2月から3月にかけて上演される
本作の舞台は、元禄十六年創業の和菓子屋「御菓子司 亀屋権太楼」。店主・田代権蔵の次男で和菓子職人の祐吉は店を継ぐことになるが、店の“経歴詐称”疑惑が浮上したため、事実を明らかにして謝罪すべきではないかと考えている。一方、他企業で働いている長男の吉文は、そんな必要はないと反対する。やがて時が経ち、老舗和菓子屋の一角にも和風カフェが作られるようになり……。
作品について土田は、「今回はタイトルの通り、和菓子屋が舞台です」と説明。「ただこれまでだったら和菓子屋のセットを作って、例えばそこでの1カ月にわたる物語を場面転換なしのワンシチュエーションで描く、ということをやってきたと思うのですが、今回は1つひとつのシーンは短く、10年くらいの期間にわたってさまざまなシチュエーションのシーンを描きます。実は、昨年やったアニメ原作の作品が場面転換の多いもので、やってみたら楽しかったんです。なので、劇団でもそういうことをやってみたいと思って。ただ普段とはまったく違うやり方なので、今稽古場で苦労しています(笑)」と話し、記者たちを和ませる。
また土田は、今回の話の核に「価値観の変わり目」という目線があると言い、「昨今、舞台関係でもパワハラやセクハラの問題が取り沙汰されるようになりました。僕はすごく良い変化だと思いますが、そこで思うのは、人はなぜ謝罪ができないのか、謝罪するとはどういうことなのかということ。ニュースで見るような遠い関係性の話であれば、不祥事を起こした人が“悪の権現”に見えたり、批判したりしやすいですが、自分の身近で起きたときは、不祥事を起こした人にも言い分があったり、単純な構造では物事が進まなかったりすることがよくわかるから、謝罪すれば良いというものではないなと感じる。ただ僕は、謝罪って自分の反省の気持ちも大事ですが、他者の気持ちを楽にするもの、相手のストレスを緩和するために必要なものだとも思うんです。自分のことになるとなかなか反省するって難しいことですが、それをする美学を持つ、そのことが大事なんじゃないかと。この作品にもそういった視点を入れ込んでいます」と語った。
「なぜ和菓子屋を舞台にしたのか?」と記者が質問すると「少し変わった場所にしたかったという思いと、私が今京都にいること、また私自身が和菓子が好きだということもあり、和菓子屋はどうかなと。また祖父が骨董商で家にも茶室があり、近所の有名な和菓子屋さんがよく祖父のところに来ていました。そんな記憶もあって和菓子屋という設定にしたのですが、そうしたことでファミリードラマ感が強まったような気がしますね(笑)。『渡る世間は鬼ばかり』のような。職人さんたちの会話が昭和っぽいんです」と話し、記者たちを笑わせた。
また今回、大阪と東京公演ではU-22チケットに加えてU-34チケットが用意された。その点について土田は、昨今の演劇のチケット代高騰について言及。「作り手としては、物価も上がっていたりと、以前よりも作品を作るのにお金がかかっているので、チケット代の高騰はやむを得ないと思う部分もあります。でも不景気が続き、若い子たちもお金が無い状況にある今、このままチケット代が高騰し続ければ、将来の演劇の観客を減らしていくことになるのではないかという危機感を感じていて。また演劇を観に来る人の中には、実は22歳以上の、自分たちも俳優やスタッフになりたいと思っている人たちも多いと感じていたので、U-22に加えてU-34チケットも作ろうと。チケット代の高騰化にブレーキをかける動きを、興行側がしていかないといけないのではないかと考えています」と思いを語った。
MONO第51回公演「御菓子司 亀屋権太楼」は2月22日から26日まで大阪・扇町ミュージアムキューブ CUBE01、3月1日から10日まで東京のザ・スズナリ、16・17日に福岡県 J:COM北九州芸術劇場 小劇場、23・24日に長野・サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大スタジオで行われ、出演者には土田のほか、
MONO第51回公演「御菓子司 亀屋権太楼」
2024年2月22日(木)~26日(月)
大阪府 扇町ミュージアムキューブ CUBE01
2024年3月1日(金)~10日(日)
東京都 ザ・スズナリ
2024年3月16日(土)・17日(日)
福岡県 J:COM北九州芸術劇場 小劇場
2024年3月23日(土)・24日(日)
長野県 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大スタジオ
作・演出:
出演:
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【掲載情報】
『御菓子司 亀屋権太楼』
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