「秀山祭」中村又五郎、中村歌昇・中村種之助との「車引」に「親としてもうれしい」と笑顔

5

190

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 41 104
  • 45 シェア

歌舞伎座新開場十周年「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門三回忌追善」に出演する中村又五郎中村歌昇中村種之助の取材会が、本日8月18日に東京都内で行われた。

左から中村種之助、中村又五郎、中村歌昇。(c)松竹

左から中村種之助、中村又五郎、中村歌昇。(c)松竹

大きなサイズで見る(全7件)

中村又五郎(c)松竹

中村又五郎(c)松竹[拡大]

「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門三回忌追善」は、2021年に死去した中村吉右衛門の3回忌追善として行われるもの。又五郎、歌昇、種之助親子は、吉右衛門と同じ播磨屋として、吉右衛門と数多くの舞台で共演してきた。まず又五郎は「『秀山祭』は、吉右衛門のお兄さんを頭に、長年興行をしてまいりました公演でございます。播磨屋の一員として、お兄さんからお稽古していただいたことをしっかりとかみ締めながら、舞台に立てれば」と意気込みを述べる。また吉右衛門との思い出を「一緒に舞台に立つと、毎日のようにご指導いただきました。ちょっとでも進歩すると、そこもしっかり見てくださっていて。『そうだよ、あれでいいんだよ』と言ってくださりました」と懐かしそうに振り返る。

中村歌昇(c)松竹

中村歌昇(c)松竹[拡大]

中村種之助(c)松竹

中村種之助(c)松竹[拡大]

歌昇と種之助は「今年も『秀山祭』を行えることが、播磨屋としてうれしい」と口をそろえる。歌昇は「我々は、播磨屋のおじさまの舞台に対する姿勢を近くで見てきました。おじさまに近づけるよう精進するのが恩返しになるかと思いますので、一生懸命勤めていきたい」、種之助は「今回、(『連獅子』の)宗論以外は初役となります。おじさまに少しでも褒めていただけるように精一杯勤めたい」とそれぞれ言葉に力を込めた。

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村又五郎扮する松王丸。(c)松竹

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村又五郎扮する松王丸。(c)松竹[拡大]

夜の部「菅原伝授手習鑑」より「車引」では、又五郎が松王丸、歌昇が梅王丸、種之助が桜丸を勤める。3人が、松王丸・梅王丸・桜丸の三つ子役で共演するのは、今回が初めてのこと。これについて又五郎は「同じ狂言で一緒に出ることは過去にもありましたが、こうして大きなお役でがっつりと舞台を勤めるのは、機会がなければなかなかできないこと。ありがたいことです。また、親としてもうれしいですね」と笑顔を見せる。さらに「松王丸は、吉右衛門のお兄さんから習いました。教えていただいた核の部分はしっかりと守りつつ、自分なりに役を消化して勤めたいですね。『車引』での松王丸は、『寺子屋』のように老けた感じではなく、若い雰囲気があります。力づくではなく、身体から出てくるパワーで、梅王丸と桜丸を押さえつけている、という感じが出せたら」と語る。

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村歌昇扮する梅王丸。(c)松竹

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村歌昇扮する梅王丸。(c)松竹[拡大]

歌昇は「親子3人でできるような、3役それぞれが前に出るお芝居、というものは演目が限られています。ですので、今回このような機会をいただけて素直にうれしいです」と微笑み、「梅王丸は、(吉右衛門の)おじさまが勤められている姿をずっと拝見していて、『いつかやりたい』と憧れのあった役。おじさまに稽古をつけていただいたとき、いかに身体を存分に使うかを教えていただきました。梅王丸を演じるのは、(2014年上演の)金丸座公演ぶりのこと。成長した姿をお見せしたいですね」と役への思いを言葉ににじませた。

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村種之助扮する桜丸。(c)松竹

「菅原伝授手習鑑 車引」より、中村種之助扮する桜丸。(c)松竹[拡大]

「親子三人で、歌舞伎座で『車引』ができることほど、うれしいことはございません」と話す種之助は、今回初役で桜丸を演じる。「桜丸は、(尾上)菊之助のお兄さんに教えていただきます。菊之助のお兄さんの教えを、しっかりと自分のものにして、歌舞伎座の舞台に見合う桜丸を目指したい」と思いを述べた。

