝見するのが楽しみです。

ありがとうございます。今後も大きなステージに立つのを夢に持ちつつやっていきたいですが、とにかくいただけるお仕事と目の前にあるものを一生懸命やることに専念していきたいですね。

三浦涼介

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※2018年11月16日発売予定。