「う蝕」は、フランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、別役実の作品をモチーフにした、男性キャスト6人による不条理劇。出演者には
作劇の横山は「僕がこの作品を書いているときに一番『不条理』に感じたことは、登場人物の歴史が全然見えてこないところでした。本当にこの人たちはここに存在するのだろうか……。手がかりの少ない人物たちに命を吹き込んでくれた6名の俳優の皆さん、ありがとうございました」と出演者への感謝を述べる。また令和6年能登半島地震を受けて台本に大きく手を入れたことを明かし、「改稿作業に粘り強く付き合って、上演にまで漕ぎ着けてくれた演出の瀬戸山さんにも心から感謝しています。現実と作品の距離を的確に見つめながら、ちゃんとエンターテイメントになっているのがすごいです」と語った。
演出の瀬戸山は「現実の出来事に心を寄せながら、自分たちの立つ場所を確認してつくってきました。初日を迎えた今、演劇だから語れることがあると改めて感じています。わかると面白い、わからないことも面白い、そんな作品になったと思います。個性際立つ俳優の皆さんの競演をじっくりお楽しみください」と観客にメッセージを送った。
東京公演は3月3日まで行われ、その後本作は9・10日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、16日に愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールでも上演される。なお横山と瀬戸山からのコメント全文と、出演者からのメッセージは以下の通り。
横山拓也コメント
僕がこの作品を書いているときに一番「不条理」に感じたことは、登場人物の歴史が全然見えてこないところでした。本当にこの人たちはここに存在するのだろうか……。手がかりの少ない人物たちに命を吹き込んでくれた6名の俳優の皆さん、ありがとうございました。そして、能登半島地震を受け、台本に大きく手を入れさせてもらうことなりましたが、改稿作業に粘り強く付き合って、上演にまで漕ぎ着けてくれた演出の瀬戸山さんにも心から感謝しています。現実と作品の距離を的確に見つめながら、ちゃんとエンターテイメントになっているのがすごいです。
瀬戸山美咲コメント
俳優の皆さんと、横山さんの意欲的な戯曲を探検してきました。少し不思議で少し残酷で少し優しい横山さんの世界。たくさんの鉱脈をみんなで見つけることができたと思います。現実の出来事に心を寄せながら、自分たちの立つ場所を確認してつくってきました。初日を迎えた今、演劇だから語れることがあると改めて感じています。わかると面白い、わからないことも面白い、そんな作品になったと思います。個性際立つ俳優の皆さんの競演をじっくりお楽しみください。
坂東龍汰コメント
無事に今日を迎えられたことにまず感謝をしています。
こんなにもお芝居のことを考え戯曲と向き合った日々はありませんでした。
素敵なキャストとスタッフの皆様に支えてもらいここまで来れたと思っています。
真剣に心を使ってお芝居をしています。
それが見てくださる方に伝わるように一生懸命頑張りますので千秋楽までよろしくお願いします。
ワクワクを絶やさずに!
近藤公園コメント
「あぁでもない、こーでもない!」と、皆で作品と格闘する日々は本当に濃密で、「これぞ演劇!」と何度も胸が熱くなりました。この時期に、この不条理を抱えた作品を上演するにはその熱量が必要不可欠だったと思えるし、そのがむしゃらになって作り上げた演劇には、“何かしら”の力が宿っていると信じています。日々、この作品に込められた“何かしら”を観客の皆様に手渡すように、舞台に立てたらと思っています。
綱啓永コメント
無事に初日を迎えられて、今はワクワクと安堵の気持ちで一杯です。
稽古初日から最後まで、僕にとって本当に贅沢すぎる時間で、本当にここまでの充実を噛み締めています。
横山さんにあて書きして頂き、瀬戸山さんの丁寧な演出により出来上がった剣持を、最後まで魂込めて演じます。
カンパニーの皆様、ファンの皆様、そして劇場で観劇してくださる皆様への感謝を忘れずに、千穐楽まで突っ走ります。
男6人で男臭く創り上げる「う蝕」の世界。
この戯曲をこのタイミングでやる意味をしっかり心に秘めて、観劇してくださった方へ何か大事なモノを受け取ってもらえたら幸いです。
「う蝕」宜しくお願いします!
正名僕蔵コメント
いかがでしたでしょうか……?
と、ご来場の皆様お一人お一人にご感想もしくはご意見を根掘り葉掘りお聞きしたい……、そんな心境です。
いかがでしたでしょうか……?
もちろん主語は“わたしは”ではなく、“われわれは”です。横山さんが書かれた台詞のひとつひとつを、瀬戸山さんを中心にみんなでディスカッションを重ねながら形にしていくなかで、今回、いち役者の範疇を越えてこの作品に関わった、そんなところがあります。だからでしょうか、お客様に対しても何か範疇を越えて関わりたい、そんな心境です。鬱陶しいやもしれませんが。
いかがでしたでしょうか……?
新納慎也コメント
日々テレビという箱に映るリアルな瓦礫の山。
舞台上の箱が開くとそこは瓦礫の山に見える。
リアルなのかどうかわからない箱の中の虚構の世界。
僕たちはこの箱の中の虚構の世界からリアルを伝える。
図らずもこのタイミングで上演することになった作品ですが、今だからこそ観客の皆様にビビッドに感じていただけることも多いと思います。
初日の幕が開き、お客様が何をどう感じてくださるのか不安もありますが、僕は今だからこそ演劇に出来ることを信じて、日々繊細に演じていきたいと思います。被災地に想いを寄せて。
相島一之コメント
演劇を作ることの大変さと面白さ、そして演劇とは一人ではなくみんなで作るものなんだということを改めて実感させてもらった稽古期間でした。僕らが稽古場で立ち上げた一本のお芝居が、劇場でお客さんの前で演じられてようやく演劇として完成します。思いおこせばコロナ禍のもと無観客でお芝居をするという本来あるべきではない姿の演劇もありました。だからこそこうしてみなさまに観ていただけることの喜びを噛み締めています。トラムならではの濃密な空間を僕らと一緒に楽しんでいただけたら幸いです。本日はありがとうございました。
「う蝕」
2024年2月10日(土)~3月3日(日)
東京都 シアタートラム
2024年3月9日(土)・10日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2024年3月16日(土)
愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
作:
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yonemako @yonemako
観てきました。伝わってきましたよ>「これぞ演劇!」と何度も胸が熱くなりました>「自分たちの立つ場所を確認してつくってきました」、横山拓也×瀬戸山美咲「う蝕」開幕(舞台写真 / コメントあり) https://t.co/iiJt0BnmmP