ジュリアン・ファヴローの存在感光る「バレエ・フォー・ライフ」でBBL2024年日本公演が開幕

昨日9月21日に「モーリス・ベジャール・バレエ団2024年日本公演」が東京・東京文化会館で開幕した。

本公演は、モーリス・ベジャール・バレエ団（以下BBL）の3年ぶり19回目となる日本公演。東京文化会館ではAプロ「バレエ・フォー・ライフ」が23日まで、Bプロ「だから踊ろう…！」「2人のためのアダージオ」「コンセルト・アン・レ」「ボレロ」が27日から29日まで披露される。

「バレエ・フォー・ライフ」は、ロック・バンドのクイーンとW.A.モーツァルトの楽曲を使用して、人間の“生と死”を見つめた作品。1990年代初めに亡くなったクイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーとバレエダンサーのジョルジュ・ドンへの鎮魂の意を込めて、モーリス・ベジャールが創作した。

聞きなじみのあるクイーンの「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」での幕開きでは、寝そべったダンサーたちが身体にかかった白い布をはいでゆっくりと起き上がり、“始まり”や“希望”といったポジティブなメッセージを爽やかに表現した。その後に展開する力強いソロ、技巧が凝らされた群舞、そしてステージ上の各所で繰り広げられる色とりどりのダンスは、観客たちの目を楽しませながらも、人生のあらゆる局面で出合う愛や喜び、悲しみといった感情を想起させる。21日公演でフレディ役を演じたジュリアン・ファヴローは、登場のたびに華やかな存在感を放ち、ロックスターたる魅力あふれるパフォーマンスを、表情豊かに立ち上げた。また、ラストの「ショー・マスト・ゴー・オン」では、カンパニーからの亡きベジャールへの敬意と愛情が示され、温かな幕切れに。芸術監督としてカンパニーを率いるため、今年いっぱいで現役引退を発表しているファヴローの、日本公演でのメインダンサーとしての踊り納めと、新生BBLの船出を祝福するかのように、しばらく拍手が鳴り止まなかった。

「モーリス・ベジャール・バレエ団 2024年日本公演」Aプロの上演時間は休憩なしの約1時間50分。東京公演のあとは、Aプロが10月2日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール、6日に北海道・札幌文化芸術劇場 hitaruで上演される。

なお、ステージナタリーでは本公演に出演し、Bプロ「ボレロ」でメロディ役を演じる大橋真理にインタビュー。自身のBBLでの歩みや来日公演に向けての思いを聞いた。