長い旅路が始まる…新国立劇場「デカローグ 1~4」がスタート
2024年4月14日 10:00
1 ステージナタリー編集部
「デカローグ 1~4」が昨日4月13日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕した。
「デカローグ」は旧約聖書の十戒をモチーフに、ポーランド・ワルシャワのとある団地を舞台にしたクシシュトフ・キェシロフスキによる10編の連作集。今回は同作の舞台化となり、1・3・5・9・10話を小川、2・4・6・7・8話を上村が演出し、4カ月にわたって総勢40名以上のキャストにより作品を立ち上げる。なお公演は大きく3つのプログラムに分かれており、4月13日から5月6日までプログラムA・B(「デカローグ1~4」)が上演される。
開幕に際し、「デカローグ 1」の「ある運命に関する物語」にて、大学の言語学の教授で無神論者のクシシュトフ役を演じるノゾエ征爾は「役への取り組み方から現場の雰囲気まで、海外の演劇作品に参加しているかのような初体験尽くしで、ただただ夢中に、がむしゃらになっていたら、あっという間にもう開幕ですって。お客さんに楽しんで頂きたい一心で皆で取り組んでおります。是非ともこの作品の目撃を!!」、クシシュトフの姉で信心深いイレナ役を演じる高橋惠子は「本日無事に初日を迎える事ができ、お運びいただいたお客様への感謝と共に、これからの長い旅路がスタートした事を実感しています! デカローグ1のイレナとして瞬間瞬間の相手や周りの変化や輝きを感じながら悔いのないよう、生きてみようと思います。是非今こそ観て頂きたい物語です。ご来場をお待ちしております!」とコメント。
「デカローグ 3」の「あるクリスマス・イヴに関する物語」にてタクシー運転手ヤヌシュ役を演じる千葉哲也は「初日開きました! タイトな稽古時間でしたが中身が本当に濃い...充実した時間を過ごさせていただきました。ドラマのデカローグとはかなり違う作品になり、演劇ならではの作品になったのではないかと思います。これからも本番という旅が続きますが、素敵な時間を観客の皆様に体験して頂ければと思います。こうして無事に初日を迎えられた事を、演出家はじめ、スタッフ、共演者に心からの感謝」と述べる。ヤヌシュの元恋人・エヴァ役を演じる小島聖は「桜の花びらも散り始め、そろそろ新緑の季節ですが、今日から私は千秋楽までクリスマスイブの日に身を置いています。ポーランドのクリスマスはどのくらい寒いのでしょうか。家の中は暖かい時間が流れている中、やりきれない気持ちを束の間、手放したくて外にいます。日常の中のささやかな旅です。夜中から朝の7時まで。朝日が昇る前までの数時間、どうぞ一緒に旅してください。そしてそれぞれの日常に戻っていきましょう」と観客に呼びかける。
「デカローグ 2」の「ある選択に関する物語」にて、重大な選択に悩むバイオリニストの女性ドロタを演じる前田亜季は「ついに開幕です。時代は1980年代後半のポーランドですが、今の私たちにも通ずる、普遍的な悩みや葛藤の中で人生を歩んでいる人々の物語です。人間の不甲斐ない部分も含め、日々を生きていく背中にそっと手を添えてくれる様なキェシロフスキの優しい視点や肯定感に、稽古中何度も救われる気持ちになりました。お客様にも、この団地の住人として感じてもらえたら嬉しいです。舞台ならではのデカローグを見ていただけるよう、精一杯この中で生きたいと思います」と思いを語り、ドロタと同じアパートに暮らす医長役を演じる益岡徹は「稽古を重ねる事に、生きるということ、を考える作品だなと、実感しています。私の役の老いた医師は、戦争で妻や子供、家族を失っています。その後40年以上をどう生きてきたのか、そのことは、書かれていません。おそらく1枚の家族の写真とその記憶と、厳しい人生を生きてきたのだろうと。そして身ごもった子供を産むべきか、堕ろすべきか苦しむドロタの姿に、それでも、人は生きるべきと医師は気がつく。私も、楽日までずっと考えることになりそうです」と作品への思いを話す。
「デカローグ 4」の「ある父と娘に関する物語」にて父ミハウ役を演じる近藤芳正は「こんなに、心に汗掻いたのは初めてだ。海外作品は、セリフが多いものだが、これは少ないセリフでのやり取りが多く、セリフにならない感情、インナーボイスが溢れている。そのうえ ミハウという役は ずっと悩み、迷い続け、自分では結論が出せなくなっていて、例え出したとしても、それが正解なのかどうなのか まったく自信がなく、心のなかがぐちゃぐちゃになってる。いまインナー下着脱いだら、やっぱ汗でぐちゃぐちゃだぁ コリャ凄いぞ! 言葉にならない声を聴きに来て欲しい」と率直な思いを語る。演劇学校に通うミハウの娘アンカ役の夏子は「稽古場で、客席で、他の役者の方のお芝居を観ている時、何ものにも代え難い感動を味わいます。このような感動を味わいたくて生きているんだなと思います。今日始まった壮大な10篇の物語の一員としてお芝居できることが、改めてとても嬉しいです。楽しんで頂けますように!」と観客にメッセージを送った。
