去る10月29日に「太陽劇団『1789』上映&アリアーヌ・ムヌーシュキンとのトーク」が京都・京都芸術劇場 春秋座にて開催。その後、取材会が行われた。
「太陽劇団『1789』上映&アリアーヌ・ムヌーシュキンとのトーク」は11月4・5日に京都・ロームシアター京都にて上演される太陽劇団「金夢島 L'ILE D'OR Kanemu-Jima」公演に向けて行われた関連企画。その後の取材会では「金夢島」のことを中心に記者から質問が投げかけられた。イベントの前日に京都入りしたというムヌーシュキンは、「京都に到着したのは夕方から夜に差し掛かるぐらいの時間で、レンタカーでホテルまで移動したのですが、鴨川の脇を運転しながらいかに美しい風景かということに感動しました。と同時に、悲しみのようなものも感じて涙が込み上げてきたんです。というのも、今あるこの美しさが、本当はここにももっとたくさんあったはずなのに、それが既に失われてしまっているということ、そして今あるこの美しさがいつまで続くんだろうと感じ、私たちはどれだけ美しいものを失ってきたのかという気持ちになりました」と話す。そして「『金夢島』には、そういった美しいもの、壊れやすいものが失われないように対抗していく、という思いが込められています。本作の舞台は“日本のような島”ですが、ここで語られていることは世界中に通じることだと思います」と続けた。
「金夢島」では、病床に伏している年配の女性コーネリアを軸にして物語が展開する。コーネリア役にムヌーシュキン自身が投影されているかと記者が問うと「コーネリアは自分だ、とは思っていませんし、クリエーションの中でもそのような発言はしていませんが、コーネリア役を演じている俳優のエレーヌが、クリエーションのプロセスの中で、私の要素を“取り入れた”のだと思います」と説明する。
また太陽劇団には魅力的な俳優が多数出演しているが、どのような俳優を魅力的だと感じるか、と問われると「俳優として一番最初に大切な筋肉となるのは、想像力。信じられないようなことを信じる力で、それは子供の頃に誰もが持っていた、大事な要素です。多くの人は成長していく過程で想像力と信じる力を失っていきますが、アーティストというのはそれらを持ち続ける人。それらは、俳優としての能力につながっていると思います」と話した。さらにフランス語で“演じる”は“jouer”で、“遊ぶ”も意味する言葉であると話し、「遊ぶことと演じることは、フランス語では同じ言葉です。そのようにどんな状況でも信じる気持ちを持っていることが俳優としては大事かなと思います」と語った。
なおステージナタリーでは太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)「金夢島 L'ILE D'OR Kanemu-Jima」特集を展開。演出家・上田久美子による、太陽劇団の創作現場“体験記”を掲載している。関連する特集・インタビュー
太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)「金夢島 L'ILE D'OR Kanemu-Jima」
2023年10月20日(金)~26日(木)※公演終了
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
2023年11月4日(土)・5日(日)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
作・出演:太陽劇団
演出:
創作アソシエイト:エレーヌ・シクスー
音楽:ジャン=ジャック・ルメートル
※L'ILEの「I」はサーカムフレックス付きが正式表記。
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ロームシアター京都 @RT_Kyoto
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