和やかにそして真摯に、木ノ下歌舞伎「勧進帳」2023年版が稽古中

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木ノ下歌舞伎「勧進帳」が9月1日に開幕。ステージナタリーではそれに先がけ、稽古の様子を取材した。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

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木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。まずは摺り足の稽古から。

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木ノ下歌舞伎「勧進帳」は、木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一が監修・補綴、杉原邦生が演出・美術を手がけ、2010年に初演、2016年に再創作された作品。今回の東京公演は東京芸術祭 2023 芸劇オータムセレクションプログラムとして行われる。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。大知に摺り足のアドバイスをする坂口涼太郎。

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稽古場に入り、まず目に飛び込んで来たのは、稽古場の中央に設置された真っ白な“道”。蛍光灯に照らされ、眩しいくらいに光るその白い道で、稽古開始を待つ俳優たちはストレッチをしたり、動きの確認をしたり、劇中歌を口ずさんだりとそれぞれの時間を過ごしていた。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

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やがて杉原の「まずは摺り足から」という合図で、舞台の端から端までを静々と摺り足で歩き続ける稽古がスタートした。多くの俳優は何も持たず稽古着のまま歩いていくが、義経役の高山のえみは小道具を携えて、富樫役の坂口涼太郎は浴衣を着て、何周も何周も“道”の上を進んでいく。その緊張感を最初にほぐしたのは弁慶役のリー5世だ。リーは「ブリトーがうまい東京の店はどこですか?」とみんなに問いかけ、笑いを巻き起こす。そこからさらに冷菓の話になり、木ノ下が「平安時代からかき氷はあって、植物から作った蜜をかけて食べていたんですよ」と話すと、「なんでも知ってるんですねえ!」と俳優たちから驚きの声が上がった。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

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摺り足稽古のあと、義経一行と富樫が対峙するシーンの稽古に。ここでは岡野康弘亀島一徳重岡漠大柿友哉の4人が、義経側の四天王と、富樫側の番卒や太刀持ちを瞬間的に演じ分けるのが見どころで、杉原はそのシーンをできるだけスピーディに見せようと、何度もタイミングの調整を繰り返した。また四天王たちを率いる弁慶の存在感を、リーは大きな身振りや豪快さ、おおらかさによって表現。その弁慶の後ろでじっと控える義経を、高山は微動だにしない美しい佇まいで表した。さらに坂口は、手脚の長さを生かしたシャープな動きと涼やかな語り口で、富樫の“切れ者ぶり”を見せた。 

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

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杉原はそんな俳優たちの動きをじっと見つめ、それぞれに意見を求めながら細かな動きのタイミングを詰めていく。2016年のリクリエーション版から大きめに演出を変えるときは木ノ下にも意見を仰ぎ、木ノ下から「過去の(歌舞伎の)上演に照らして、その演出はこういう理由で良いと思う」と賛同が得られると見せ方をどんどん刷新していった。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

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そしてある程度演出が決まると、スウィングの大知が富樫役、佐藤俊彦が四天王と番卒役に入り、スウィング俳優出演回の稽古も行われた。同じセリフ、同じ動きでも演じ手が変わると全体の雰囲気が変わって、どちらのバージョンも観てみたいという気持ちにさせられた。

東京公演は9月1日から24日まで。その後、29日から10月1日まで沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場(特設客席)、7・8日に長野・サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール(特設客席)、14・15日に岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ 小劇場、21・22日に山口・山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA、27・28日に茨城・水戸芸術館 ACM劇場、11月4・5日に京都・京都芸術劇場 春秋座(特設客席)でも上演される。なお東京公演期間中の9月23日17:00からはゲストにロバート キャンベルを迎えた特別トーク企画(有料)が行われる。

なおステージナタリーでは、東京芸術祭2023 芸劇オータムセレクション 東京芸術劇場Presents 木ノ下歌舞伎「勧進帳」特集を展開。木ノ下と杉原がこれまでの上演を振り返りつつ、2023年版上演に向けた思いを語っている。

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東京芸術祭2023 芸劇オータムセレクション 東京芸術劇場Presents 木ノ下歌舞伎「勧進帳」

2023年9月1日(金)~24日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

2023年9月29日(金)~10月1日(日)
沖縄県 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場(特設客席)

10月7日(土)・8日(日)
長野県 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール(特設客席)

10月14日(土)・15日(日)
岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 小劇場

10月21日(土)・22日(日)
山口県 山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA

10月27日(金)・28日(土)
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場

11月4日(土)・5日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座(特設客席)

監修・補綴:木ノ下裕一
演出・美術:杉原邦生

キャスト

武蔵坊弁慶:リー5世
源九郎判官義経:高山のえみ
富樫左衛門:坂口涼太郎
常陸坊海尊 / 番卒オカノ:岡野康弘
亀井六郎 / 番卒カメシマ:亀島一徳
片岡八郎 / 番卒シゲオカ:重岡漠
駿河次郎 / 太刀持ちの大柿さん:大柿友哉

スウィング俳優出演回(9月13日19:00開演回と18日13:00開演回)

武蔵坊弁慶:リー5世
源九郎判官義経:高山のえみ
富樫左衛門:大知
常陸坊海尊 / 番卒サトウ:佐藤俊彦
亀井六郎 / 番卒カメシマ:亀島一徳
片岡八郎 / 番卒シゲオカ:重岡漠
駿河次郎 / 太刀持ちの大柿さん:大柿友哉

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読者の反応

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坂口涼太郎 @RyotaroSakaguTw

ありがとう稽古場。劇場入りの朝スマホが充電できなくなり修理中。なんで今!生活 is 難儀。でも一人でちゃんと生活していくんや。自分のことは自分でするんや。皆どうやって生活してるんやろう。ほんま凄い。私の生活は割といつもドラマティック。例え有名になっても裕福になってもずっと庶民でいたい https://t.co/05dowwIRbE

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