今じゃない!岡本圭人が父・岡本健一のエピソード披露、シンプルかつ痛烈な家族劇「母」「息子」

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4月から6月にかけて同時上演される「La Mere 母」(以下「母」)と「Le Fils 息子」(以下「息子」)の製作発表会が昨日2月19日に東京・東京芸術劇場で行われ、出演者の若村麻由美岡本圭人岡本健一、演出のラディスラス・ショラーが登壇し、公演への意気込みを語った。

左から、岡本健一、岡本圭人、若村麻由美、ラディスラス・ショラー。(撮影:藤井光永)

左から、岡本健一、岡本圭人、若村麻由美、ラディスラス・ショラー。(撮影:藤井光永)

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このたび同時上演される2作は、フランスの劇作家フロリアン・ゼレールによる“家族3部作”のうちの2作。東京芸術劇場では2019年に橋爪功、若村らが出演した「Le Pere 父」(以下「父」)、2021年に岡本圭人、岡本健一が親子共演した「息子」を上演し、今回の日本初演「母」で3部作の完結上演を迎える。なお、「父」「息子」に続き、ショラーが「母」を演出。若村は3部作への出演をコンプリートする。

ラディスラス・ショラー(撮影:藤井光永)

ラディスラス・ショラー(撮影:藤井光永)[拡大]

ショラーは、「父」「息子」を日本上演前にフランスで演出している。その経験から、初演出を手がける「母」について、「緊張していますが、ご一緒する俳優の皆さんは役を高みにまで引き上げてくれる方々。心配はしていません」と自信を見せる。「ゼレールの戯曲では毎回シンプルで日常的なセリフが使われていて、登場人物のディテールがあえて書かれていません。テアトラル(演劇的)なセリフと言えますし、故に観客が自分自身を投影しやすい。『母』で家族3部作を演出する機会を与えてくださった東京芸術劇場に感謝しています」と述べた。

岡本圭人(撮影:藤井光永)

岡本圭人(撮影:藤井光永)[拡大]

2021年の「息子」で舞台デビューした岡本圭人は、同作での実父との共演エピソードを披露。「父が初日の15分前に楽屋に来て、『ここからお前の新しい人生、道が広がっていく。自分を信じてやっていってほしい』と言ってくれたんですけど、これから不安定なニコラ役を演じるというときに、父の言葉に満たされてしまった自分がいて『今じゃないでしょ!』と思いました(笑)。父は悪くありません」と明かした。なお、岡本圭人は「母」で翻訳にも参加。「フランス語の原文、英語の原文、日本語の台本を見ながら、翻訳調にならずに家庭で交わされる会話としてお客さんに届けるには、と考えながらやらせていただきました」と振り返る。

記者から「父子で最近出かけたか」と聞かれた岡本圭人は、岡本健一が舞台出演中のため「まったくないです」と回答。すると岡本健一が、「舞台を観に来てくれたときにちょっと話をしたのですが、タンブラーをプレゼントしてくれて。『プレゼントくれるんだ』とちょっとうれしかった」と息子の成長にほほを緩ませ、“父の顔”をのぞかせた。

若村麻由美(撮影:藤井光永)

若村麻由美(撮影:藤井光永)[拡大]

今回の「母」で家族3部作への出演を達成する若村は、「俳優にとって再演は特別なこと。前回をなぞるのではなく、それぞれの時間を過ごしてきた人たちが、もう一度同じチームでもっと高みへ、もっと深く臨めるんです。また『母』『息子』を両方同時上演することは、お互いに良い影響を与えてくれるはず。私たちのチームの演劇を楽しんでいただけたら」とコメントした。さらに戯曲について「劇中ではお互いに名前で呼び合うのですが、台本上の役名は父、母、息子としか書かれていません。ゼレールさんが訴えたかった“すべての父へ、すべての母へ、すべての息子へ”という思いが台本にも表れているんだと思いました」と明かした。

岡本健一(撮影:藤井光永)

岡本健一(撮影:藤井光永)[拡大]

岡本健一は、作品について「『息子』では、子供が“はみだしてしまう”原因はどこにあるのかが大きなテーマ。子供にとっては環境が一番大事で、その環境づくりがこの家族では、互いの思いがすれ違い、間違った方向に行ってしまった。誰にでも起こりうる家族の関係性を痛烈に描いた作品です。この作品が、観た人の子供やパートナーとの対話のきっかけになってくれたら」と期待する。一方、「母」については「夫や子供に全愛情を注いで生きてきた母親が、子供が巣立ち、夫が離れ、1人家に残されると、どれほど寂しい思いをするのか。これまであまり考えなかったことがテーマになっていて、母というものの愛や寂しさについて考えさせられました」と語る。「今回の『母』『息子』はただ楽しいだけの舞台ではない。演じるのも作るのも、普段抱えている悲しみ、一番見せない部分を出さざるを得ないので、つらいんです。でもそれをシンプルで素敵な言葉で伝えてくれています。僕たちがやることは、いかにそのテーマを伝えるか。ぜひ、若い人やあまり劇場に来ることがない男性にも観てほしいです」と力強く語った。

「母」「息子」は、4月5日の「母」東京・東京芸術劇場 シアターイースト公演、9日の「息子」東京芸術劇場 シアターウエスト公演開幕を皮切りに、全国各地を巡演。「母」「息子」東京公演のチケット一般販売は2月26日10:00にスタートする。そのほかの会場のチケット一般販売日は公式サイトで確認を。

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「La Mere 母」「Le Fils 息子」

「La Mere 母」

2024年4月5日(金)~29日(月・祝)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

2024年5月5日(日・祝)
鳥取県 鳥取県立倉吉未来中心 大ホール

2024年5月10日(金)・11日(土)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2024年5月19日(日)
富山県 オーバード・ホール 中ホール

2024年5月26日(日)
山口県 山口市民会館大ホール

2024年6月1日(土)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

2024年6月8日(土)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール

2024年6月15日(土)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

2024年6月29日(土)・30日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

「Le Fils 息子」

2024年4月9日(火)~30日(火)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト

2024年5月6日(月・振休)
鳥取県 鳥取県立倉吉未来中心 大ホール

2024年5月11日(土)・12日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2024年5月18日(土)
富山県 オーバード・ホール 中ホール

2024年5月25日(土)
山口県 山口市民会館 大ホール

2024年5月31日(金)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

2024年6月29日(土)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

作:フロリアン・ゼレール
翻訳:齋藤敦子
演出:ラディスラス・ショラー

出演

「La Mere 母」:若村麻由美岡本圭人、伊勢佳世、岡本健一
「Le Fils 息子」:岡本圭人、若村麻由美、伊勢佳世、浜田信也、木山廉彬、岡本健一

※「La Mere 母」「Le Fils 息子」の1つ目のeはアクサングラーブ付きが正式表記。

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