明治座の創業150周年を記念して制作される本作は、山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」を原作に、脚本を堤泰之、演出を石丸さち子が手がけるもの。作中では江戸時代の小石川養生所を舞台に、医師の“赤ひげ”こと新出去定を中心にした物語が展開する。本日の会見には、NHK BSプレミアム・NHK BS4Kのテレビドラマ版「赤ひげ」でも新出去定役を務めた船越をはじめ、
現在63歳で40年以上のキャリアを持つ船越は、今回が初舞台。記者に舞台の稽古に挑んだ感想を尋ねられた船越は「全部苦労でございます!(笑)」と答え、「懸命にあがく私の姿が皆さんの勇気につながれば、俳優冥利に尽きます」と思いを口にする。新出去定役を演じることをライフワークにしたいという船越は「作中には、絶望的な現実に直面してもどこかに希望を探す人々の姿が描かれている。我々に生きるヒントや勇気を必ずもたらしてくれる作品だと思います」と言葉に力を込めた。
養生所の医員見習・保本登を演じる新木は「医療従事者の方々がコロナ禍で感じた大変さが、江戸時代にも違った形であったのだなと思います。重いテーマが扱われているので、責任を持って演じたい」と真摯に述べる。また新木は、稽古場で船越が抜き打ちでセリフ合わせに誘ってくれるとエピソードを披露し、「いつも完璧にセリフを覚えている船越さんのおかげで、僕も台本を覚えられています」と言う。これを聞いた船越は「君は良いやつだね……それは俺がセリフを覚えるためにやってるんだよ!(笑)」と続け、仲の良さをのぞかせた。
続いて医員・津川玄三役の崎山が「稽古に苦戦していると、船越さんが近寄って声をかけて下さったり、若い医員役のキャストを集めて一緒に稽古してくれたりします。崖っぷちの自分を救ってくれるという意味で、“崖の帝王”です」と船越に厚い信頼を寄せると、船越は「うまいこと言った!」とリアクションして会場を和ませた。
猪野と高橋は、医員・森半太夫役をWキャストで担当。猪野は「赤ひげたちの周りには、さまざまな生と死がある。当たり前の熱量でできる作品ではありませんが、エンタテインメントを届けたい」と言葉に力を込める。また高橋は「僕はWキャストなので、皆さんがお疲れの中でもう一度同じシーンをやることに申し訳なさもあるのですが、船越さんが率先して『頭からもう1回やろう!』と呼びかけてくださるのがうれしい」と稽古の様子を明かした。
テレビドラマ「赤ひげ」にも出演した河相は「今回はドラマと違い、長屋の住人役を演じます。難しい役柄なのでがんばっております。心温まる作品なのでぜひたくさんの方に観てほしい」とコメント。女中・お杉役の菅井は「初めてのことが多く、日々試行錯誤です。でも船越さんや皆さんがたくさんアドバイスをくださり、やる気にあふれた毎日を過ごしています」と稽古の充実ぶりをのぞかせた。
女中・お光役を務める山村は「お料理、洗濯、掃除をする役どころですが、私は家事が苦手なので考えながらやっています(笑)」と語り、「(共演者に)イケメンさんが何人もいらっしゃる。うれしくてドキドキしながら、ひたすら眺めております」と記者の笑いを誘った。
会見では坂本冬美が歌う本作の主題歌が披露されたほか、司会者が坂本の「魂を込めて歌わせていただきました。私も船越さんの初舞台を、お客様と一緒に楽しみに拝見させていただきます。公演の大成功を心よりお祈りしております」というメッセージを代読した。船越は涙をぬぐいながら「『赤ひげ』の世界観が伝わる素晴らしい曲。稽古でも曲が流れると泣いてしまう(笑)。この楽曲に負けない舞台を作りたいと思います」とコメントした。
さらに会見のあとには、キャストたちによる鏡開きが行われた。司会者の掛け声に合わせて船越たちが木槌を下ろすと、会場は大きな拍手に包まれる。最後は枡酒を手にした船越が、舞台の成功を祈って「乾杯!」と声を上げ、会見は終了した。
公演は10月28日から11月12日まで東京・明治座、12月14日から16日まで大阪・新歌舞伎座で行われる。東京公演チケットは販売中。大阪公演チケットは10月7日10:00に一般発売される。
明治座創業150周年記念「赤ひげ」
2023年10月28日(土)~11月12日(日)
東京都 明治座
2023年12月14日(木)~16日(土)
大阪府 新歌舞伎座
原作:山本周五郎「赤ひげ診療譚」より
脚本:堤泰之
演出:石丸さち子
出演:
※猪野広樹と高橋健介、柿澤ゆりあと浅沼みう、加藤岳と橋本偉成、小川向日葵と長田葵はそれぞれWキャストでの出演。
※山崎タカヤスの「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
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Hahakigi / はるか @Hahakigi1
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