「兎、波を走る」は、
本作の上演が決定した際、作・演出の野田が「この芝居を観た方々に、この『兎、波を走る』という響きから、『なんともいたたまれない不条理』を感じとっていただければと切に願う」と述べていたように、ストーリーが進むにつれて“妄想”と“うつつ”が入り混じり、心に重くのしかかるような不条理な物語が展開されていく。その中で高橋は、他人の痛みに鈍感になっていく自分に対して、心を痛め苦しむ脱兎を熱演。松は、苦悩する脱兎に寄り添いながら、根気強くアリスを探し続ける母を、温かみのある人物として立ち上げた。
今作でも、野田の鋭い言語感覚が冴え渡り、アナグラムを用いた言葉遊びが随所に取り入れられている。タイトルの「うさぎ、なみをはしる」とは何を意味する言葉なのか。答えはぜひ劇場で確認してほしい。
そのほか、「不思議の国のアリス」を彷彿とさせる堀尾幸男の舞台美術、白を基調とした脱兎の衣裳や、水色をベースにしたアリスの愛らしいドレスなど、
上演時間は休憩なしの約2時間10分。東京公演は7月30日まで行われ、その後、8月3日から13日まで大阪・新歌舞伎座、17日から27日まで福岡・博多座で上演される。
NODA・MAP 第26回公演「兎、波を走る」
2023年6月17日(土)~7月30日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
2023年8月3日(木)~13日(日)
大阪府 新歌舞伎座
2023年8月17日(木)~27日(日)
福岡県 博多座
作・演出:
出演:
※菊沢将憲と近藤彩香はスウィング。
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