2作品の相乗効果で心潤す…有澤樟太郎・東啓介らの「TOHO MUSICAL LAB.」幕開け

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「TOHO MUSICAL LAB.」が、昨日11月22日に東京・シアタークリエで開幕。これに先駆け昨日、開幕記念会見と観客を迎えての公開ゲネプロが行われた。

左から有澤樟太郎、東啓介。

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2020年の「TOHO MUSICAL LAB.」第1弾では、シアタークリエで新作ミュージカル2本が無観客で上演され、その様子が配信された。今回の第2弾は有観客で公演が行われ、タカハ劇団の高羽彩とゆうめいの池田亮がそれぞれ脚本・演出を手がける新作ミュージカル2作品を、劇場で楽しめる。

「わたしを、褒めて」より。

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高羽が脚本・演出、ポップしなないでが作曲を担う「わたしを、褒めて」は、舞台の初日直前のドタバタを描くコメディ。劇場では、スタッフたちが準備や最終調整で大忙しだった。しかし主演俳優の星奈和(有澤樟太郎)が突然「演出を変えろ」と言い出し……。

「わたしを、褒めて」より。

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開演するとステージには、客席に裏側を向けた書割が登場したり、舞台奥に緞帳をイメージした赤い幕が下りてきたり、衣裳のラックや照明チェックを行うスタッフ役のキャストが登場したりと、まるで本番間際の舞台の裏側を観ているかのような感覚を観客に与えた。

「わたしを、褒めて」より。

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「わたしを、褒めて」より。

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有澤演じる星奈は赤白ストライプのズボンや、羽根で飾られたエメラルドグリーンのマントをまとって登場。星奈は緊張のあまり傍若無人に振る舞い、「お前らはいいよな ネットで拡散されなくて」とスタッフに八つ当たりしてしまう。有澤はそんな星奈をコミカルに演じつつ、若手俳優である彼がプレッシャーに苦しむさまを、一人寂しげに座り込む姿から繊細に描き出す。また美弥は、星奈に本気で怒りつつも彼の持つ演劇愛を認めて励ます演出家・朝日を、情熱に満ちた人物として立ち上げた。

「DESK」より。

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池田が作詞・脚本・演出、深澤恵梨香が作曲を手がける「DESK」では、アニメーション会社・TERAで働く人々で描かれる。制作デスクの和田晋吾(東啓介)はアニメ「転生したら牧場でのんびり暮らしました」に取り組んでいたが……。

「DESK」より。

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舞台には、袖机付きのオフィスデスクがピラミッドのように積み上げられた。劇中ではアニメの制作スタッフたちが、一瞬の間に眠ってしまったり、仕事に追い詰められて「宝くじを当てよう」と歌い出したりする。また子役のキャストが、右手と右足を同時に出して歩く動きを繰り返したり、変な表情でセリフを発したりすることで、アニメが“作画崩壊”したことが示されるシーンでは、会場に大きな笑いが起きた。

「DESK」より。

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東は伸びやかな歌声を響かせ、多忙ゆえに離婚し、愛娘とビデオ通話越しでしか会えなくなってもアニメを愛し、働き続ける和田の悲哀を歌い上げる。また豊原江理佳山崎大輝壮一帆も制作スタッフをそれぞれ癖のある人物として演じ、彼らが過酷な労働環境で限界を迎えようとしているさまを滑稽に演じた。

左から高羽彩、屋比久知奈、エリアンナ、美弥るりか、有澤樟太郎、東啓介、豊原江理佳、山崎大輝、壮一帆、池田亮。

左から高羽彩、屋比久知奈、エリアンナ、美弥るりか、有澤樟太郎、東啓介、豊原江理佳、山崎大輝、壮一帆、池田亮。[拡大]

