ミュージカル「ベートーヴェン」が、12月9日に東京・日生劇場で開幕。ステージナタリーでは、8日に行われたゲネプロの様子をレポートする。なお記事には舞台写真や演出に関する記述も含まれるため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
本作は、「エリザベート」「モーツァルト!」などで知られる
本公演では演出をギル・メーメルトが担当。出演者にはルートヴィヒ役の
ステージ後方には大きなディスプレイが設置されており、ルートヴィヒのコンサート会場やドナウ川、花火が上がる空など、さまざまな景色が映し出され、シーンの移り変わりが示される。ルートヴィヒがピアノを演奏する場面には6人のダンサーが登場し、しなやかなダンスで彼が奏でる音楽のイメージを具現化する。また劇中には、ルートヴィヒ自身が実際にオーケストラピットに降り、タクトを振って白いかつらを被ったオーケストラのメンバーを指揮する演出も取り入れられた。
本作のストーリーの大部分は歌によって進行。劇中音楽には「悲愴」「運命」「エリーゼのために」など、ベートーヴェンの名曲として知られる数々の楽曲が織り込まれ、キャストたちはドラマチックなメロディに乗せて掛け合いを披露した。「第九」の旋律がどのような場面で演奏されるか、ぜひ劇場で確かめよう。
ルートヴィヒは身体の後ろで両手を組んで早足で歩く、少し神経質そうな人物。父から虐げられて育ち、愛を信じないルートヴィヒは、ピアノの演奏技術や音楽は評価されていても周囲からは敬遠されており、聴力を失うと診断されたことで絶望する。井上はそんなルートヴィヒが、トニと出会って関係を深めていくことで少しずつ周囲との関わり方を変化させていくさまを、多彩な歌声で感情豊かに表現した。
花總は、満たされた生活を送りながらも恋愛を知らず、虚しさを感じているトニが、ルートヴィヒとの出会いをきっかけに様々な感情に揺り動かされる様子を、表情の繊細な変化で表す。酒に酔ったトニがルートヴィヒの手を取って踊り出す場面では、その愛らしさで観客を魅了した。また海宝は、カスパールが兄ルートヴィヒと激しく対立するシーンで、井上と力強いデュエットを披露。さらに佐藤は、「金がすべて」と言うフランツを、重厚感のある歌声を響かせて演じた。
上演時間は休憩25分を含む約2時間50分。東京公演は12月29日まで行われ、その後1月4日から7日まで福岡・福岡サンパレス、12日から14日まで愛知・御園座、19日から21日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで上演される。
ミュージカル「ベートーヴェン」 井上芳雄&花總まり、クンツェ&リーヴァイの貴重な4ショット
ミュージカル「ベートーヴェン」
2023年12月9日(土)~29日(金)
東京都 日生劇場
2024年1月4日(木)~7日(日)
福岡県 福岡サンパレス
2024年1月12日(金)~14日(日)
愛知県 御園座
2024年1月19日(金)~21日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
脚本・歌詞:
音楽・編曲:
演出:ギル・メーメルト
キャスト
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(孤高の音楽家):
アントニー・ブレンターノ(ベートーヴェンの想い人“トニ”):
カスパール・ヴァン・ベートーヴェン(ベートーヴェンの弟):
ベッティーナ・ブレンターノ(“トニ”の義理の妹):
バプティスト・フィッツオーク(野心家の弁護士):
ヨハンナ・ベートーヴェン(カスパールの妻):
フェルディナント・キンスキー公(ベートーヴェンのパトロンの一人):
フランツ・ブレンダーノ(銀行家であり“トニ”の夫):
ショルシュ:西田理人、三木治人
マクセ:井澤美遥、長尾侑南、若杉葉奈
※海宝直人と小野田龍之介、佐藤隆紀と坂元健児はWキャスト。
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真珠 @mieko__0606
【公演レポート】井上芳雄・花總まりが「運命」や「第九」に乗せて紡ぐ“愛”のミュージカル「ベートーヴェン」(舞台写真あり) https://t.co/uT3asGp0Xo