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これは、今月歌舞伎座で舞台機構設備の工事が行われるため、実施されることになった特別公演。本公演では、
開演前の歌舞伎座ロビーは、学生服姿の若者や、日本語以外の言語を話す人々でにぎわっていた。ファレル・ウィリアムスの「Piece By Piece」が鳴り響くと、「ようこそ歌舞伎座へ」がスタート。すっぽんからタキシード姿で現れた虎之介は、はじけるような笑顔で「ようこそ歌舞伎座へ!」と会場全体に呼びかけ、観客の心を掴む。虎之介が「本日は皆さんを、歌舞伎の世界にお連れしたいと思います」と続けると、「ハローエブリワン、ウェルカムトゥー歌舞伎座」とどこからか
その後、和服に着替えた虎之介が客席から登場すると、会場は熱気に包まれる。歌舞伎の解説を1人でやるのはさみしいと話す虎之介の前に、着ぐるみの虎が登場。「歌舞伎に出たい」と訴える虎に、虎之介は「傾城反魂香」への出演を勧めるが、虎は脇役が嫌なようで……。虎之介は、歌舞伎でメインの役を勤めたいという虎に、歌舞伎の師匠として、見得や立廻りといった歌舞伎の基本をわかりやすく指南。また、虎に加え、鼠、犬、猪、狐、蛙といった、歌舞伎演目に登場する動物たちも舞台上に集結し、全員で“だんまり”を披露する一幕も。解説パートが終了すると、虎之介とゲストによるトークコーナーが行われた。初日は、松緑が登場。松緑は、「三人吉三」に出演する自身の息子・左近が今年高校を卒業したばかりで、客席に座る学生たちと年齢が近いことに触れつつ、虎之介や左近をはじめとした若手の歌舞伎俳優への期待を述べ、観客に応援を呼びかけた。なお、トークコーナーでは尾上音蔵が英語通訳を担当。音蔵の流暢な英語に、虎之介は「(音蔵の)本職は通訳ではなく、歌舞伎俳優ですからね!」と補足し、会場の笑いを誘った。
休憩のあとは、河竹黙阿弥の「三人吉三」と、舞踊劇「石橋」が上演された。「三人吉三」より「大川端庚申塚の場」では、お嬢吉三、お坊吉三、和尚吉三の3人が運命の出会いを果たすシーンが描かれる。左近は、夜鷹のおとせを騙すため、お嬢様風の娘に扮するお嬢吉三を楚々と演じるが、辺りを見渡す眼光の鋭さで、お嬢吉三の底知れなさを表現。歌昇は、お嬢吉三と対峙するお坊吉三を、色気を湛えながら立ち上げる。亀蔵は、そんな2人の諍いを収める和尚吉三を、迫力ある声色とおおらかな雰囲気で、“兄貴”らしく勤めた。
「石橋」では、まず赤い獅子の頭を付けた中村萬太郎、中村種之助、中村福之助、虎之介が、ダイナミックな舞いを披露。歩き方や身体の動かし方には、四者四様の個性がにじむが、4人合わせての毛振りでは息をぴったりと合わせ、観客を圧倒する。クライマックスには、白い獅子の頭を付けた松緑が舞台奥から石橋に乗って登場。徐々に動きが激しく早くなる5人そろっての毛振りに、会場は大きな拍手で包まれた。
公演期間中、歌舞伎座場内には、演目にちなんだフォトスポットや小道具、大道具の展示、またスタンプラリー「歌舞伎印巡」といった特別企画が実施される。「十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ」開幕にあたり、松緑が観客にコメントを寄せた。松緑は「初めて歌舞伎を観る人たちにも楽しんでいただけるように、虎之介さんも解説を楽しく作っていますし、我々もベストを尽くして舞台を勤めます。今月の公演では、殊に若い人たちが頑張っていますので、若い人たちの活躍を観て応援してあげてほしいと思います」と観客に呼びかけつつ、特別企画について「普段の歌舞伎座の風情とはまた違うセッティングを歌舞伎座の人たちが作ってくれているので、そちらも楽しんでいただければ幸いです」と語った。公演は11月23日まで。
なお、ステージナタリーでは「十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ」の特集を展開中。虎之介が歌舞伎座を巡ったあと、公演に向けた意気込みを語っている。関連する特集・インタビュー
十一月歌舞伎座特別公演 ようこそ歌舞伎座へ
2024年11月1日(金)〜2024年11月23日(土・祝)
東京都 歌舞伎座
スタッフ
二、「『三人吉三巴白浪』大川端庚申塚の場」
作:河竹黙阿弥
出演
一、「ようこそ歌舞伎座へ」
ご案内:
二、「『三人吉三巴白浪』大川端庚申塚の場」
三、「石橋」
獅子の精:
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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獅子の頭の色の記述逆? https://t.co/qaeC6uC6Ot