「わたしを、褒めて」より。

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ゲネプロ前に行われた会見には「わたしを、褒めて」より脚本・演出の高羽、出演者の有澤、美弥、エリアンナ屋比久知奈、「DESK」脚本・演出の池田、出演者の東、豊原、山崎、壮が登壇した。有澤は「僕のきらびやかな衣裳に惑わされないで」と笑いつつ、「密度が高く、心を打つ作品になりました。『人の支えがないと舞台に立てない』という原点に返れる舞台です」「乾燥の季節ですが、心を潤す人間ドラマを楽しんで」と言葉に力を込める。

「わたしを、褒めて」より。

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美弥は「今まで出会った女性の演出家たちを思い出し、皆さんの個性を取り入れながら演じています」とコメント。プロデューサー・水川役のエリアンナは「水川は美弥さん演じる朝日と『ゴジラ対メカゴジラ』のようにバトルするので、ぜひ楽しんで(笑)」と見どころをアピールする。星奈のマネージャー田之倉役の屋比久は「“ラボ”にふさわしく、みんながアイデアを持ち寄って試し、高羽さんが導いてくれました。楽しく濃密な稽古の日々でした」と稽古を振り返った。

高羽彩

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「ある作品のスタッフワークに感動して演劇のプロを目指した」と言う高羽は「私の演劇活動はスタッフさんへのリスペクトと共に続いてきた。舞台裏で起きること、そこで働く人たちのことをぜひお客様にも知ってもらえたら。“野次馬心”でご覧ください!」と観客にメッセージを送った。

「DESK」より。

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「DESK」について東は「働く皆さんを後押ししてくれる作品です。『わたしを、褒めて』と『DESK』をセットで観ることで、相乗効果があると思う。舞台のエネルギーで膨らんだ“何か”を皆さんに投げつけたいと思いますので、2本とも楽しんでください!」と笑顔を浮かべる。

「ズボンの後ろに何か付いている!」と、山崎大輝の背後に集まる登壇者たち。左は見守る東啓介。

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「DESK」より。

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豊原は「観た人が自分に優しくなれる作品です。私も演じていて救われました。お客様にも温かい気持ちになってほしい」、山崎も「忙しくても立ち止まり、自分の心の“基盤”を取り戻す大切さを教えてくれる作品だと思います」と述べる。壮は「同じプロデューサーでもエリアンナとはだいぶ違う雰囲気ですが」と笑いつつ「初めて台本を読んだとき、登場人物の欄を見るだけで『これは面白い』と思った。お客様にも面白く観てもらえるようがんばります」と意気込んだ。

池田亮

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池田は「衣裳がきらびやかな『わたしを、褒めて』に対して、『DESK』はカーキ色ですが(笑)、どちらも仕事を描く作品」「アニメーション会社の人の話が面白くて。“叫びたいけど叫べなかった”人のことを描けたらと思い、『DESK』を執筆しました」と語る。また池田は、取材前に行われた「DESK」の通し稽古を「本当にすごく良かった!!」と絶賛し、「誰しも仕事やプライベートのことで頭を抱えることがあると思いますが、皆さんを明るく元気づけられる舞台になれば」と期待を込めた。

上演時間は休憩を含む約1時間45分。公演は本日11月23日まで行われる。なお本日23日の16:00開演回の様子は、uP!!!およびTELASAでライブ配信される。視聴料金は税込3500円。なおライブ配信終了後も、12月10日までアーカイブを視聴することができる。

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「TOHO MUSICAL LAB.」

2023年11月22日(水)・23日(木・祝)
東京都 シアタークリエ

「わたしを、褒めて」

脚本・演出:高羽彩
作詞・作曲:ポップしなないで
出演:有澤樟太郎美弥るりかエリアンナ屋比久知奈 / 新井海人、石井千賀、焙煎功一

「DESK」

作詞・脚本・演出:池田亮
作曲:深澤恵梨香
出演:東啓介豊原江理佳山崎大輝壮一帆 / 久住星空、三浦あかり

※久住星空と三浦あかりはWキャスト。

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読者の反応

山崎大輝(眠りにつくまで付き合って) @ttttttaikki103

ナタリーさんいつも弄っていただいてありがとうございます!ありがとうございます!
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