明かりがつくとそこは、奥に祭壇が設られ、手前には縁側がある拝所。部屋では女たちが会話をしながら神事の準備をしている。すると“区長の嫁”が、東京のテレビ局の人間を連れてやって来た。“東京の人”は、女性だけで行われる島の神事を「取材したい」と言うが、排他的な言葉を投げかけられ、取材を拒否されてしまう。拝所では祭祀をよく知る年長者から、勝手がわからず戸惑う者まで、年齢や立場が異なる女たちの思いが交錯し、微妙な空気が重々しく漂う。しかしその様子はこっけいさと紙一重で、おかしみも感じさせた。果たして、女たちは一致団結して無事に祭祀を終えられるのか、またはとんでもない事件が起こってしまうのか。どちらの展開も期待させる予感と余白を残したまま、フォトコールは終了した。
初日前会見には出演者が登壇。おばあの代理で拝所にやって来た“若い子”役の
“東京の人”役の
神に仕える“司(つかさ)さま”役の
「7人7様で皆さん面白く、いろいろな話をして、共有して、それぞれの取り組み方にもすごく刺激をいただきました」と言うのは、“村長の娘”役の
“おばさん”役の
また、「あなたにとっての楽園は?」という質問では、7人中3人が「実家」と回答。そのほか「布団の中」(西尾)、「サッカーが大好きなので、サッカーの試合を観ているときが一番幸せ」(中原)と、ユニークな答えも飛び出した。最後に豊原が「2カ月の稽古期間、本当にたくさん話し合ってより良い作品にしようとがんばりました。お客さんのもとにどう届くのかとドキドキしていますが、ぜひニュートラルな気持ちで観に来ていただけたら。お待ちしております」と来場を呼びかけた。公演は明日6月8日から25日まで。
なお、ステージナタリーでは本作の特集記事を展開中。豊原、土居、増子が稽古場での様子や作品への思いを語っている。関連する特集・インタビュー
山田佳奈コメント
実際に取材を重ねてきた今作。俳優7名と演出家の眞鍋さんが舞台上で立ち上げてくださったのは、どこか遠い島の出来事のようでもありますが、我々が直面している多くのことを内在しています。それらが客席の皆さんにどのような形で伝わり、観劇後にどのような読後感となるのか。劇作家として、この瞬間に立ち会えたことを嬉しく思います。
「未来につなぐもの」というテーマで描いてきたシリーズ第三弾として、多くの人に手渡せるバトンとなっていれば幸いです。
眞鍋卓嗣コメント
いよいよスタートします。出演者、スタッフ、全ての方が、この作品にとても前向きに関わってくださったことに心から感謝いたします。昨今、世の中は物ごとの隔たりが極端になったり、いったいどこに向かうのか不安な気持ちになります。お客様には気軽に楽しんで頂きながら、少しでもそのような私たちの現在地とその先について考えを巡らせてもらえたら嬉しいです。
シリーズ【未来につなぐもの】III「楽園」
2023年6月8日(木)~25日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場
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演出:
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穂の国とよはし芸術劇場 PLAT @Plat_Toyohashi
当劇場企画「市民と創造する演劇」でお世話になった山田佳奈さんの最新作(演出・眞鍋卓)が本日開幕。新国立劇場が日本の劇作家の新作を届けるシリーズ企画【未来につなぐもの】として上演。☆理想を手にするために必要なことは他人の期待に合わせることじゃない。選び抜く能力さ☆~6月25日まで。 https://t.co/hEkyaPeV8Y