「糸井版 摂州合邦辻」は、説経節「しんとく丸」「愛護の若」、能「弱法師」などをもとにした浄瑠璃「摂州合邦辻」を音楽劇として立ち上げるもの。監修・補綴・上演台本を
開幕に際して、糸井は「3回も再演するの人生初だと思います。3回目ともなると、クオリティの次元を超え、作品全体がまろみを帯び、一つの自然な生き物のようです」と感慨を語り、「誰かの声が聞きたくなること、皆あると思います。合邦の物語はそんな誰かの声なんだと思います。皆さんにも、劇場で、耳を澄ませて欲しいです」と観客に呼びかける。木ノ下は「今回は、“決定版”と呼ぶにふさわしい上演になったと思っています」と手応えを明かした。
上演時間は休憩ありの約3時間。神奈川公演は6月4日まで。その後、6月から7月にかけて岩手・愛知・福岡・滋賀で上演される。
糸井幸之介コメント
3回も再演するの人生初だと思います。3回目ともなると、クオリティの次元を超え、作品全体がまろみを帯び、一つの自然な生き物のようです。
ぼんやり舞台上の俳優さんを眺めていると、じんわりと泣けてきたりします。
演出家がぼんやりしたりじんわりしてちゃ駄目なんですが、まあいいんです。
僕にとって合邦の物語は、めちゃくちゃなんだけど愛さずにはいられなかった古い恋人のような存在なんです。
誰かの声が聞きたくなること、皆あると思います。
合邦の物語はそんな誰かの声なんだと思います。
皆さんにも、劇場で、耳を澄ませて欲しいです。
木ノ下裕一コメント
浄瑠璃「摂州合邦辻」は、人間の“生き死に”を、神話的世界を借りながら描いた作品です。一見、不条理なストーリーのように見えて、その中には、家制度やジェンダーギャップによる抑圧、病や属性による差別や経済的な格差など、現代の私たちが未だ乗り越えられていない諸問題も登場します。
「糸井版 摂州合邦辻」は今回で三度目の上演になりますが、糸井さんをはじめ、俳優さんやスタッフの皆さんと大切に、大切に育ててきました。250年前に「摂州合邦辻」が世に問おうとしたことを、現代の感覚で蘇らせようとしているのが本作ですが、今回は、“決定版”と呼ぶにふさわしい上演になったと思っています。
マクロからミクロまでを大きく描き切り、善も悪も美も醜も包み込みながら、私たちの“生き死に”を丸ごと肯定する糸井さんの(稀有な)手腕にも磨きがかかっています。超絶技巧と言うべき俳優さんたちの演技、目覚ましい深化も見逃せません。
挫折とか、病気とか、人生の閉塞感とか、親しい人との死別とか、生きているうえで誰もが避けられない苦しみに寄り添うような作品になりました。
初日のカーテンコールでの、お客様のあたたかい拍手を聞きながら、この作品を必要としている人の元に、ちゃんと届きますように、と思わずにはおられませんでした。
木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」
2023年5月26日(金)~6月4日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2023年6月10日(土)
岩手県 北上市文化交流センター さくらホール 中ホール
2023年6月14日(水)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2023年6月25日(日)
福岡県 福岡県 J:COM北九州芸術劇場 中劇場
2023年7月1日(土)
滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
作:菅専助、若竹笛躬
監修・補綴・上演台本:
上演台本・演出・音楽:
音楽監修:manzo
振付:
出演:
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内田慈 @chikappoiuchida
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