松井周と菅原直樹が立ち上げる、「終点 まさゆめ」稽古が岡山でスタート

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松井周が作・演出を手がけ、菅原直樹が演出協力と出演に名を連ねる、ハレノワ創造プログラム「聖地(仮)」改め「ハレノワ創造プログラム『終点 まさゆめ』」の稽古が、7月4日に岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワの練習場にてスタート。4日は松井、菅原のほか、久保井研申瑞季篠崎大悟荒木知佳のほか、オーディションキャストの石川佳代、井上洋子、今栄敬子、小川隆正、竹居正武、山田浩司が参加した。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古の様子。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古の様子。

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ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古の様子。左から松井周、菅原直樹。

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本作は、2010年に松井が、蜷川幸雄率いる高齢者演劇集団さいたまゴールド・シアターのために書き下ろした「聖地」を発端とした作品で、2021年には松井の演出により、さいたまゴールド・シアターでの改訂再演「聖地2030」が予定されていた。しかし同公演は、コロナ禍のため中止。「終点 まさゆめ」はその流れを汲みつつ、新作として上演される。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、松井周。

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稽古の冒頭で松井は「『聖地』の改訂再演はどうしてもやりたくて、中止が決まったのち、カードゲーム型の“安楽死に関するワークショップ”としてやったほどでした。今回は、そこからさらにアイデアを練り、セリフのあるところとないところを織り交ぜたような形の作品になります」と説明。また、「聖地2030」でさいたまゴールド・シアターに関わってから“老い”について考えるようになったと言い、「老いというと暗い感じに捉えられがちですが、見方によってはそのまま笑いにできればなと。まだ作品のゴールは見えませんが、出演者の皆さんが生きてきたそのままが舞台に出るような、ドキュメンタリーのようなフィクションのような作品になれば」と意気込みを語った。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、菅原直樹。

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続けて出演者たちが自己紹介をすることに。菅原が口火を切り、そのまま座っている席順で、1人ひとりあいさつした。オーディションキャストの中には、菅原演出の「老人ハイスクール」に出演経験がある人、偶然本作のオーディションをチラシで知り応募することにした人、まったく演劇経験がない人、さいたまゴールド・シアターのメンバーだった人など、さまざまな“出自”の人たちが集まった。オーディションキャストの熱っぽい語りに影響されたのか、俳優陣も演劇との出会いや趣味の話など、フランクな口調で語り、稽古場に和やかな空気が流れる。全員の自己紹介を聞き終えた松井は「いやあ、勢いとエネルギーがすさまじいですね! 皆さんからもらうエネルギーがとてもあります」と笑顔を見せ、「今回、演劇観を変えたいなと思っていて。これまで演劇というと、その道の“すごい人”がやっているもの、という印象でしたが、上手い下手とかではなく、普通にいる人が戸惑いながらコミュニケーションする世界を見せたいなと思っています。絶対に面白いものにしたい!」と意気込んだ。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、久保井研。

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ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、申瑞季。

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その後、稽古用に用意された準備稿を使って、読み合わせが行われた。まず松井が「物語の軸となるのは、人生が完成に向かっている人たちが目指す最大の娯楽施設“まさゆめ”という星に向かう、宇宙船です。ただ、舞台になるのは、“まさゆめ”とは違う星で、そこではある記念式典が行われていて……」と説明を始めると、出演者たちから「全然わからない」「絵に描いてもらったほうがわかりやすいかも」と声が上がり、松井がホワイトボードを使って説明することに。それによれば、“まさゆめ”とは違うとある星では、人類の誕生を寿ぐ記念式典が行われるところで、その式典ではかつて宇宙船の中で起きた出来事が、劇として披露される。ある事情から、宇宙船の乗客を1人降ろさないといけなくなったのだが、誰を降ろすべきかで議論が繰り広げられ……。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、篠崎大悟。

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ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古より、荒木知佳。

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台本上、各登場人物のキャラクターは少しだけ設定が決められているが、“議論”の部分は現状、特に台本がない。宇宙船から降ろされたくない人たちが、「自分はいかに“残るべきか”」を主張し合う、というのが本作の見どころとなる予定だ。

ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」稽古の様子。

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松井の説明に、出演者たちは笑顔や戸惑いの表情を見せていたが、実際に読み合わせが始まると腑に落ちたようで、回を重ねるうちにオリジナリティを加えた読み方になるなど、さっそく作品世界に馴染み始めた。また今回、岡山・三重・埼玉からオーディションキャストが集まっていることもあり、「そのセリフ、方言で言ってみてもらえますか?」と松井が声をかけると、同じセリフ、同じシーンが、いく通りもの表現で彩り豊かに立ち上がった。

稽古はこのあと、インターバルを挟みながら数カ月かけて断続的に行われていく予定。公演は11月29日から12月1日まで岡山芸術創造劇場 ハレノワ 小劇場、12月21・22日に三重・三重県文化会館 小ホール、2025年1月11日から13日まで埼玉・ 彩の国さいたま芸術劇場 小ホールにて行われる。チケットの一般前売りは岡山公演が8月31日10:00、三重公演は10月12日10:00にスタート。埼玉公演の一般前売りは今後の発表を待とう。

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ハレノワ創造プログラム「終点 まさゆめ」

2024年11月29日(金)~2024年12月1日(日)
岡山県 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 小劇場

2024年12月21日(土)~2024年12月22日(日)
三重県 三重県文化会館 小ホール

2025年1月11日(土)~2025年1月13日(月)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール

スタッフ

作・演出:松井周
演出協力:菅原直樹

出演

久保井研 / 菅原直樹 / 申瑞季 / 篠崎大悟 / 荒木知佳 / 石川佳代 / 井上洋子 / 今栄敬子 / 小川隆正 / 竹居正武 / 山田浩司

※U24チケットあり。

公演・舞台情報
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彩の国さいたま芸術劇場<演劇> @Play_SAF

\📣記事掲載/

#ステージナタリー さまにて、『終点 まさゆめ』プレ稽古の様子を掲載していただきました!

ぜひご一読ください!

さいたま芸術劇場では2025年1月に上演予定です。 https://t.co/UbeqDK92f9

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