舞台稽古で公開された第1幕では、主人公の盗賊・ライが、オボロの森に棲む魔物と契約し、将軍まで上り詰めるまでが描かれる。この日、ライを演じたのは幸四郎。障子状の幕には、鬱蒼と茂る森を彷彿とさせる木々がデザインされ、幕が開くと、そこにはエイアン国とオーエ国の争いにより、死んだ落ち武者たちの姿が。花道から現れた幸四郎扮するライは、大喜びで死体から金品を奪おうとするが……。幸四郎は、舌先三寸で天下を獲ろうとするダークヒーロー・ライを、自信に満ちた男として艶やかに立ち上げる。また、ライが魔物に与えられた“オボロの剣”を、幸四郎は最初は不慣れな様子で振るうが、ライの出世に伴い、剣さばきは徐々に華麗になり、第1幕後半の
エイアン国の国王・イチノオオキミを、初演に続き勤めるのは
囲み取材には、幸四郎、松也、時蔵、新悟、右近、染五郎、アラドウジ役の
時蔵は「私は、普段はあまり稽古が好きではないのですが(笑)、1カ月という『朧の森に棲む鬼』の稽古期間はとても楽しく過ごさせていただきました。とても面白く、刺激的な作品になっております」、歌舞伎NEXTの第1作「阿弖流為〈アテルイ〉」に続いての出演となる新悟は「前回もとても楽しく、勉強になりましたので、今回も出させていただけることを本当にうれしく思っております。精一杯盛り上げていきたい」と意気込みを述べる。右近は、囲み取材時中央後方に立っており、幸四郎と松也がそれぞれ被っている冠により、報道陣から顔が見えない状況に。その状況を面白がった幸四郎と松也により、右近の顔はさらに2人の冠で隠されてしまい、困った右近が「被り気味なんですけども!」と悲鳴を上げ、会場の笑いを誘う一幕も。右近は、幸四郎と松也の“冠攻撃”をかわしながら、「『朧の森に棲む鬼』は、僕が劇団☆新感線を知った初めての作品で、阿部サダヲさんが演じていらっしゃったこのキンタ役は大好きな役。この憧れの役を一生懸命勤めたいです」と思いを語った。
染五郎は、本作が十代最後の出演作となる。その気持ちを記者から問われると「年齢は意識していないのですが、シュテンは、今の年齢じゃないと出会えなかったかもしれないお役。そのこと自体は、すごく意味のあることだと感じています。父が染五郎時代に演じた作品に、私が染五郎となって出演させていただけるということも、うれしく思っています」と真摯に話した。彌十郎は「私は、自分のことをまだまだ若手だと思っていましたが、稽古を観ていると、本当に皆さん若くて元気なんですよね。立廻りができないことが寂しいと思っていましたが、稽古を観ていて、あまりの激しさに、自分は(立廻りが)なくてよかったと思っています(笑)。今回が9年ぶりの歌舞伎NEXTということで、第3弾、第4弾にも出演できるよう、体力作りをがんばりたい」と茶目っ気たっぷりにコメントした。
東京公演は12月26日まで。また本作は、来年2月4日から25日まで福岡・博多座で行われる。福岡公演のチケット販売は12月14日10:00にスタート。
歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」
2024年11月30日(土)~2024年12月26日(木)
東京都 新橋演舞場
2025年2月4日(火)~2025年2月25日(火)
福岡県 博多座
スタッフ
出演
ライ / サダミツ(交互出演):
ツナ:
シキブ:
キンタ:
シュテン:
アラドウジ:
ショウゲン:
マダレ:
ウラベ:
イチノオオキミ:
関連記事
ハヤブサ @kabuki_2441
ステージナタリーきた!!
https://t.co/R4xOMCL51a