「円環」は、今年20周年を迎えたNoismによるトリプルビル。演目には、近藤演出振付によるNoism1新作「にんげんしかく」、金森演出振付によるNoism0新作「Suspended Garden-宙吊りの庭」と、レパートリー「過ぎゆく時の中で」がラインナップされている。
近藤がNoismに新作を振り付けるのは、2005年に初演された「犬的人生」以来、19年ぶりとなる。近藤は「恐ろしい月日が経っているのにもかかわらず、みんな当時と変わらずいる。公演タイトルの“円環”の通り、本当に戻ってきた感じ」と心境を述べる。自身が担当する「にんげんしかく」については「今、ダンボールにハマっているんです。モノを入れて運んだり、避難所の仕切りになったりするダンボールに親しみが沸いています。“にんげんしかく”というタイトルは『人間、四角』『人間史、書く』『人間、視覚』という言葉遊びで付けました。ダンボールと人間の風景を捉えた、不思議な作品になる予定です」と説明し、音楽については人間の声に似た音が出るダクソフォン奏者の内橋和久の音楽を用いることを明かした。また井関は、近藤にNoism1の新作を依頼した理由について「Noism1のメンバーは小さい頃から踊っているので、人間の本質に向き合う時間をなかなか持てていない。でも良平さんなら、Noism1のみんなにその時間を与えてくれるのではと思いました。クリエーションの様子をのぞくと、みんなとても楽しそうに笑っているのですが、やったことがないことをやることへの不安や恥ずかしさも垣間見えて、彼らにとって非常に有意義な時間になっていると思います」と話した。
金森による新作「Suspended Garden-宙吊りの庭」では、Noism0の井関と
「過ぎゆく時の中で」は、2021年に「TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2021(サラダ音楽祭)」で初演された作品。今回は、“劇場版スペシャル”として異なる演出で立ち上げられる。金森は、初演時に本作に込めた思いについて「当時、Noismに所属していた外国籍の舞踊家たちがコロナ禍をきっかけに一斉に母国へ帰ってしまい、重大な局面では集団より個人を選ぶのが人間の性なんだということを感じました。それでも集団として互いに手をつないで明日を見ることの尊さを表現したい、という思いから生まれた作品です」と紹介し、「この20年で計160人くらいのメンバーがNoismを“通り過ぎて”いきました。それでも新潟市の文化政策に関わる方たちがこの事業の価値を信じてくれ、Noismは継続できてきた。“長い時の流れの中で今がある”ことを体感できる作品になった」と語る。また本作には金森自身も、Noism1のメンバーたちに交じって出演する。「Noism1のメンバーとこれだけ近距離で踊るのは初めて。私は今月で50歳になりますが、50を迎える舞踊家だからこそ、一緒にパフォーマンスすることで彼らに伝えられる、振付や指導とは別の、非言語の何かがあるだろうと期待しています」と言葉に力を込めた。
公演は12月13日から15日まで新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場、22日に福岡・J:COM北九州芸術劇場 中劇場、来年2月1日に滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール、7日から9日まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで行われる。チケットは新潟・滋賀・福岡公演が販売中で、埼玉公演が16日に一般前売りスタート。
Noism0 / Noism1「円環」
2024年12月13日(金)~2024年12月15日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
2024年12月22日(日)
福岡県 J:COM北九州芸術劇場 中劇場
2025年2月1日(土)
滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
2025年2月7日(金)~2025年2月9日(日)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
スタッフ
Noism1「にんげんしかく」
演出振付:
Noism0「Suspended Garden-宙吊りの庭」
演出振付:
Noism0+Noism1「過ぎゆく時の中で」
演出振付:金森穣
出演
Noism1「にんげんしかく」
三好綾音 / 中尾洸太 / 庄島さくら / 庄島すみれ / 坪田光 / 樋浦瞳 / 糸川祐希 / 太田菜月 / 兼述育見 / 松永樹志
Noism0「Suspended Garden-宙吊りの庭」
Noism0+Noism1「過ぎゆく時の中で」
Noism0:金森穣
Noism1:三好綾音 / 中尾洸太 / 庄島さくら / 庄島すみれ / 坪田光 / 樋浦瞳 / 糸川祐希 / 太田菜月 / 兼述育見 / 松永樹志
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
ステージナタリー @stage_natalie
【会見レポート】Noismトリプルビル「円環」近藤良平は新作でダンボール使用、50歳金森穣はNoism1との共演に期待
https://t.co/XqJNXC301N
#井関佐和子 #金森穣 #近藤良平 https://t.co/UU7jSdLuwm