降谷暁役・樫澤優太インタビュー
九州の陽気な少年が再び野球と対峙する、「『ダイヤのA』The MUSICAL」
──「『ダイヤのA』The MUSICAL」2年越しの上演、おめでとうございます。改めて、2022年公演への出演が決まった際の心境について教えてください。
実は2020年の「『ダイヤのA』The MUSICAL」が自分にとって初舞台だったんです。初舞台ながらも、こんなに素敵な方々とご一緒できるんだ!という楽しみがあったぶん、中止になってしまったもどかしさや悔しさをどう整理したら良いかわからず、立ち直るまでに時間がかかりました。ですが、「『ダイヤのA』The MUSICAL」が再始動するまでの間にいろいろなお芝居に出演させていただいたことで、舞台に立ち続けるというのは当たり前なことではないんだと改めて実感したんです。なので、2年越しの上演が決定して率直にうれしいですし、前回公演の思いも乗せて、今回こそは絶対にやってやるぞ!という気持ちでいます。
──樫澤さんは今回、実力派の1年生ピッチャー・降谷暁を演じますが、実際に野球をされていた経験があるそうですね。
小学生のときにソフトボールをやっていて、その後は中学3年生まで軟式野球をやっていたんです。ポジションはずっとサードだったんですけど、「ピッチャーって良いなあ」と思いながらいつも横から眺めていました(笑)。
──野球が身近にある少年時代を過ごされたんですね。樫澤さんは、これまでに原作「ダイヤのA」やアニメなど、関連作品に触れたことはありましたか?
中学生のときに、父の影響でマンガを読んだんです。弱小校が強豪校に挑むサクセスストーリーや、スゴ技が登場するような野球マンガが数多くある中で、「ダイヤのA」では強いチームに所属する学生たちの姿が描かれている。当時、自分が野球をやっていたこともあって、寺嶋裕二先生のリアルな描写に惹かれました。
──ご自身が野球少年だった頃に読んだ作品に出演するのは、感慨深いものがあるのではないでしょうか。
そうですね。自分が「ダイヤのA」に携わらせていただけるなんて思ってもいなかったですし、父もびっくりしていました。ビジュアル撮影のとき、「うわあ……自分があのユニフォームを着てる……!」みたいな不思議な感覚になりましたね。
──今春ワークショップに参加されたそうですが、手応えはいかがでしたか?
(糸川)耀士郎くんたちとピッチャーチームの練習に参加して、基礎的な動きから、牽制をする際のプレートの外し方まで、講師の方に実践的なことを教えていただきました。今までピッチャーをやったことがなかったので、新しい視点で野球を勉強できたのがすごくためになりましたね。演出の山崎さんもワークショップに参加されていたんですが、トレーナーの方に野球のことや「こういう演出はできますか?」という質問を積極的にされていて。「ああ、自分たちと同じような気持ちで舞台に臨んでくださっているんだな」と感じて、ますます稽古が楽しみになりました。
──糸川さんをはじめ、共演者の方とはお話しされましたか?
耀士郎くんとは2年前に初めて会ったんですけど、実年齢が同じということで一気に距離が縮まって。まだ数回しかお話ししていないんですけど、これからもっと仲を深めていきたいなと思います。あとは、降谷とバッテリーを組む御幸一也役の(小波津)亜廉くんともお話ししました。今回が初共演なんですが、勝手に亜廉くんと呼ばせていただいています(笑)。耀士郎くんと亜廉くんは、降谷にとってキーパーソンになる役を演じる方々なので、お二人と関係性をしっかりと構築したうえで一緒にお芝居に臨めたらと思っています。
──降谷に扮したビジュアルを拝見して、非常にクールな印象を受けたのですが、樫澤さんはとても柔らかい雰囲気の方だなと……。
耀士郎くんにも同じことを言われました!(笑) ほかの方からも、「黙っていると壁を感じる」とか「取っつきにくい人かと思った」と言われることが多いんですけど、まったくそんなことはなくて、九州が生んだ陽気な人間です(笑)。でも、闘争心の出し方や負けず嫌いな部分は降谷とけっこう似ているんじゃないかと思っていて。「努力は見せずに陰でしっかりやる」という彼のポリシーに共感する部分があります。
──降谷と同じく、心の奥に熱い思いを秘めているんですね。今回、降谷を演じるうえで、どのようなアプローチをしていきたいと考えていますか?
皆さんが想像するような、降谷のキリッとした印象や落ち着いた雰囲気をどうすれば出せるのか、日々模索している最中ですね。降谷は口数が多いキャラクターではないので、セリフがないところでどう見せていくかについて、これから研究していきたいと思っています。
──樫澤さんはダンス&ボーカルグループ・IVVYのメンバーとして活動されています。役に扮して歌唱することと、アーティストとして歌唱することの違いについて、どのように捉えていますか?
別のミュージカルに出演させていただいて気が付いたのは、ミュージカルで歌っているときの自分と、グループで歌っているときの自分は“中身”がガラリと変わるなと。発声も表現の仕方もまったく違いますし、自分の中に2つ人格があるような感覚に近いかもしれません。
──樫澤さんが降谷としてどのような姿を見せるのか、今からとても楽しみです。
今回はお芝居に加えて、野球のことや歌唱のことも考えないといけないし、覚えることがたくさんあって、すごく頭を使うのですが、知恵熱が出ないようにクールにがんばりたいと思います(笑)。2年前に悔しい経験をしているぶん、今回の公演に対する思いは前回の倍以上。きっと、応援してくださっている方々も同じように思ってくださっていると思います。皆さんの期待に恥じないような、最高の舞台をお届けできるように全力でがんばりますので、待っていてください!
プロフィール
樫澤優太(カシザワユウタ)
1994年、長崎県生まれ。2015年からダンス&ボーカルグループ・IVVY(アイビー)のメンバーとして活動している。「ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stage」に君島育斗役で出演した。