NDT芸術監督エミリー・モルナー、来日公演に喜び “ベテラン”高浦幸乃は5作品すべてに出演

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6月から7月にかけて群馬・神奈川・愛知にて開催される「NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)プレミアム・ジャパン・ ツアー2024」に向け、本日6月27日に東京・オランダ王国大使館で、記者会見が行われた。

左からエミリー・モルナー、高浦幸乃、唐津絵理。

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左から高浦幸乃、エミリー・モルナー、唐津絵理。

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NDTは、1959年にオランダで設立されたコンテンポラリーバレエカンパニー。上演演目には、イスラエル出身のデュオであるシャロン・エイアールとガイ・ベハール振付「Jakie」、“テーブルダンス”と呼ばれ親しまれているウィリアム・フォーサイスの代表作の1つ「One Flat Thing, reproduced」、ブラームスの2つのソナタに乗せて描かれるクリスタル・パイト振付「Solo Echo」、ピーピング・トムのガブリエラ・カリーソが振り付ける「La Ruta」、NDTが長らく拠点としていたルーセント・ダンス・シアターへのオマージュとしてマルコ・ゲッケが振り付けた「I love you, ghosts」の5作品が並び、各公演3作品を組み合わせて上演する。

唐津絵理

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記者会見には、NDT芸術監督を2020年から務めているエミリー・モルナー、NDT1に所属する日本人ダンサーで、本公演に出演する高浦幸乃、本公演の統括プロデューサーを務める愛知県芸術劇場芸術監督でDaBYアーティスティックディレクターの唐津絵理が登壇。通訳を山田カイルが担った。唐津は、NDTが来日公演を行うのは2019年以来、約5年ぶりであることに触れつつ「毎年新作を発表し続けているNDTの、どの作品を日本に紹介するべきか、エミリーさんと対話を重ね、一緒に選びました。『Solo Echo』と『I love you, ghosts』は、2019年の来日公演でも上演したマルコ・ゲッケさんとクリスタル・パイトさんの別の作品を、日本のお客様にお見せしたいという気持ちから。ウィリアム・フォーサイス振付の『One Flat Thing, reproduced』は、エミリーさんが(フォーサイスが率いていた)フランクフルトカンパニー出身ということもあり、そのDNAを感じていただきたいなと。そして『Jakie』は、せっかくの来日公演ですので、日本のお客様がまだ観たことのない作品をお目にかけたいという思いから、それぞれ上演ラインナップに入れました。以上の4作品は、すべてムーブメントを中心にした、どちらかというと抽象的な作品ですので、NDTの“シアター”的な要素も上演演目に加えたく、ドラマティックで演劇的な要素のある『La Ruta』も選び、最終的に5作品となりました」と説明した。

エミリー・モルナー

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モルナーは「NDTは、NDT1、NDT2、NDT3と3つのカンパニーを抱えておりますが、1990年以来、そのすべてのカンパニーで複数回、来日公演を行ってきました。この国で上演をするたびに、観客の皆様からの深い愛情と熱意を感じ、我々カンパニーにとっても刺激になっております。また、日本という彩り豊かな国に5年ぶりに戻ってこられて、本当にうれしく思っております。劇場でお会いできることを楽しみにしています!」と笑顔を見せつつ、上演演目となる5作品の魅力に触れた。高浦は、2013年にNDT2に入団し、2015年よりNDT1で踊っており、2019年の来日公演にも出演した。唐津から「NDTカンパニーではベテラン」と紹介され、照れ笑いを浮かべる高浦は「(来日公演は)楽しみですし、上演されるのはまったく異なる魅力を持つ5作品ですので、日本の観客の皆さんが、どのように作品を受け止めてくださるのか、パフォーマーとしても興味深いです。公演の外でお客様とお会いできることがあれば、たくさん私から質問を投げかけたいです(笑)」とニヤリと笑った。

高浦幸乃

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なお、高浦は出演ダンサーの中で唯一、5作品すべてに出演する。高浦は「すべて大好きな作品ですが、5作品のうち、3作品はオリジナルキャストとして、クリエイションから関わっています。『La Ruta』での、ガブリエラのクリエイションスタイルは独特で、キャスト全員が3週間、朝から晩まで、大道具や小道具が並べられた空間でワークショップを行い、アイデアを出し合って作りました。キャストのダンサーの個性も詰まった作品になっていると思います。一方で『Jakie』は、振付のシャロン自身の魅力が、作品からにじみ出てくるような作品。彼女の世界観を、日本のお客様に楽しんでいただきたいですね」と語る。さらに芸術監督としてのモルナーの印象については「カンパニーメンバーは、彼女のクリエイティビティに注目しています。エミリーさんが招待する振付家の中には、演劇やサーカス出身だったりと、ダンサー出身ではないクリエイターも多くいらっしゃって。NDTの表現の幅が、どんどん膨らんでいくんじゃないかなと思いますし、(クリエイションに参加していて)楽しいです」と微笑んだ。

エミリー・モルナー

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質疑応答では、質疑応答では、モルナーが自身の作品を発表することより、振付家を積極的に外部から招聘し、新作を生み出していることについて、芸術監督としてどのような意図を持っているか、という点が問われた。モルナーは「NDT自体、旧オランダ国立バレエ団を退団したメンバーにより創設された、いわば反乱分子の集まりでした。当時のNDTにも振付家は所属していましたが、外部から人を招き『今までとは違う、何か新しいクリエイティブな作品を作ってくれないか』と依頼することがほとんどでした。そういったNDT創設当時のやり方は再興したいと思っています。また、大きなカンパニーの責務として、さまざまな振付家の作品を観客に届けていく、ということも重要なのではないかと考えています」と答えつつ「NDTには、外部から呼んだ振付家の、革新的な振付に身体と頭脳で応えることのできる、素晴らしいダンサーがそろっています。NDTのアイデンティティは、1人の特定の振付家や形ではなく、ダンサーたちの技巧、表現の幅広さにあると感じています」と、横に座る高浦に信頼のこもったまなざしを向けた。

公演は6月30日に群馬・高崎芸術劇場 大劇場、7月5・6日に神奈川・神奈川県民ホール 大ホール、12・13日に愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて行われる。なおNDTダンサーによるレパートリーワークショップは明日6月28日に高崎芸術劇場、7月2・3日に神奈川県民ホール、8・9日に愛知県芸術劇場にて行われる。

「NDT Japan Tour 2024/ネザーランド・ダンス・シアター プレミアム・ジャパン・ツアー2024」動画

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「NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)プレミアム・ジャパン・ ツアー2024」

2024年6月30日(日)
群馬県 高崎芸術劇場 大劇場

2024年7月5日(金)・6日(土)
神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール

2024年7月12日(金)・13日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

演目

「Jakie」

振付:シャロン・エイアール、ガイ・ベハール

「One Flat Thing, reproduced」

振付:ウィリアム・フォーサイス

「Solo Echo」

振付:クリスタル・パイト

「La Ruta」

振付:ガブリエラ・カリーソ

「I love you, ghosts」

振付:マルコ・ゲッケ

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唐津絵理 @eri_karatsu

「NDTには、外部から呼んだ振付家の、革新的な振付に身体と頭脳で応えることのできる、素晴らしいダンサーがそろっています。NDTのアイデンティティは、1人の特定の振付家や形ではなく、ダンサーたちの技巧、表現の幅広さにあると感じています」エミリー談 https://t.co/XZovZyvVjQ

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