又五郎は、昼の部「土蜘」で源頼光を勤める。なお本作には、歌昇の息子である中村種太郎と中村秀乃介が、それぞれ太刀持音若役、石神実は小姓四郎吾役で出演する。記者から、頼光役への意気込みを問われると、又五郎は「孫が出ているので、(役について)考える余裕がない。『ずっと孫を見ている』とご批判を受けるのでは(笑)」と冗談を飛ばし、報道陣の笑いを誘う。また、昨年の「團菊祭五月大歌舞伎」で、尾上菊之助が叡山の僧智籌実は土蜘の精、尾上菊五郎が頼光、自身が平井保昌で出演していた「土蜘」に触れ、菊五郎の頼光を目標に掲げつつ、「品を良くすることが大事ですね。あとはいかに孫を見ないようにするか。それに尽きます(笑)」とちゃめっ気たっぷりに語った。

「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月2日から25日まで東京・歌舞伎座にて。

この記事の画像(全7件)

歌舞伎座新開場十周年「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門三回忌追善」

2023年9月2日(土)~25日(月)
東京都 歌舞伎座

昼の部

一、「『祇園祭礼信仰記』金閣寺」

出演
松永大膳:中村歌六
雪姫:中村米吉(2~6日、13~18日のみ出演)、中村児太郎(7~12日、20~25日のみ出演)
狩野之介直信:尾上菊之助
十河軍平実は佐藤正清:中村歌昇
松永鬼藤太:中村種之助
慶寿院尼:中村福助
此下東吉後に真柴久吉:中村勘九郎

二、「新古演劇十種の内『土蜘』」

作:河竹黙阿弥

出演
叡山の僧智籌実は土蜘の精:松本幸四郎
源頼光:中村又五郎
番卒太郎:市川高麗蔵
番卒次郎:中村歌昇
渡辺綱:大谷廣太郎
坂田公時:中村鷹之資
碓井貞光:中村吉之丞
卜部季武:中村吉二郎
太刀持音若:中村種太郎
石神実は小姓四郎吾:中村秀乃介
巫子榊:中村児太郎(2~6日、13~18日のみ出演)、中村米吉(7~12日、20~25日のみ出演)
番卒藤内:中村勘九郎
平井保昌:中村錦之助
侍女胡蝶:中村魁春

三、「秀山十種の内『二條城の清正』淀川御座船の場」

作:吉田絃二郎

出演
加藤清正:松本白鸚
豊臣秀頼:市川染五郎
斑鳩平次:松本錦吾

夜の部

一、「『菅原伝授手習鑑』車引」

出演
松王丸:中村又五郎
梅王丸:中村歌昇
桜丸:中村種之助
金棒引藤内:中村吉二郎
杉王丸:中村鷹之資
藤原時平:中村歌六

二、「連獅子」

作:河竹黙阿弥

出演
狂言師右近後に親獅子の精:尾上菊之助
狂言師左近後に仔獅子の精:尾上丑之助
僧蓮念:中村種之助
僧遍念:坂東彦三郎

三、「一本刀土俵入」

作:長谷川伸

出演
駒形茂兵衛:松本幸四郎
船印彫師辰三郎:尾上松緑
堀下根吉:市川染五郎
船戸の弥八:中村吉之丞
若船頭:大谷廣太郎
酌婦お松:中村梅花
町人伊兵衛:澤村宗之助
清大工:松本錦吾
河岸山鬼一郎:大谷桂三
波一里儀十:中村錦之助
お蔦:中村雀右衛門

全文を表示

読者の反応

  • 5

松竹演劇部 @shochiku_stage

【#歌舞伎座】「#秀山祭九月大歌舞伎」
[WEB掲載情報📱]

「#秀山祭」#中村又五郎、#中村歌昇 #中村種之助 との「#車引」に「親としてもうれしい」と笑顔 https://t.co/DHvQtGlcbS

#歌舞伎座新開場十周年 #歌舞伎 #kabuki
#二世中村吉右衛門三回忌追善
#又五郎 #歌昇 #種之助 #播磨屋

コメントを読む(5件)

関連記事

中村又五郎のほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 中村又五郎 / 中村歌昇 / 中村種之助 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします