中村時蔵、女方の大役・太宰後室定高に挑む「妹背山婦女庭訓」坂東玉三郎からの“宿題”も

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「『妹背山婦女庭訓』<第一部>」に出演する中村時蔵の取材会が、昨日8月8日に東京都内で行われた。

中村時蔵

中村時蔵

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これは、“初代国立劇場さよなら特別公演”として「妹背山婦女庭訓」を2カ月に分けて通しで上演する企画。その前半となる「『妹背山婦女庭訓』<第一部>」では、序幕「春日野小松原の場」、二幕目「太宰館花渡しの場」、三幕目「吉野川の場」が披露され、時蔵は太宰後室定高を初役で演じる。

時蔵は、定高を「女方の大役」と表現し「1996年の国立劇場30周年記念公演のときに、やはり『妹背山』が出まして、私は『吉野川』の久我之助清舟を勤めさせていただきました。そのときの大判事清澄は、今の松本白鸚のお兄さんでございました」と話す。「そのときの思い出もたくさんございますし、いつかはやってみたいと思っていた定高でございます。今回こういう形でさせていただけるのは大変ありがたいことで、大事に勤めたい」と言葉に力を込めた。

「現在の歌舞伎界で、定高をおやりになっているのは、実は坂東玉三郎のお兄さんだけです。今回出演が決まり、早速玉三郎のお兄さんのところに電話をして、先日お話を伺ってまいりました。精神的なこと、心理描写など、お兄さんの考えや、ご自身で作られた定高について、親切に教えていただきました」と明かす。さらに「今回は宿題を出されました。大判事は皺を描きすぎない、大道具の土手の緑で草色の着物が沈まないように気をつける、首を切るときの刀の引き方、定高が雛鳥の首を切った後の演出、そして大泣きのあとは泣きすぎない、といったことです。雛鳥の首を切ったときは大泣きしますが、そのあとメソメソ泣いているな、ということですね。泣いたほうが楽ですから、難しい部分です」と話す。

また今回、時蔵の長男・中村梅枝が太宰息女雛鳥を初役で、次男・中村萬太郎が久我之助清舟を勤める。2人は、2016年に中村吉右衛門が大判事清澄、玉三郎が太宰後室定高を勤め、東京・歌舞伎座で上演した「吉野川」に腰元役で出演していた。時蔵はこのことに触れ、「玉三郎のお兄さんとも『あそこで出ておいて良かったね』とお話しました。萬太郎の久我之助は私が、梅枝はそのときに雛鳥を勤めていた尾上菊之助さんに教えていただくことになっています」と述べる。

最後に「両花道での大判事との腹の探り合い、自分の子供の命を絶っても1人だけは助けたいという思いなどは、それぞれが自分1人だけで稽古をしても、なかなか表現できないところです。やはり相手がいてこその部分だと思うので、稽古場で相手役と息を合わせていくのが大事なんじゃないかなと。この狂言を、大判事の尾上松緑くんをはじめ、皆で作っていきたいですね」と意気込みを語る。

公演は、東京・国立劇場 大劇場にて9月2日から26日まで。チケットの販売は8月13日10:00にスタート。後編となる「『妹背山婦女庭訓』<第二部>」は、同劇場にて10月4日から26日まで。

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令和5年9月歌舞伎公演「『妹背山婦女庭訓』<第一部>」

2023年9月2日(土)~26日(火)
東京都 国立劇場 大劇場

通し狂言「妹背山婦女庭訓」

作:近松半二

第一部
序幕「春日野小松原の場」二幕目「太宰館花渡しの場」三幕目「吉野川の場」

脚本:戸部銀作

出演
太宰後室定高:中村時蔵
蘇我入鹿:坂東亀蔵
久我之助清舟:中村萬太郎
采女の局:坂東新悟
太宰息女雛鳥:中村梅枝
大判事清澄:尾上松緑
ほか

令和5年10月歌舞伎公演「『妹背山婦女庭訓』<第二部>」

2023年10月4日(水)~26日(木)
東京都 国立劇場 大劇場

通し狂言「妹背山婦女庭訓」

作:近松半二

第二部
序幕「布留の社頭の場」「道行恋苧環」二幕目「三笠山御殿の場」大詰「三笠山奥殿の場」「同 入鹿誅伐の場」

脚本:戸部銀作

出演
藤原鎌足:尾上菊五郎
豆腐買おむら:中村時蔵
杉酒屋娘お三輪:尾上菊之助
漁師鱶七実ハ金輪五郎今国:中村芝翫
蘇我入鹿:中村歌六
ほか

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読者の反応

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紅林檎 @akaringo_urawa

ステージナタリーの時蔵丈の“定高”についての記事です。
さすがにスポーツ紙の記事と違ってしっかり書いてくれています。
玉様から時蔵丈への宿題についても書いてあります。
梅枝丈、萬太郎丈が玉様の時に腰元で出た事もちゃんと書いてありました。
https://t.co/hz3bc5DHUw

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