松本祐子ら文学座の有志が立ち上げる自主公演「SOMEONE WHO’LL WATCH OVER ME」

文学座の有志による自主企画公演「SOMEONE WHO'LL WATCH OVER ME ～私を見守ってくれる人～」が、9月26日から29日まで東京・文学座アトリエで上演される。

「SOMEONE WHO'LL WATCH OVER ME」は、フランク・マクギネスによる戯曲。1992年にイギリス・ロンドンで初演され、日本では文学座の松本祐子の演出で2006年に初めて上演された。今回も松本が演出を担い、木津誠之、川辺邦弘、成田裕生の出演で本作が立ち上げられる。翻訳を手がけたのは常田景子。

作中では、1990年代初頭のレバノンを舞台にした物語が展開。レバノンのどことも知れない場所に、アメリカ人医師アダム、アイルランド人ジャーナリストのエドワード、そしてイギリス人の英文学教師マイケルという3人の男が監禁されていた。どうしてこんなことになったのか、彼らには何もわからない。極限状態の中、3人の男は話をすること、想像すること、歌うことで、お互いに助け合っていたが……。

公演をプロデュースする松本は、企画意図について「最近の世の中の状況を見るにつれ、この作品のことを強く思い出すようになりました。今も、何も悪いことをしていないのに、人質に取られ、筆舌に尽くしがたい暴力の犠牲になっている人が多くいることに、強い憤りを感じます。この物語の登場人物もそんな暴力に遭いながらも、励まし合い、語りあい、想像力の翼を広げることで、人間の尊厳を保っています。暴力に立ち向かうために、我々は想像力と、言葉を駆使して他者と関係を紡ぐ能力を持ち得ているのだと、作者は問いかけているように思います。暴力と分断が渦巻く現代に、他者を思いやる心と、文学への愛に支えられた言葉への信頼を感じさせるこの作品は、多くを語りかけてくれると思っています」と語った。

チケットの一般前売は8月16日にスタートする。