上演時間は、それぞれ休憩を含みプログラムAは約2時間10分、プログラムBは約2時間15分で、公演は5月6日まで。その後、5月18日から6月2日までプログラムC(「デカローグ5・6」)、6月22日から7月15日まではプログラムD・E(「デカローグ7~10」)が行われる。
なおステージナタリーでは「デカローグ 1~4」の出演者である高橋惠子、益岡徹、小島聖、近藤芳正による対談を展開。それぞれの作品や役のこと、小川と上村の演出や、稽古場の様子などを語っている。
「デカローグ」プログラムA
2024年4月13日(土)~2024年5月6日(月) ※公演終了
東京都 新国立劇場 小劇場
スタッフ
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝英
演出:小川絵梨子
出演
「デカローグ1 ある運命に関する物語」
ノゾエ征爾 / 高橋惠子 / チョウ・ヨンホ / 森川由樹 / 鈴木勝大 / 浅野令子 / 亀田佳明
「デカローグ3 あるクリスマス・イヴに関する物語」
千葉哲也 / 小島聖 / 浅野令子 / 鈴木勝大 / チョウ・ヨンホ / 森川由樹
「デカローグ」プログラムB
2024年4月13日(土)~2024年5月6日(月) ※公演終了
東京都 新国立劇場 小劇場
スタッフ
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
上演台本:須貝英
演出:上村聡史
出演
「デカローグ2 ある選択に関する物語」
前田亜季 / 益岡徹 / 坂本慶介 / 近藤隼 / 松田佳央理 / 亀田佳明
「デカローグ4 ある父と娘に関する物語」
近藤芳正 / 夏子 / 益岡徹 / 松田佳央理 / 坂本慶介 / 近藤隼 / 亀田佳明
「デカローグ」プログラムC
2024年5月18日(土)~2024年6月2日(日) ※公演終了
東京都 新国立劇場 小劇場
スタッフ
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
上演台本:須貝英
「デカローグ5 ある殺人に関する物語」
演出:小川絵梨子
「デカローグ6 ある愛に関する物語」
演出:上村聡史
出演
「デカローグ5 ある殺人に関する物語」
福崎那由他 / 渋谷謙人 / 寺十吾 / 斉藤直樹 / 内田健介 / 名越志保 / 田中亨 / 亀田佳明
「デカローグ6 ある愛に関する物語」
仙名彩世 / 田中亨 / 寺十吾 / 名越志保 / 斉藤直樹 / 内田健介 / 亀田佳明
「デカローグ」プログラムD
2024年6月22日(土)~2024年7月15日(月) ※公演終了
東京都 新国立劇場 小劇場
スタッフ
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝英
演出:上村聡史
出演
「デカローグ7 ある告白に関する物語」
吉田美月喜 / 章平 / 津田真澄 / 大滝寛 / 田中穂先 / 堀元宗一朗 / 笹野美由紀 / 伊海実紗 / 亀田佳明
「デカローグ8 ある過去に関する物語」
高田聖子 / 岡本玲 / 大滝寛 / 田中穂先 / 章平 / 堀元宗一朗 / 笹野美由紀 / 伊海実紗 / 亀田佳明
「デカローグ」プログラムE
2024年6月22日(土)~2024年7月15日(月) ※公演終了
東京都 新国立劇場 小劇場
スタッフ
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝英
演出:小川絵梨子
出演
「デカローグ9 ある孤独に関する物語」
伊達暁 / 万里紗 / 宮崎秋人 / 笠井日向 / 鈴木将一朗 / 松本亮 / 石母田史朗 / 亀田佳明
「デカローグ10 ある希望に関する物語」
竪山隼太 / 石母田史朗 / 鈴木将一朗 / 松本亮 / 伊達暁 / 宮崎秋人 / 笠井日向 / 亀田佳明
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ステージナタリー @stage_natalie
長い旅路が始まる…新国立劇場「デカローグ 1~4」がスタート(舞台写真 / コメントあり)
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